表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

161/179

番外編 コミカライズ2巻発売記念SS


 朝起きて身支度を整えて、グラディス達の簡単な世話を終えての朝食の時間。


 食堂前の広場へと向かうと、何故だか人だかりが出来ていて……その中心にいるのはドラー、炎や火を司る精霊だった。


『おう! 揃ってきたな!

 今日はこのドラー様がごきげんな朝食を用意してやったぞ! 火の力を存分に味わっていけ!!』


 と、そう声を上げたドラーの前にはレンガを組み上げて作ったらしい炉があって……その中からなんとも良い匂いが漂ってくる。


 炭火と……スモークチップの匂い? 燻製なんだろうか?


 そして良い感じに焼かれているらしい肉の香りも漂ってきて……何人かの大人達が、ドラーの指示の下、火かき棒などでその炉から黒い塊を取り出す。


「……炭の塊?」


 と、思わずそう言いたくなる程に真っ黒なそれを見つめていると、ドラーは『チッチッチッ』と舌打ちをし、分かってないなぁと態度で示してから……大人達にその黒い何かの皮のようなものを剥かせていく。


 剥き上がって分かったのだけど、どうやらそれは大きな木の葉っぱだったようだ。


 木の葉っぱで包んで油かバターかを塗って、その上でじっくり燻製した結果、表面が真っ黒になっていた……ということらしい。


 そんな葉っぱの中には大きな骨付きバラ肉が入っていたようで、とんでもない程の香りを放っている。


「スパイスの匂いと……葉っぱと燻製と肉本来の匂いかな。

 うぅーん……これは食欲にダイレクトに来るなぁ」


 なんてことを俺が言っている間に、調理用テーブルにそれを乗せた大人達が、ナイフで切り分けていく。


 ナイフが通る度に肉汁が弾けて、押されることで中から溢れ出してきて……どう調理したのかは謎だけども、しっかりと肉の中に肉汁が詰まっているようだ。


『炎の力を完璧にコントロールしてやったからな!

 人間にも……出来ないことはないけど難しい仕上がりになってるぜ!

 肉はじっくり焼いて柔らかジューシー、スパイスは香りを強く出しつつ焦げないように調整してやって……一切のミスなしの最高の火加減ってやつだ!

 さぁ、皆で食おう、精霊も食うぞ! こんなに美味い肉はそうそうお目にかかれねぇからな!!』


 そうドラーが声を上げると、村の皆が大歓声を上げる、シェフィとウィニアも上げる。


 ユーラとサープとジュド爺と、アーリヒまでが歓声を上げていて……いつの間にか誰かが持ってきたらしいワイン樽までが中央に運ばれて主役の仲間入りをする。


 そうやって始まった朝食とは思えない豪勢な食事は……前世も含めて初めてこんなに美味しい肉を食べたってくらいに美味しくて、ついついおかわりをしてしまう味で……そうして俺を含めた村の全員が食べすぎてしまい、太陽がてっぺんに来るまでの間、皆動きが鈍くなってしまい……結局この日は特別な休日、炎の精霊の休日ということになり、皆で美味しすぎる肉の余韻に浸る日となったのだった。



お読みいただきありがとうございました。


本日コミカライズ2巻が発売です!!


書店などで見かけた際にはチェックしてくださいな

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

書籍版紹介ページ

書籍、コミカライズ発売・予約中! 画像クリックで通販ページに飛びます。
mnijqs95k05fkifczb7j2ixim1p_k0i_15z_1nn_13kk2.jpg mnijqs95k05fkifczb7j2ixim1p_k0i_15z_1nn_13kk2.jpg
― 新着の感想 ―
『クッキュン!!』
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ