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七式《グレート・ベア》  作者: 滝川 椛
第一章「輝雷編」
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 ボクは、今着ていた衣服を一瞬で粒子化し、同時進行で強化外装を実体化させる。

 

 Synchronous start 、、、、、、

 It will be in a body state.

 Initialization of a program is started、、、、Ends.

 Connection with a nerve is started、、、、、、Ends.

 Fine tuning is started、、、、、、、、、、、、、Ends.

 Operation test start、、、、、、、、、、、、、、Ends.

 Synchronous ends.

 The <<Great Bear>> The No.7 type 【黒皇】 starting.


 目の前の起動準備の報告が次々と通り過ぎ、消える。

 ここまで、約0.5秒足らず。

 ボクは、膝を曲げ、全力で跳んだ。

 500m以上も離れている大穴が一瞬で近付き、そして地上へ着地した。

「これは…………」

 ボクは、少し驚いた。

 いくつかの建物が半壊し、道路には小型対人ミサイルの弾痕と思われる窪みがいくつもあったからだ。

 しかし、驚いた理由は、街の変わりようでなく、その程度で済んでいることだった。

 七式グレート・ベアの戦闘となると、街のひとつが火の海になってもおかしくない。むしろ、それが普通くらいなのに、建物の半壊や道路の弾痕程度で済んでいるということは、この街の警備委員たちや機動隊の有能な証だろう。

 ボクは、索敵レーダーの範囲を最大まで広げる。

 半径5km以内に、シェルターと思われる、生命反応が集中している箇所が3つ。4,5人のグループが数箇所。そして半径百メートル以内に、味方機――七式グレート・ベア睦番式【輝雷きらい】:紫電の寝倖ねゆきの反応。

 ゆっくりと振り向く。

「やあ、久しいね、黒耀。半年振りくらいかな」

 彼は、微笑を浮かべながらボクに手を振ってきた。

 顔の上半分は頭部装甲に隠れて素顔は見えないが、昔と同じ、高めの特徴的な声。歳は18、9程度で、ボクとさほど変わらない。体を覆う強化外装には、鈍い黄金色の装甲の所々に真紅の装甲が混じっている。そして、最大の特徴は、肘から下が銀色の輝きを放っている左腕。

「どうしたの? ほら、久しぶりの七式おなかまだよ?」

「………なぜ、ここにいる?」

 ボクが問うと、寝倖は楽しそうに笑って答えた。

「仕事だよ」

「……仕事?」

「そうさ。ボクは今、新たな主人に雇ってもらっているんだ。そのご主人様の命令だよ」

「……この街での戦闘行為が、か?」

 そう聞くと、彼は困ったような微笑を浮かべる。

「いやぁ、本当はあるものの奪取だけが目的だったんだけど、知っての通りボクは怪盗の真似事とか苦手だろう? あっという間に見付かっちゃって、警備委員とドンパチってことになっちゃったんだよ」

「…………」

 相変わらずだった。

 事が大きくなっても、むしろそれを楽しむ寝倖。

 不意に、右手をボクに差し出してきた。

「?」

 ボクは意味がわからず、首をかしげた。

 それを見て、彼は楽しそうに笑い、言った。

「黒耀、僕と一緒に来ないか?」

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