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鶴見日向子の独り言(還暦過ぎてうつ病になった主婦の日記)  作者: 鶴見 日向子


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神降臨

ありがたかったお話

少し前のことです。


「サブタンクの混合水栓がおかしい」


と夫が言いました。


「私に言われても困る」


そう返事しました。


当時の私は、うつ病でほぼ臥せっている状態。


以前なら、自分で調べたり、材料をそろえたり、必要なら業者さんを頼んだりしたと思います。


でも、その時はどうしてもやる気になれませんでした。


結果――放置。


そして今月の水道代を見て、びっくり。


「なんでこんなに高いの!?」


原因は、混合水栓からの水漏れでした。


「だから早く何とかしてよ!」


私は激怒です。


夫はというと、どこ吹く風。


仕方なく、ネットで調べたり、ChatGPTに相談したりしました。


すると、どうやら交換そのものは素人でもできそう。


「水道代には代えられないか……」


重い腰を上げることにしました。


すると夫が、


「二人でやろう」


と言います。


「どうせ口だけ出すんでしょ? やるなら一人でやります!」


そう言いながらも、水栓は本人が使うもの。


後で文句を言われても困るので、一緒にホームセンターへ行くことになりました。


店に入るなり、


「こっちだ」


と夫が歩き出します。


しかし、その方向は水栓売り場ではありません。


別の店と勘違いしているのです。


私は無視して本来の売り場へ直行。


しばらくすると、夫が何事もなかったような顔で合流しました。


店員さんにサイズなどを相談していると、


「安いのでいいだろ」


と夫。


「サイズが合わなかったら付けられないんですけど?」


またしても意見がぶつかります。


結局、サイズの合う中で一番安いものを選びました。


ところが問題はまだ続きます。


交換にはモンキーレンチが必要なのですが、我が家にはありません。


夫が勝手に一つ持ってきて、


「軽いからこれでいい」


と言います。


「いや、サイズがあるから合わせないと」


「どれでも同じだろ」


そんなやり取りを見ていた店員さんが、なんとも言えない表情になりました。


そして、おそるおそる、


「あの……当店の提携業者でしたら、比較的お安く工事できますが……」


と声をかけてくださいました。


金額を聞いてびっくり。


思っていたよりずっと安い。


「お願いします!」


私は即決でした。


夫は少し渋い顔。


顔に、


『自分でやればタダなのに』


と書いてあります。


さらに店員さんが、


「壁はどのようなタイプですか?壁によっては素人では危険です」


と質問。


夫「タイルです」


私「防水加工した化粧合板です」


タイルだ。


いや、化粧合板だ。


また言い争い。


私はとうとう、


「そんなに安く工事していただけるなら、私は絶対やらない。自分でやりたいならどうぞ」


と言いました。


夫、しぶしぶ白旗。


店員さんは、目に見えてほっとしていました。


本当にありがとうございました。


そして、その日の午後。


業者さんが見積もりに来てくださいました。


現場を見るなり、


「ああ、これ危なかったですね」


とのこと。


「合板なので、素人がやると中の配管を傷めたり折ったりすることがあるんですよ」


えっ!?


そんな危険があったの!?


思わず声が出ました。


どうやら、ネットで見た交換方法は、もっと単純な構造のものだったようです。


もし店員さんが声をかけてくださらなかったら――。


たぶん、私たち夫婦は余計な出費を増やしていたと思います。


あの日の店員さんは、間違いなく神様でした。


店員さんに「これは、危ない人達だ」と思われたのかと・・・


本当に、ベストなタイミングでした。

「ありがとうございました」でした。

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