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七式《グレート・ベア》  作者: 滝川 椛
第一章「輝雷編」
28/62

遭遇

『前方に敵軍のバリケード!』

「またか……」

『方向はあってるってこったろ? 喜べよ』

「………」

 シュリルの軽口には応えず、前方を睨みつける。

 視線の先では、既に機械兵たちがボクたちの存在を捕らえ、迎撃準備に入っていた。

「流石に、7回目となれば学習するか」

『だな。ってか、やっとって感じだがな―――っと、撃っきやがった』

 シュリルの言葉通り、数発の対人ミサイルが飛んでくる。

『あんだよ、弾幕でも張らねぇとオレッチたちを捉えることなんざできねぇぜ!』

「いや、これは―――」

 ボクが言い終わる前に、空中にあったミサイルは全て、破裂した。

 直後に、更に小型の爆弾が雨のように降り注ぐ。

『のお!? クソ生意気なガキ共が!』

「言っている場合か!」

 ボクは即座に爆弾の落下地点を計算するが、その範囲に穴などはなかった。

「なら―――」

 ボクは思い切りハンドルを左に切り、乗り捨てられた車を踏み台に、跳んだ。

 同時に、左腕をガトリング銃に変形させ、進行方向上に落下してくる爆弾を、全て打ち落とした。

 爆炎の中に突っ込む。

『ヒヤッとしたが、一気に熱くなったぜ』

「………」

 左腕をを元に戻し、今度は両のブレードを出す。

 爆炎を抜けた。

 機械兵たちが再び武器を構えるが、既に遅い。

 落下地点にいた一体を、落下の勢いを乗せ、潰す。同時に、その両隣の機械兵の首を切り落とした。

「いちいち構ってられないな。シュリル、ブースター」

『おうよ!』

 合図と共に、シュリルの装甲が後方へ開く。

「3……2……1…」

『GO!』

 直後、開かれた装甲の内側にあったブースターが火を噴いた。

 見えていた景色が、ただの線に変わった。


      †      †      †      


「―――はぁっ! ……はぁ……はぁ……はぁ」

 鈴は街を徘徊していた、数体目の機械兵を切り伏せ、彩河美土里のいるはずである中央広場に到着した。

「峻君、大丈夫でしょうか………」

 黒耀の向かっていった方向を見つめ、すぐにイヤイヤと首を振る。

「峻君は大丈夫です。問題は私の方……美土里さん………」

 手にした剣を見つめ、呟いた。

 彼女と戦う覚悟は出来ている。しかし、できれば戦いたくないことに変わりはない。

 前に進むことを躊躇していると、ガシャンガシャンと、機械兵の足音が響いてきた。

 その数、2体。 ……否、2体と1人だ。

 機械兵の間で、悠然と立つ女性。

「久しぶりね、鈴」

「美土里さん………」

 剣を取り落としそうになるのを、何とか堪えることができた。

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