遭遇
『前方に敵軍のバリケード!』
「またか……」
『方向はあってるってこったろ? 喜べよ』
「………」
シュリルの軽口には応えず、前方を睨みつける。
視線の先では、既に機械兵たちがボクたちの存在を捕らえ、迎撃準備に入っていた。
「流石に、7回目となれば学習するか」
『だな。ってか、やっとって感じだがな―――っと、撃っきやがった』
シュリルの言葉通り、数発の対人ミサイルが飛んでくる。
『あんだよ、弾幕でも張らねぇとオレッチたちを捉えることなんざできねぇぜ!』
「いや、これは―――」
ボクが言い終わる前に、空中にあったミサイルは全て、破裂した。
直後に、更に小型の爆弾が雨のように降り注ぐ。
『のお!? クソ生意気なガキ共が!』
「言っている場合か!」
ボクは即座に爆弾の落下地点を計算するが、その範囲に穴などはなかった。
「なら―――」
ボクは思い切りハンドルを左に切り、乗り捨てられた車を踏み台に、跳んだ。
同時に、左腕をガトリング銃に変形させ、進行方向上に落下してくる爆弾を、全て打ち落とした。
爆炎の中に突っ込む。
『ヒヤッとしたが、一気に熱くなったぜ』
「………」
左腕をを元に戻し、今度は両のブレードを出す。
爆炎を抜けた。
機械兵たちが再び武器を構えるが、既に遅い。
落下地点にいた一体を、落下の勢いを乗せ、潰す。同時に、その両隣の機械兵の首を切り落とした。
「いちいち構ってられないな。シュリル、ブースター」
『おうよ!』
合図と共に、シュリルの装甲が後方へ開く。
「3……2……1…」
『GO!』
直後、開かれた装甲の内側にあったブースターが火を噴いた。
見えていた景色が、ただの線に変わった。
† † †
「―――はぁっ! ……はぁ……はぁ……はぁ」
鈴は街を徘徊していた、数体目の機械兵を切り伏せ、彩河美土里のいるはずである中央広場に到着した。
「峻君、大丈夫でしょうか………」
黒耀の向かっていった方向を見つめ、すぐにイヤイヤと首を振る。
「峻君は大丈夫です。問題は私の方……美土里さん………」
手にした剣を見つめ、呟いた。
彼女と戦う覚悟は出来ている。しかし、できれば戦いたくないことに変わりはない。
前に進むことを躊躇していると、ガシャンガシャンと、機械兵の足音が響いてきた。
その数、2体。 ……否、2体と1人だ。
機械兵の間で、悠然と立つ女性。
「久しぶりね、鈴」
「美土里さん………」
剣を取り落としそうになるのを、何とか堪えることができた。




