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転生先は北の辺境でしたが精霊のおかげでけっこう快適です ~楽園目指して狩猟、開拓ときどきサウナ♨~  作者: ふーろう/風楼
第五章

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異邦の地での戦闘


 より早く鋭く走るためか四足で駆けてこちらに向かってくる敵は5体、3人で相手するには数が多い。


 まだ拠点もしっかりしておらず、逃げる以外に安全地帯はなく……ここは手加減などせず対処すべき場面だと判断し、ベルトでもって背負っていたライフルを選択、迫ってくるサイ魔獣の一体に銃口を向ける。


 同時にグラディスが駆け出し、敵の突進を回避しつつ狙いやすい位置へと動いてくれて……引き金を引いて発射、猟銃とは比べ物にならない反動に耐えて騎乗姿勢を崩さずに再装填を試みる。


 再装填をしながら状況を確認してみると、ユーラが一体、サープが一体引き付けていて……残りの2体がこちらに迫ってきている。


 そして残りの一体は、急所に命中したのだろう、地面に倒れ伏していて、ライフルによる奇襲は上手くいったようだ。


 しかし一発1000ポイントの弾を使っているので恐らく赤字……まぁ、ここは赤字も仕方ないかともう一度ライフルを構える。


 ポイントよりも安全第一、見知らぬ土地を駆け回って戦い続けるというのもリスクがある、まずは数を減らして戦いやすい状況を作るべきだろうと狙いを定め……引き金を引く。


 と、直後に聞こえたのは先程とは全く違う衝撃音、発射音よりも力強く響くそれはサイ魔獣の角から響いてきたようで、よく見てみるとまさかの角でライフル弾を受けている。


 当然無事ではなく、角を弾が貫通し、額と言ったら良いのか鼻筋と言ったら良いのか、その辺りにも命中しているようなのだが、出血がないのを見るとその硬い皮膚でもって弾いてしまったようで……思わず声が出る。


「1000ポイントがっ!!」


 声を出しつつも冷静に……焦らず怒らず、丁寧に再装填。


 どうせ大赤字ならもう気にせずやってしまえと、3発目を発射する。


 今度はサイ魔獣の右目に命中し、見事ダウンした……が、今のサイ魔獣、ライフル弾を避けようとしていやがった。


 狙いは中央だった、胸の辺り喉の辺り、そこら辺を狙った結果、少し銃口が跳ねて先程傷つけた額に狙いが合ってしまい……そこに命中するはずが何故か右目。


 避けきれなかったが避けようとしたらしい、一瞬だけどもしっかりと体を動かしていて……まさかライフルに対応する魔獣が出てくるとは。


 猟銃ならまだしもライフルにかぁ……人間にはまず不可能な技だろうなぁ。


 精霊の加護を受けた俺でも難しいはずで……以前戦ったのとは全くの別物のように思える。


『まぁ、精霊が作った回廊を抜けて無事に済む訳ないしねぇ、あの段階で結構弱ってたんだよ。

 それにこの辺りは少し前までは瘴気がうんと濃かったから、その分だけ力が増しているんだよ。

 ヴィトー達の加護みたいなものかな……? まぁ、近いものだと思ってくれて良いよ。

 まぁ加護と違って連中のは、瘴気が薄くなるだけで弱体化しちゃうんだけども』


 と、心を読んだらしいシェフィが、後頭部にがっしりと張り付きながら声をかけてくる。


 つまりはこちらが普通で、前にやり合ったのは弱体化状態だった……と。


 皮膚は硬く力強く、角はライフル弾を砕けながらも受けて、グラディスに追いつかないまでも、追いすがるくらいの脚力もある。


 相当な強敵であることは確か……だけども、一対一になれたのだからと、ライフルの安全装置をかけて背負い直す。


 それからグラディスの鞍に固定してあった猟銃へと手を伸ばし、猟銃でどこまでやれるか試しておくべきかと中折れ状態にし、弾を込めて構え……安全装置を外す。


 そして……ライフルより構えやすくなった銃身をしっかりと支えた上で引き金を引く。


 狙いはより正確になっている、二連射もいける……相応の勝負になると思っての二連射、だったけども、二連射共あっさりと左右へのステップで回避されてしまう。


 そんな風に回避出来るものではないと思うのだけども、これが魔獣の本領発揮なのだろうなぁ。


 逆に考えると今まで暮らしていたあの土地は、相応に魔獣を弱体化出来るくらいに浄化が進んでいた訳で……俺が覚醒する前からその状況を維持していた村の皆には、頭が上がらないなぁ。


 移動や回避はグラディスに任せて再装填、その間サイ魔獣はどうにかグラディスに食らいついて、頭を下げて角の先端を光らせての突撃をしてくる。


 が、グラディスは余裕を持ってそれを回避し、それだけでなく跳び上がり、すれ違いざまにサイ魔獣の体を踏みつけて足場にするという攻撃まで繰り出してくれる。


 俺とグラディスの体重を蹄の先端という一点に集約させての踏みつけは、弾丸にも負けない威力があるはずで、サイ魔獣からは、


「ブォォォォーーーー!!」


 という声が上がる。


 野太く力強く……あまりにも力強いものだから悲鳴には聞こえなかったが、悶えていることを見るに恐らくは鋭い痛みを受けての悲鳴なのだろう。


 ならばとその隙を逃さず二連射、今度は外すことなく肩の辺りに命中した……が、サイの肩は特に皮膚が分厚く貫くどころか銃弾が潰れてしまっている様子が見える。


 裂けて広がって花のようになってしまって……ダメージらしいダメージはないようだ。


 凄まじい硬さだと驚きながら再装填をし、再度しっかりと構える。


 今度は腹か足かを狙うべきだろう……あるいは背後からの一撃。


 尻辺りならまぁー……それなりの一撃になるはずだ。


「グラディス、腹か足、背後を狙いやすい位置にお願い!」


 俺がそう声を上げるとグラディスは、どこを狙うのか大体察したのだろう、一瞬振り返って半目でこちらを見てくるが、すぐに前に向き直り、軽快な足取りで駆けてくれる。

 

 馬とは少し違って跳ねるように駆ける恵獣。


 雪深い中でも駆けられるようにと、独特の走法をしているようで……それが俺にとってはとても構えやすく、敵を狙いやすい。


 そうしてグラディスは、跳ねて跳ねて駆け回り、相手を踏みつけ怯ませた上で背後に回り、俺に大きなチャンスをくれる。


 息を整え力まず丁寧に、しっかりと引き金を引いた俺は、二連射を狙い通りに命中させて……どうにかこうにかサイ魔獣を討伐するのだった。


 


お読みいただきありがとうございました。


次回はユーラとサープの予定です

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