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七式《グレート・ベア》  作者: 滝川 椛
第一章「輝雷編」
25/62

作戦開始

「覚悟は、できたのか?」

「はい、さっきはごめんなさい。私らしくありませんでしたね」

「………そうだな」

 まだ約一週間ほどしかいっしょに過ごしていないが、確かに鈴らしくないとは思っていた。

「よし、作戦の動きは頭に入っているな?」

 翡翠の言葉に、ボクと鈴は頷く。

「君たちは、本部で待機していてくれ。黒耀君、君が敵軍の状況を伝えてくれ。ここにあるものより、君のレーダーの方が性能が高そうだ。彩河美土里か紫電の寝倖の、どちらかでも出現した場合は――」

「その時は、すぐに出る」

 彼女が最後まで言い終える前に、ボクは続けた。

「断りは入れないが、いいか?」

「ああ。最優先事項だ。すぐに出てくれ」

 翡翠は真剣な表情でボクたちを見つめてくる。

「私はもう行かなければ。鈴、黒耀君―――」

 頼んだぞ―――そう言い残して、彼女は去って行った。


      †      †      †      


「三番隊の後方より5機の機影。二番隊の防衛ラインをすり抜けた機体を3機確認」

 ボクは、レーダーからわかることを次々と言葉にしていった。

「三番隊へ、こちら本部。後方より5機の機影を確認。挟み撃ちにされる前に殲滅を」

「本部から五番隊へ。3機の機械兵が二番隊の防衛ラインを突破。街への進入を確認」

 オペレーターがすぐさまそれぞれの隊へ報告する。

「すごいな。君がいなければ、もっと苦戦していることだろう」

 この場で全体の指揮を執っている自警団団長が、満足そうに頷いている。

「それが役目だ」

 それから20分ほど、ボクは機械的に状況の伝達をし続け、遂に―――

「来た!」

『っ!』

 ボクの一言で、全員に緊張が走る。 

 ボクはそのままテントを出た。

「準備、出来ています」

「…………流石だな」

 シュリルの目の前では、キャップタイプのヘルメットを被り、腰に剣を下げた鈴がいざ行かんとばかりに気合十分で立っていた。

「…………」

 ボクはシュリルに跨り、すぐ後ろをポンポンと叩くと、すぐに鈴はそこに座った。

 エンジンを掛ける。

 ブルルルルンッ! と、エンジンが唸り―――

『ご無沙汰だなぁ、黒耀』

「―――っ!」

 鈴が、絶句していた。

「すまないな」

『気にすんじゃねぇよ。オレッチだって事情はわかってらぁ』

「ああ、だが、すまない」

「えっと……」

 鈴が、恐る恐ると言う風に話に入ってくる。

『ん? ああ、忘れてたぜ。黒耀、どちらさんだ、このお嬢さんは?』

「花暦鈴だ。一時的な、ボクの指令だ」

『なんだ、彼女じゃねぇのか。かっはっはっはっはっは!』

 シュリルが爆笑する。鈴は顔を真っ赤にして、俯いていた。

「随分と、元気なバイクだな」

 団長がテントから顔を出す。

『おうよ! オレッチは元気だけが取り得だぜ! 生まれてこの方、一回も風邪引いてないんだぜ?』

「………だろうな」

 団長が苦笑い。

「『―――っ!』」

 ボクとシュリルが、同時に反応する。

「動き始めたな」

『ああ。寝倖の奴か。こりゃ、でかい相手だな』

「峻君!」

「ああ」

 ハンドルを強く握り締め、捻る。

『いったろうじゃねぇか!』

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