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最強の嫁  作者: Mosskva
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防災の日は、夏日だった

2024年6月3日

妻の入社式であった。47歳にして大手企業に入社する妻。

どれほどの思いと不安があるのか私には知るすべがない。

気丈に日常のごとくふるまう妻ではあったものの、やはり入社の日が近づくとともに

「昔のように業務ができればいいんだけど」

「通勤大丈夫かなぁ、雨の日はつらいだろうな」

などのネガティブ発言が多くなった。

私自身、あなたならと言いたかったが、「大丈夫」とは簡単に言えなかった。

また、現在、失業保険を受給している無職の私が「がんばって」とは何か違うような感じだから

ネガティブ発言に対しては、うなずくしかできなかった。


4年前の2020年防災の日。

妻は大手企業で契約社員として働いていた。

雇用されて半年がたつその日。年次有給休暇20日がもらえる日でもあった。


2,3日前から妻が

 「老眼になったのかしら、なんだか目が見えづらいのよね」としきりに目の違和感を言葉にしていた。

妻は、「歯がいたい」とか「太もものほくろは悪性じゃないかしら」などすぐに言葉にするため、いつものことかと気にもとめなかった。そもそもA型でありながら、自身や子供の身体以外のことはいたって無神経質であった。

 無神経質とは私が作った造語ではあるが、妻にぴったりの言葉だから我が家ではよく使う言葉である。

お菓子など食べ終わってゴミ箱に捨てず、まるで「私がタベタゾォ」と主張しているかの、テーブルにそのまま放置

食器洗浄機は、機械の性能を確認してるのかと思えるぐちゃぐちゃな入れ方

洗濯も同様、洗濯機に挑戦してるのか?エラーでまわらなくなるほどいれてる。

床に落ちたものもパクっと口の中にほりこむ

脱いだ服はソファに山積み

なかなかの無頼漢である。

そんな妻と同居しているのだから、B型の私でさえ、家事洗濯のレベルは飛躍的に高くなった。

ここで妻の名言を

「できる人間がやればよい。得意な人間がやればよい」

もっともである。気になるなら気になる人がやればよい。これが我が家である。


そんな妻が目の違和感を言葉を残し、出勤していった。

まぁ何気ない日常の一コマであった。


その日の昼すぎ

妻から会社に電話があり、会議中の私に「すぐに奥様へ電話してください」とかかれた紙切れを部下が持ってきた。

当年度の事業計画後期修正を社長に説明する会議だったので少し面倒だと思いながらも妻に連絡した。


「パパ、私、今、聖路加病院にいるけどこれる?先生がパパを呼んでと言ってるの」

「どうしたんだ?」

「朝目がおかしいと言ってたでしょ。仕事してたんだけど、このままではなんだかダメな予感がして」

「話はあとで聞く、すぐに行くから」





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