my life your life
3人組の生徒は安田先生にお金を要求した。
それにすんなり答えるように安田先生は財布を出した。
拓はその光景を見て、唖然とした。
拓はすかさず安田先生の腕を掴んで止めた。
「これはどういうことですか?」
「見ればわかるじゃん!恐喝だよ」と一人の生徒が言った。
拓はその生徒の制服を掴んで言った。
「お前等こんな事許されると思ってんのか?」
すると別の生徒が笑いながら言う。
「先生こそ生徒にこんな事して済むと思ってんの?親に言えば一発アウトだよ?」
「脅しのつもりか?」
「脅しかどうか試してみる?」
拓の行動を止めようと安田先生は「もう止めてください」と言った。
拓が掴んだ服を放すと、3人は微笑みながら去って行った。
詳しく話を聞いてみると安田先生は2年前にここで国語の教師として赴任してきたらしく以前はこのような事は無かったのだが一年前、きっかけは分からないが他の先生と比べると声や覇気が小さいだけで生徒になめられるようになり、次第にそれは酷くなってきたという。
そして今、2年3組の担任を任せられたのだがクラスはめちゃくちゃらしい。
「そんなんじゃ駄目ですよ・・・」
「君はまだ若いから張りきりたいだけだよ」
「いや、あいつらはあなたのやさしさに付け込んで調子に乗っているんです。俺がどうにかしますよ」
「どうにかって君に何ができるんだよ!」
2人はとりあえずその崩壊した2年3組に向かった。
教室の扉を横に引くと上からチョークまみれの黒板消しが落ちてきて安田先生の頭の上に落ちた。
その瞬間クラス中の生徒が大爆笑した。
安田先生も苦笑いしながら汚れた頭とスーツを手で叩いた。
教室の中を見渡すと漫画を読んでる者やゲームと携帯を弄る者、化粧をする女子、イチャイチャするカップル、ゴミは散乱しており黒板は落書きだらけしかも煙草を吸う者もいる。
まさかこれほどとは、拓は言葉を失った。
聞くところによると他の授業の時はある程度ちゃんとしているらしく安田先生の前だけ、つまり朝礼と午後のホームルームと国語の授業の時だけ崩壊するらしい。
安田先生が喋るが周りがうるさ過ぎて何を言ってるか分からない。
拓は我慢できず教壇の上に立ち、黒板を叩いた。
大きな音が教室内を静ませた。
「お前等!!安田先生の話聞けや!」
冷たい視線が拓に集まる。
安田先生は声を震わせながら拓を紹介した。
「こ、こちらは・・・今日からうちで教育実習生として来た桐嶋拓さんです」
「その教育実習生が何のようっすか?」
「マジで張りきりすぎじゃな~い?黒板なんか叩いちゃって」
またもや今度は拓の事で喋り、そして「帰れ!帰れ!」と何度も生徒たちが言い始める。
拓は黙ってその光景をじっと見つめた。
後ろの生徒が「帰れって言ってんだろ!」と自分の筆箱を拓に投げつけた。
それは拓の頭に当たるが拓は無表情でそのままつっ立った。
「こいつすでに死んでんじゃね~」とその生徒が言うと大爆笑が起きる。
拓はしばらくしてその筆箱を投げた生徒の所へ向かった。
そして目の前に立ち言った。
「お前は俺を今、三回キレさせた。一つは親の金で買った物を粗末に投げたこと。二つ目は安田先生を侮辱したこと。そして三つ目は軽々しく死ねっという言葉を使ったことだ!!」
拓はそいつの顔を強く殴った。
その生徒は鼻から血を流し、椅子から転げ落ちた。
周りの生徒はその行動を見て硬直した。
「ふん。仲間がやられても一歩も動かないとは、お前等やっぱり腐ってるな」
拓は前に戻り教卓に両手を置いて言った。
「お前等の中で英語が得意な奴はいるか?外国人が英語で何言ってるか理解できるやつはいるか?」
拓の質問に誰も何も言えなかった。
「いないよな?そうだよな!授業で学ぶくらいで興味がある奴でもまぁ習い事くらいだろ。テレビで外国人が喋っても大抵が吹き替えまたは日本語の字幕が出て、英語を学ぶことなんてないよな」
「拓先生何が言いたいのでしょうか?」と安田先生が尋ねる。
「つまり俺が言いたいのは、俺の専門は英語だ!教師以外にも通訳や英会話学校、海外に行けば話せるだけで食っていける仕事が少なくてもあるという事だ!」
「自慢っすか?」
「自慢で済めばいい方だな!この光景、お前等の行動を見てしまったからには俺はお前等を正しい道に導かなければならない!そのためにはどんな手段も拒まない。親にでも教育委員会にでも俺の事を話せばいい・・・俺はそのくらいの覚悟は出来ている。お前等がやってきたことにはどのくらいの覚悟があるのかな?」




