私立春美男子高等学校
私立春美男子高等学校、通称ハル高
全生徒の8割が不良という最凶最悪の学校なのである。
一方、拓達が通う学校はハル高に比べて不良の数がきわめて少なく、ハル高とは真逆なのである。
その名は私立東和高等学校、通称東学
2つの学校は隣地域で分かれており、決して争わないという協定がある。
だが、長きに保たれたその協定もついに破られようとしていた。
それは拓と信二のタイマンが引きがねとなる。
二人のタイマンはすぐさま広まり、ハル高では一つの問題とされていた。
ハル高にいる不良の中でも選ばれし者だけがぞくぞくと体育館に集まる。
最後尾の者が扉を閉める。
「集まりましたね。幹部の皆さん」
「東学の事だろ?」
「あぁ数日前、東学の村田信二が二年と学校の天辺を巡りタイマンしたらしい」
「へぇ~で、勝ったの?」
「勝ったらしい・・・がその力の差は紙一重だったとか」
「俺が言いたいのはそんなどうでもいい喧嘩じゃねーんだ」
「上の者が下の者になめられているってことか?」
「あぁ・・・東学が落ちれば、俺らも落ちる」
「一番重要なのは村田信二が元うちの生徒だったってことだ」
「俺らのハル高はここら辺では不良の数がダントツに多い、ただ隣にあるからとあんな学校と同じように思われたら情けね」
昔、東学は元は一番の不良校だった。だが、男女共学となり、卒業生の中にはメディアで活躍する者も出てきた。そのせいか東学は徐々に真面な学校となり、落書きされた壁も今では改築され綺麗さっぱり消えている。
「俺たちは自ら世間で嫌われる 悪となったんだ!このまま黙って俺達も丸くなるのかよ?」
「昔最強だった東学なら、ハル高は今最強にならないか?」
「そのためには昔からの協定を崩すしかねーだろ!?」
「俺達が一番だってことを周りに証明しようぜ!」
教壇に座っている一人が言う。
「つまりどうしたい?」
それに誰かが答える。
「東学の全不良を狩るぞ」
「いや狩るだけじゃ駄目だ・・・どうせなら潰すか?」
「東学を潰すかいいなぁ~!!放火でもするか?」
「バカ野郎!それじゃ犯罪だろ」
「おい!お前等・・・頭の意見聞こうじゃないか?」
ハル高のトップは静かにこう言った。
「今日から・・・東学狩りだ」
それを聞いて体育館内の全員が雄叫びのように騒いだ。
「二年の奴、なんて名だ?」
「たしか、桐嶋拓とか」
「きりしま・・・たく・・・か」
ハックション!!
「おいおい風邪か?」
「あ~誰かが俺の噂してんな」