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七式《グレート・ベア》  作者: 滝川 椛
第一章「輝雷編」
13/62

始動

 ――――ズン。

 そんな、低い響きと共に、部屋が――否、街全体が揺れた。

 それに反応して、人々が何事かと騒ぎ出したのだろうか、レーダーの圏内――半径500m内にいた生命反応が、一斉に動き出した。

 ズン。

 再び、辺りが揺れる。

 今度は、もっと近くだった。

 同時に、確信する。

 これは――――

「地上で、戦闘か……」

 ボクは、天井を眺めた。

 案外、驚きもしなかった。ずっと、予感していたことだったからだろうか。

 放送が流れた。

『ランクAの非常事態が発生いたしました。係員の誘導に従い、指定のシェルターへ避難してください。繰り返します―――』

 ランクA………。程度で言えば、テロ並みだろうか。

 とにかく、ボクも面倒になる前に移動しなくてはならない。

 地上が非常に気になる所だが、ボクだけ勝手な行動をとるわけにはいかない。

 それに、そんなことをすれば、罰則がある。別にそれが怖かったりはしないが、面倒そうだった。

 ボクは部屋を出て、緑のパーカーを羽織った誘導員の指示に従い、一番近い第7シェルターへ向かう。

 大きな通りに出ると、そこは既に非難してきた男たちでいっぱいだった。

 デグダは、住民の98%が男性のため、それも仕方のないことだが、むさ苦しい事この上ない。

 ズン……。

 再び、揺れが来る。

 あたりに動揺が広がるが、その程度だ。さすが、戦闘行為は日常茶飯事のこの街の住人だけはある。

 ズン――。

 揺れが、近付いてきた。

 一度ではない。

 何度も何度も、連続で。

「おい、流石にやばそうじゃないか?」

 誰かが、そんな一言を漏らした。漏らしてしまった。

 その一言は、波紋のように広がり、人々に不安をもたらす。

――ズン。

「おい! 今の、ほとんど真上だぞ!」

 一瞬で、人々の不安は恐怖に変わった。

「早く行け!」

 避難者たちが、誘導員の指示を無視し、シェルターへ雪崩れ込んでいく。

――ズン。

 パラパラと、天井のカケラが降ってくる。

「………そろそろ、限界か……」

 誰にとも無く、そう呟いた。

 しかし、もう避難もほとんど終わっている。

 ボクも、シェルターへ入ろうとした。

 そして―――――天井が崩壊した。

 降って来た瓦礫がシェルターの入り口を塞ぐ。

「………面倒なことになったな」

 大穴が開いた天井を見据え、どうするかを考える。

 一応、強化外装などは粒子化させて、いつでも展開できるようにしてある。

(もし戦闘に巻き込まれたとしても、問題はな―――)

 そこで、ボクの思考は凍りついた。

 視線の先には、大穴を通り過ぎる二つの影。

 少なくとも700mは離れているから、普通なら小さな点にしか見えないはず。

 しかし、ボクにははっきりと見ることが出来た。

 横に並んだ二つの影の一つは、第一テルル学院の制服を纏い、両手で剣を握っている少女――花暦はなこよみすず

 そしてもう一つの影は――

「馬鹿な……。なぜ、寝倖ねゆきがここに………!?」

 驚きを隠せなかった。

 その影の正体は、七式グレート・ベア睦番式【輝雷きらい】:紫電しでんの寝倖だった。

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