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狙撃


 地面に寝そべり、こんな格好だったかなと大股を開いてスコープを覗き込み、しっかりを狙いつけたならまずは一発……命中。


『撃ったらレバーを操作して排莢してね、そうすると次の弾丸が装填されるから』


 言われるままに操作をして排莢、混乱が広がる中にもう一発、命中。


 うぅん、素直と言うか、何と言うか……スコープで狙ったままに当たってくれるなぁ。


 確かライフル弾は最初は浮き上がって、その後に落ちていくみたいな動きをするとかで、それを考慮した狙いをつけるはずがあるのだけど……そこら辺は精霊が調整してくれているスコープが上手くやってくれているらしい。


 二連続で馬上の騎士を狙撃成功させたことで、残りの騎士達は状況が分からないまでも奇襲をされていると理解したのか、戦闘態勢を取ろうとし始める。


 サイレンサーが優秀過ぎて一切の音がしていないため、こちらの方向にすら気付いていないようで武器を抜き放ってキョロキョロと周囲を警戒して……広がっての陣形を取ろうとする者や、その場から逃げ出そうとする者も現れて、素直に歩いていた道から離れた結果、仕掛けられていた罠が発動する。


 落とし穴だったり、仕掛け紐を踏んだことにより鉄の針のようなものが埋め込まれた木材が落下してきたり、トラバサミのようなものに足を挟まれたり。


 そうして混乱が広がる中、続けて狙撃……確実に騎士だけを狙って数を減らしていく。


 周囲の従卒は……無理に狙わなくても良いのだろうなぁ。


 戦意が低く練度が低く、腰に剣を下げているのに抜かずにただ慌てているだけの者までいる。


 特に騎士を失った一団の動きの悪さは顕著で……中には騎士を失った馬が恐怖から暴れてしまって、その馬にやられてしまった者までがいる始末だ。


 手綱握って制御するなり、したら良いだろうになぁ……と、そんなことを考えずにどんどん撃っていく。


 そうやってマガジンの弾を撃ち切ったら、確かゲームでボックス型とか言われていたはずの弾倉を排出し……手を伸ばしてきたシェフィに渡す。


『ゲームとかでは投げ捨てたりするけど、もったいないから捨てちゃダメだよ。

 ボクが受け取ってメンテナンスしてから再利用するから、捨てないでね。

 で、今回はサービスで最初から弾を入れてあるマガジンを渡すけど、次回からは自分で装填しておくんだよ』


 するとシェフィはそう言いながら弾が入っているらしい新しいマガジンを渡してくれて、俺はそれをしっかりと装着する。


『マガジンを装着したらもっかいレバー、そうやって装填したら撃って良いよ』


 言われるままに操作し、もう一発……それからもしっかりと狙いをつけながら撃っていき……二個目の弾倉を空にしたところで、シェフィから待ったが入る。


『銃身がだいぶ熱くなってるから、ちょっと休憩しようか。

 切羽詰まってる状況ならボク達がメンテしたり、銃身の交換をしたりするんだけど……今はいらないでしょ?』


「……うん? 銃身の交換って、そんなに簡単に出来るものなの?」


『これはそういう前提で作ってあるからね。

 銃身とか他のパーツを変えることで、好きな口径の弾を使えたりするよ。

 使う場所や目的で換装する感じだね。

 ……まー、ヴィトーはほとんどのポイント使い切っちゃったから、換装パーツを手に入れるためにはまたポイント集めないとだけどね』


 ……俺が使い切ったというか、勝手に使われちゃった感じなのだけども、まぁ役に立っているし、不満はないから構わないか。


 シェフィの言う通り少し休憩することにし……その間、スコープを覗いて敵の動きを観察する。


 何人もの騎士が殺され、数え切れない程の罠に翻弄されて、混乱の極みといった状態の敵だったけども、狙撃が中断されたことで段々と落ち着きを取り戻しつつある。


 狙撃された騎士の容態を確認したり、こちらをどうにか見つけようとしたり……なんらかの魔法を使っているらしい者もいる。


 杖を掲げて先端を光らせて……あれは何をやっているんだろうか?


 ……どんな効果にせよ、この辺りで魔法を使われるのは勘弁してもらいたいので、次は杖を構えている連中から狙撃しないといけないかな。


『良いよ』


 そんな中、シェフィがそんな声を上げてきて……銃身が冷えたという意味なのか、魔法使いを狙撃しても良いという意味なのか……まぁ、どっちにしても結果は変わらないかと、また狙いを定め……杖を光らせている者達から狙撃をしていく。


 何度か狙撃に成功した段階で、こちらの狙いに気付いたらしい相手は、盾を構えながら魔法使いを囲み始めるが……高所からの狙撃にはあまり効果がなく、邪魔になったとしても盾を構える者から狙撃したら良いだけの話で、あまり効果はないように思える。


 そうやってまた弾倉二つ分の狙撃を終えると、シェフィが休憩を促してきて……と、そこに人の雄叫びが響いてくる。


 ……村の皆の声だろうなぁ、こちらはこちらで居場所を隠す気がないというか、奇襲する気がないというか……殺意満々の声を張り上げているものだから、相手にあっさりとバレてしまい、警戒されてしまう。


「うぉぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「殺せぇぇぇぇぇぇ!!」


 殺意を隠そうともしない……が、その声があまりにも凄まじいからか、騎士達の混乱が強くなっていく。


 ウォークライ的な効果を果たしたと言って良いのか、段々と逃亡する者が現れ始め……狙撃の成功と罠とで数が減っていたこともあって、騎士達はあっという間に瓦解し、慌てた様子で逃げ始める。


 あんまりにも慌てているからか、武器や旗、なんらかの物資……仲間の遺体や馬までを置き去りにして逃げていき……村の皆が到着した頃には、それらだけが残されていて、敵の姿は完全になくなっていた。


 そんな状況を見た皆は……物資を運ぶための荷車に遺体を乗せ始めて、その荷車を南へと運び始める。


 物資や馬は自分達の物に、遺体は相手に返すと、そういう方針らしい。


 そんな一団の中にはユーラとサープの姿もあり……護衛の二人は戦利品よりも俺のことが気になるらしく、周囲をキョロキョロと見回している。


 見回しながらも罠があると知って動けずにいて……そんな二人に所在を知らせるために俺は、シェフィに猟銃を取り出してもらい……シェフィにお願いして空砲を作ってもらい、それでもって銃声を響かせ、二人に無事なことと居場所を知らせてあげるのだった。


お読みいただきありがとうございました。


次回はその後のあれこれです



そしてお知らせです


コミカライズ2巻が7月7日発売で予約が始まっています!

アーリヒとのサウナまでのストーリーになる予定ですので、ご期待いただければと思います……!

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