忍び寄る影
新学期が始まるまでの休校の間、拓は学校へと毎日勉強を教えてもらうために朝から向かった。
勉強する範囲も次第に難しくなり、拓の頭では理解できないことばかりになってきた。
三年になるゴリも最後の大会のために毎日練習に時間を費やした。
その頃、ハル高には拓を探しにギャング数名が来ていた。
ハル高の生徒を潰して拓の事を聞きだしたが、しかしハル高の生徒は何かを察知したのか拓の事を話さなかった。
「こいつ等何にも話さないな!」
「じゃぁ、後は東学だけか」
「でも、今の時期学生が学校にいないから情報も聞き出せないな」
「とりあえず東学に行くぞ」
一方、拓を殺せと命じられた男も東学へと向かっていた。
部活が終わったゴリは正門の前でギャングと出くわした。
「なんじゃ?お前等?」
「この学校に桐嶋拓はいるか?」
「なんだ?あいつまた何かやらかしたのか?」
「お前あいつを知ってるのか?どこだ?どこにいる?」
そこに勉強が終わって帰宅する拓が来た。
「なんか用か?」
ギャング達は急に現れた拓に驚いた。
「お前が桐嶋拓か?探したぞ~」
ギャングの事は無視して拓とゴリは言い争った。
「おい!もう喧嘩はしないんじゃなかったのか?」
「こいつ等なんか知らね~よ!多分、龍二が残した厄介者だろ?」
「龍二の?何の事だ?」
「まぁ俺には関係ないことだし・・・」
ギャング達は怒り、大声で言った。
「とにかくお前!俺達と一緒に来てもらおうか!!」
そんな態度とは逆に拓は冷静にすこし飽きたように言った。
「俺はもう喧嘩しないんだ。何か文句あるなら言葉で喧嘩しようぜ!それによ~いつまでもそんな事してないでもう少し大人になれよ」
拓の言葉にゴリは驚いた。
「そんな簡単なことで問題が解決するなら、人間に脳みそはいらないな」
拓の後ろから突然声が聞こえる。
振り向くと男がナイフを持って突進してきた。
拓は持っていたカバンを捨て、ナイフを持った腕を掴んで止めた。
相手はまだ力を入れて拓を刺そうとする。
「ゴリィィィィ!!こいつ止めろ!」拓は大声でゴリに叫んだ。
「このぉぉぉぉぉ!!」ゴリはその男を殴りに走った。
男はゴリめがけて拓を蹴り飛ばした。
「てめぇ~何者だ?」拓はお腹を押さえ言った。
男はナイフはしまいジャケットの裏から銃を出し拓に向けた。
ギャングとゴリ、そして拓は硬直し何も言えなかった。
「桐嶋拓一緒に来てもらおうか」
拓は恐怖で出ない声を必死で出した。
「何となく思い当たる事があるから分かったぜ」
拓はカバンを拾いその男の方へ歩き出した。
ゴリは拓に問いかえた。
「一体何があった?」
「これは龍二の事なんだ。あいつがいない今、俺が代わりにちゃんと決着付けとかないとな」
男は静かに言った。
「警察に言ったらお前たちも痛い目にあうぞ、よく覚えておけ」
拓は近くに停まっている黒い車に乗り込んだ。
ギャングの一人が言った。
「あいつヤバいな・・・マジで殺されるぞ」
ゴリはとっさの出来事に何も出来ずにいた。