伝説の幕切れ
次の日から拓は放課後居残るようになった。
真面目に取り組む拓に先生は心から喜んだ。
英語の教師、もう30年近くは生徒に教えている。
特に生徒から好かれてる訳ではなく、どちらかというとガミガミうるさい嫌な教師と思われている。
そんな先生と毎日中学校で習うレベルの英語を勉強している拓をクラスの皆は不思議に思った。
つい最近まで狂犬として暴れていたのに急に大人しいプードルのような姿は誰にも想像できなかった。
何も握らなかった拳には鉛筆が握られている。
時はゆっくりと未来へ進んでいく。
龍二のいない生活が今では当たり前になっている。
拓は一心に勉強した。
そして時代は二年から三年へと受け継がれるのであった。
現三年の卒業式の日
村田信二はこの日無事に卒業した。
信二が体育館から出るとそこには拓が待っていた。
二人はしばらく誰も立ち寄ってない屋上へと向かった。
「ここの風は久しぶりだな~」
「何か俺に用か?」
「いや別に・・・まぁ卒業おめでとう」
「他人の事より自分の心配をしたらどうだ?」
「俺もちゃんと卒業できるさぁ!」
「なら、いいんだが・・・」
信二はしばらく拓を見た。
「なんだよ?じろじろと」
「お前なんか変わったな?」
「そうか?まぁ~髪が伸びたからな」
「そういうんじゃなくて・・・」
拓はしばらく自分がどう変わったのか考えた。
そして「変わったのかもな!」と笑顔で答えた。
二人で語り合い最後に信二は拓にある事を伝えた。
「最近ここらで悪さをやってるバカ共がいるらしんだ」
「俺はもう喧嘩しないんだ。そんな奴ら知るかよ」
「確かにそうだが、お前の名前は広く知れ渡ってるだろ?」
「昔の罪が今になって圧し掛かるってことか」
「あぁ気をつけろよ!龍二が集めたギャング等もまだ大人しくしてるとは思えんからな」
「嫌な遺産を残してくれたな~・・・龍二」
太陽は雲に隠れ、雨が降る。
その信二の噂は拓の身に近づいていた。
「冨田龍二というガキが以前ギャングチームを作り暴れたんだが、どうやらあいつはこの世を去ったらしい」
「で?俺達にどうしろと?」
「ガキ共にわざわざ時間を使うつもりもないが、あいつ等のおかげでうちのもんは上に怒鳴られ、クラブや風俗店の賑わいは落ちてるらしんだ」
「そいつらを殺せと?」
「大切な友が死んだんだ、死んだ奴からも大切なもんを奪ってやろう」
「で名前は?」
「桐嶋拓」
「報酬は?」
「それなりに・・・」
「あぁやってやろう」
「そうか、じゃぁ大人を怒らせるとどうなるか教えてやってくれ!恨みを持ったギャングも探してるらしいが邪魔だったら消してくれて結構だ」
「分かった。終わったら連絡する」
「おーと!一つお前に聞きたい事があったんだ!」
「なんだ?」
「冨田龍二を殺したの・・・おまえだろ?」
「・・・・・また連絡する。」