なぜか夫が後輩になっていた話
10年ぐらい前のお話です
私は楽器演奏が趣味でした。
中学・高校と続けていたのですが、卒業と同時にやめてしまいました。
それから大人になり、今の場所へ引っ越してきたところ、小さな楽団がありました。
ひょんなことがきっかけで仲間に入れていただき、約20年ぶりに楽器演奏を再開することになりました。
長いブランクはありましたが、仲間たちはとても親切で、みんな仲が良く、本当に楽しい時間を過ごしていました。
そんなある日、楽団のメンバーではない方から、
「うちの楽団にも来ない?」
と誘われました。
しかし、練習時間や場所が私の生活に合わず、お断りしました。
それに、大変失礼な言い方ですが、その楽団は初心者の方が多く、学生時代とはいえ一応経験者だった私にとっては、少々物足りなく感じたのです。
もちろん、そんなことは口には出しませんでした。
当時は何かと忙しく、時間にも余裕がありませんでしたから。
ところが、その方はなかなかあきらめませんでした。
そしてある日、私を駐車場に呼び出したのです。
「あなたのご主人のことなんだけど。ご主人って私の後輩なの」
私は思わず首をかしげました。
夫は他県出身ですし、その方はずっと地元で暮らしている方です。
それに、夫の方が年上です。
どう考えても話が合いません。
「それはないと思います」
そう答えれば済む話だと思ったのですが――。
「あなたは知らないだけよ。後輩で間違いないの。あなた、騙されているのよ」
その方は断言しました。
いやいや、そんなはずはありません。
夫の中学・高校時代の友人とも交流がありますし、何より亡くなった姑はバリバリの大阪人でした。
それでも、その方は譲りません。
あまりに自信満々なので、
「もしかして主人はここの県出身だったのかしら?」
と、こちらまで錯覚しそうになったほどです。
もちろん、そんなことはありません。
そこで私は、
「どなたかと間違えているのだと思います。私と同姓同名の方が県内の別の町にいらっしゃるそうなので、その方と勘違いされているのでは?」
と伝えました。
すると、その方は言いました。
「あなたの名前は関係ないの! そうじゃないの!」
そして続けます。
「××君という子が私の後輩にいたのよ!」
なるほど。
しかし、それだけです。
苗字が同じというだけで、その方が私の夫だと思い込んでいるのです。
「その方のお名前は何というのですか?」
私が尋ねると、
「覚えてないわよ! とにかく××君よ!」
と言い切りました。
いや、そこは覚えていてほしい。
その時です。
私たちが二人で話しているのを見た別のメンバーが近づいてきて、
「何を話しているの?」
と声をかけてくれました。
私はようやく解放されました。
その方に、今あった話を説明すると、
「……へえ」
と微妙な表情を浮かべ、そのまま黙ってしまいました。
どう反応していいのかわからなかったのでしょう。
我が家が転勤族だということは、周囲も知っていましたから。
その方とは、このほかにもいろいろありました。
結果的に、私が楽器演奏から離れたことで縁も切れました。
今となっては、それで良かったのだと思います。
不思議だったのは、その方の周りには、いつも意見に同調する方々がいたことです。
私も仲間に取り込めると思ったのでしょうか。
今でも時々思い出しては、複雑な気持ちになります。
まあ、せっかくですので、こうしてネタにして昇華させていただこうと思います。
こういう人って「いるいる」なのでしょうか?
幸い離れる事ができましたけど、今来られたら本当にこちらがおかしくなると思います
本当に未だに理解に苦しみます




