始動
日本に居た時は、自分の力だけですべてをねじ伏せて来れた。
だが、世界に出て見てさらに感じた。
「世界も小さい」と・・・
ここは日本のとある県の小さな町にあるごく平凡な公園。
緑色の芝生で覆われている地面、真ん中には土管が3つ重なっている。
そこでは町の嫌われ者たちつまり不良が集まり、自分達の力を試し合っている。
その中でも極めて名を轟かせている2人の狂犬がいる。
身近に居ながらも嫌われる存在からこう呼ばれている。
カラスとネズミ
カラスの本名は桐嶋拓、そしてネズミは冨田龍二。
2人は高校入学日に殴り合いをし、その後は意気投合して今に至る。
勝敗を気にかける者は居ず、残り1年半の高校生活を今まで通り過ごしている。
桐嶋拓は背が高く、モデルに向いているスタイルで、髪型はモヒカンと周りの目を気にしない個人主張が強い男である。
一方で、冨田龍二は高校2年生の平均身長にしては低く、少し長髪の金髪で、物事を自分で解決し桐嶋拓とは正反対の口には出さないクール系である。
2人はいつも一緒で、どこに行っても2人のシルエットが見られる。
喧嘩を売って来た奴等を殴り飛ばした後、2人はいつもの学校の屋上へと向かった。
太陽の光に照らされて暖かくなったコンクリートの上に横になり、2人は青空を眺めながら口にくわえた煙草を吸う。
しばらく沈黙が続き龍二が口を開く。
「なぁ・・・拓、例のアレ考えてくれた?」
拓はめんどくさそうに返事をした。
「あぁ?なんだっけ?」
「あれだよ。この学校の頂点を取る話だよ。」
拓は短くなった煙草を投げ捨て龍二に背を向けた。
「嫌だって言ってんだろ!今時、学校の天辺取ろうなんてダセェ~よ。」
龍二は前々から拓に学校で一番強い男になってほしかった。
「そんなに目指したいならお前がやれよ!」
「俺は拓よりも強くねぇーから無理だよ」
「俺はそれが気に入らねぇーんだよ!お前は俺に気を使ってるだろ?」
「何の事だよ?」
「実際、龍二・・・お前の方がつえ~んだ!男ならありのままの自分見せろよ。」
龍二は立ち上がり、フェンスへゆっくりと歩き出した。
「俺たち不良は今の青春時代を何にも注ぐ事がねぇ~だろ?ましてやスポーツなんかしてないしよ」
龍二はグラウンドを眺めながら拓に問いかける。
「俺はマジで錆びれたガキだからよ。それは自覚してっから・・・拓、お前がやってくれ。」
「なんで俺なんだよ?」と拓は大声で言った。
龍二は振り返って微笑んだ。
「だってお前は俺の相棒だろ?俺は見たいからよ~見せてくれよ!ここから見る今よりも最高の景色を」
この言葉で拓は龍二と共に学校の頂点を狙うことになる。
だが、そうは言っても拓の通っている高校は別に不良学校ではない。
どちらかというと真面目で普通の生徒の方が多い。
それにこの時代根っからの悪はそういない。
やはり学校の天辺を取ろうなんて考える奴はいないだろうと2人もうすうす思っていた。
「どうするよ?」
「俺に聞くな!お前が言ったんだろ」
「1年半通ってるけど、全然いねぇ~な。まさか俺たちの学級にはいないんじゃね?」
「いや1人だけいるぜ」龍二は拓を見た。
「誰だよ?あ!?まさか・・・」拓は何かを思い出す。
「あぁ、あいつだよ」
2人はすぐさま柔道部が練習する道場へと向かった。
「た~の~も~!!」拓は大声で叫びながら扉を開けた。
ガラガラ ドーーン!!
その音に反応し練習中の部員全員が睨みつける。
「おーい!ゴリ居るかぁ~?」
「なんじゃ~!!」遠くの方から一人の部員が飛ばされて拓達の足元で倒れた。
そしてのしのしと190cmは有ろう巨体が近づいて来る。
「よぅ・・・ゴリ、面貸せや!」
「貴様等いい度胸じゃの~」
ゴリ、本名は岡村剛
あだ名の由来は見た目。見た目がゴリラだからゴリただそれだけで、
中学の時、龍二はゴリとライバルだった。
ほぼ毎日目が合えば喧嘩、喧嘩で傷は今よりも絶えなかった。
だが高校で柔道部に入部し、ゴリは徐々に不良から遠ざかって行った。
今では大会で優勝するほど実力もあり、来年は部長候補らしい。
3人は道場裏の空き地に向かった。
「お前等わしになんか用か?」
拓は頭を掻きながら恥ずかしそうに言う。
「いや~実はよ急きょこの学校の天辺取ろうと思ってよ・・・相手してくれるか?」
ゴリはそれを聞いて即大声で笑う。
「ガハハハハハッ!!お、お前等そんな漫画みたいな事を・・・」
「だから嫌だったんだよ、こいつに言うの」
ゴリは笑うのを必死に止め、龍二達を見て言った。
「お前等バカだな。時間の無駄だと思わんのか?」
たしかにそう思うが言い返す言葉が見当たらず拓はゴリの足元に目線を移す。
そんな拓を助けるかのように龍二が口を開く。
「ゴリ・・・オメェも俺たちと変わんねーぞ」
「あぁ?チビ象やるか?」
「いや、やるのは俺じゃね~よ」と言い龍二は拓の背中を軽く押した。
拓は龍二を驚いた目で見た。龍二は笑って拓を見て言った。
「テメェをぶっ倒すのは俺じゃね。最高の相棒だ」
拓も笑い、振り返りゴリを睨んだ。
拓はゴリ目がけて叫びながら走った。
「うおぉぉぉぉ!!」
拓はゴリの脇腹に右蹴りする。
だが、ゴリの体は木のように硬く、右足は弾かれゴリは後ろに体重をのせ
大きく握りしめた拳を振り下げた。
拓はとっさに腕で顔を守ったが、向かってくる拳は止まらず拓にぶち当たった。
拓は2mほどぶっ飛び、そのまま立ち上がる事はなかった。




