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傷  作者: yiyi
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run for you

「うるさいっ!!」一志は教室へと戻って行った。

それに続いて他の生徒も戻っていく。

「あいつは昔の俺にそっくりだな~」と拓は笑って言った。


戻った男子たちは女子に何してたのか尋ねた。

「なぁ、何してたんだよ?」

「なんか紙が配られて、それに記入してって」

「ふ~ん、で何を書いたんだよ?」

「それは・・・ていうか、あんたたちはどうして制服汚れてるの?」

「まぁ・・・ちょっとな」


一志はトイレに立ち寄り蛇口を捻り、水で顔を洗った。

「そろそろ・・・決めないとな」


一方、職員室に戻った拓は女子が書いた紙をすべて見た。

「なるほどなぁ~」

一人の先生が近寄ってきて拓が持っている紙を見た。

「おっ!なんですかそれは?」

「これはまぁ、簡単なアンケート用紙ですよ」

「ちょっと拝見してもいいですかな?」

拓はすぐさま紙を重ねカバンにしまった。

「これはあの子らの心の中の言葉ですのでお見せする事はできません」


その日のホームルーム、拓はみんなの前に立ち生徒たちに言った。

「今日君たちと会い、そして少しコミュニケーションをしてみたが・・・」

「コミュニケーションってただの喧嘩じゃねぇか」

「お前等は本当は良い奴らなんだな」

拓は男子たちを外に呼び出した時、一人もかけずに全員出て来てくれた。

そして喧嘩を拒む者は喧嘩を嫌い、喧嘩をした数人は拓を一人で潰そうとした。

全員で力を合わせればムカつく相手を好きなだけ殴れるのに・・・

また拓の言う事をすべて守った。

女子の方にはそれぞれ違う質問に答えさせた。

例えば好きな料理、好きな動物、趣味や特技、将来の夢など

とても簡単な質問にみんな答えた。

が・・・拓はその書いた文字の書き方に目をつけた。

平仮名、片仮名そして漢字にはその人の心が映し出される。

拓は数年前のゴリの「自惚れ」という言葉を試していた。

自分がこの子らにとって必要なのかどうかを・・・



「俺は今日だけこのような事をした。明日からみんなには迷惑はかけない。だから一週間後にみんなの声を聞かせてくれ。俺が邪魔なら遠慮せずに言ってくれ!その時は自分からここを去るから。どっちか考えといてくれ・・・この先、今までと同じように生きるかまたは変わってみるか」

拓はそれだけを言い、安田先生に後は任せホームルームを終えた。




数日後、職員室に一志が一人でやって来た。

安田先生を探しているようだが、ちょうど安田先生が不在で拓の所へ来た。

「よぉ!久しぶりだな!どうした?」

「これを安田に渡しといてくれ・・・」

一志は拓に「退学届」と書かれた封筒を渡した。

拓の表情は変わぬまま一志に言った。

「辞めるのか?」

「あぁ・・・前から考えてたことだ」

「そうか。でも、そういうのは進路とか教育指導の先生に言え!」

「分かった」

「ちょっと待った!!」

拓は立ち上がって言う。

「それ(お前の心)を見ちまったからには無視できないな。ちょっと付き合え!」


2人は屋上へと向かったが、そこには昔拓がかけた鍵がかかったままだった。

「閉まってんじゃんかよ」

「だいじょ~ぶ、ここの鍵はずっと持ってるから」

拓は扉の鍵を開けた。

「ガチャ」開けた途端強い風が体全身にぶち当たる。

風に舞うホコリとひんやりと冷たい風がその場を盛り上げる。

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