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転生先は北の辺境でしたが精霊のおかげでけっこう快適です ~楽園目指して狩猟、開拓ときどきサウナ♨~  作者: ふーろう/風楼
第五章

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戦闘開始


 

 燃えながら迫ってくる黒精霊。


 それを迎撃するためにシェフィ達が結界を押し付ける。


 その隙に猟銃へと持ち替えをし、近距離戦に備える。


 そして迫ってくる黒精霊に二連射、一発弾を一気に撃ち込む。結果は命中、しかし黒精霊は一切怯むことなく、こちらに迫り続けている。


 一発弾は当たれば人間が軽く吹っ飛ぶ威力あるらしいのだけども、それが全く怯まないとは驚いてしまう。


 すぐさま再装填、その間グラディスが動き回って距離を取ってくれて……そこからの動きで黒精霊が俺を狙っていることが判明する。


 他の何にも目をくれず、ただただ俺へと一直線……ならばとそれを利用してシェフィ達と上手く連携出来るような位置に誘導しながら何度も銃弾を叩き込んでいく。


 一切怯まないものだから効いているかは分からないが、とにかく撃って撃って撃ち続ける。


 ……と、そこで燃え続けている黒精霊に変化がある。腕が生えてきた。


 シェフィ達のような小さなものではなく、割と長く力強く見えるしっかりとした腕、そしてその腕の先には猟銃によく似た形状の筒が握られていた。


 しっかりストックがあり引き金があり、それを片腕で軽々構えていて、


「グラディス!!」


 すぐさま俺がそう声を上げ、グラディスが銃口を避けるように大きく跳ぶ。


 直後に轟音、弾丸のような何かが発射され俺達が先程までいた場所へとぶち当たる。


 そして俺は見ていた、やつの指が引き金を引いていなかったことを。


 ……何をするつもりかと睨んでいた結果、そんな光景を見てしまっていて、それでただただ猿真似をしているだけだと察する。


 引き金の意味はもちろんのこと銃の構造も仕組みも一切理解していない、ただ形だけを真似て似たような現象を何か別の理屈で引き起こしている。


 しかし銃口から発射されるという、その点だけは一致しているようで、そこからグラディスは黒精霊が構える銃口から逃げ続ける。


 引き金を引かないものだから発射タイミングが一切分からない、ただただ逃げ続けることしかできない。


 揺れるグラディスの背の上で俺は懸命に狙いを定めて銃弾を撃ち込んでいって……本体ではなく銃のようなものを破壊出来ないかと試していく。


 何しろ遠距離武器は厄介だ、しかも着弾点は手榴弾が爆発したみたいな被害を受けていて、威力がとんでもないことが分かる。


 破壊出来るのかも謎、破壊出来たとしてそれで攻撃を防げるのかも謎だが、今はやるしかないと連射を決めていく。


 段々と熱を持ってきた猟銃からライフルに持ち替えて狙撃、ほとんど命中しているのだけども、ダメージがあるのかはよく分からない。


 撃って撃って撃ち続けて、何度撃ったかも分からないくらい撃ち込んで、そこでポケットの中に弾がないことに気付く。


「ん!?」


 一旦銃を肩にかけ、両手で探るが弾が残っていない。


 いや、撃っている間中、どんどんポケットがスカスカになっていて、そろそろ無くなるかも? とは思っていたが、まさかもう弾切れとは……。


 ダメージらしいダメージを与えられないままの弾切れ、銃にもかなり負担をかけてしまっているし、どうしたら良いんだと全身で冷や汗をかいていると、結界をどうにか構築しようとしていたシェフィが諦めてこちらへとやってきて、頭に張り付く。


『一旦、猟銃もライフルも回収するよ!』


「分かった!」


 説明を聞いている暇はない、こちらが攻撃してこないと見てか、連射を始めた黒精霊の攻撃を懸命に避けていく。


 しっかりと手綱を握ってグラディスと息を合わせて、跳んで駆けてのタイミングで体を動かして。


 そうやっていると猟銃とライフルをすっと俺の肩から抜き取ったシェフィが工房の白いモヤへと入っていく。


 それからしばらく逃げ回って……グラディスの息が切れ始めた頃、シェフィが戻ってきて、新たな銃を手渡してくる。


 形状はほぼアンチマテリアルライフル、銃口付近に四角い……何かがついていて、戦車とか車にダメージを与えられるライフルだったか……全体的に作りがいかつい。


 ただ大きさが全然違って、今まで使っていたライフルとそう変わらない。


 アンチマテリアルライフルはもっとデカくて反動もヤバく、地面に寝転がって使っていたイメージだったが、このライフルはストックの形を見るにどうやら、普通に肩に当てて使うものらしい。


『対黒精霊用ライフルだよ! 急ごしらえだけどそれなりの出来になってるはず!

 中に込めた弾丸は精霊弾、既に装填済みで……一発にボク、ドラー、ウィニア全員の力が込められているよ!

 それで倒せるかはわかんないんだけど、今のボク達に出来る最大の武器だから、やるだけやってみて!!

 今も燃え続けていることを見るに、精霊の力ならきっと効いてくれるはずだよ!』


 尚も逃げ回るグラディスの背の上で、新しいライフルをあれこれと試している俺に、頭に張り付いたシェフィがそう声をかけてくる。


 マガジンはあるのだけど、マガジンを排出するための機構はない。


 恐らくだけども再装填を最初から考えていない、今込めてあるの弾を撃つためだけのライフルで……もうこれ以上弾がないのか、そんな機構を作る余力がなかったのか、とにかく撃ち終えたらそれで終わりということらしい。


「残弾の数は!?」


『10!!』


 とのことなので10発込められているようで恐らくオートマチック、重くはなく軽く、取り回しやすい。


 スコープも驚く程見やすく、今までのものとは別物なのがよく分かり……電子的な仕組みが組み込まれているのか、中央に何かを捉えるとそこまでの距離が表示されるというとんでもない機能つきだ。


 そうした機能を確かめたなら、相変わらず連射をしながらこちらに迫ってきている黒精霊へと銃口を向ける。


 それから静かに、そっと引き金を引くと凄まじい音と反動をかましながら弾丸が発射されて命中、とんでもないことが巻き起こる。


 まず光、シェフィの力か、それが黒精霊の瘴気を引き剥がす。


 次に炎、既に燃えてはいたのだがそれが更に大きくなり……そこに風が巻き付くことで炎が一気に膨れ上がって黒精霊が炎の塊となる。

 

 そこまでされると流石に効いたようで黒精霊は、それから暫くの間、なんとも言えない甲高い悲鳴? を上げながら悶え苦しむのだった。




お読みいただきありがとうございました。

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『シェフィ!RPGを!』 『無理!』 『ならガトリング!』 『イヤ!』 『地球破〇爆弾!』 『ナニソレ!』
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