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Prologue

リントーム王国最強の一家、ジェラトーヌ辺境伯家にようやく産まれた待望の一人娘。

彼女は母親に似てとても愛らしく、屋敷中の誰もが彼女を愛おしく思い、それはそれは溺愛されて育ちました。

“セレニア”と名付けられたその子はジェラトーヌ家の屈強な兵士たちはもちろん、古株の侍女や執事でさえも魅了し、蝶よ花よと育てられました。


その結果……とんでもないツンデレに育ちました。


自分の気持ちを素直に言えず、それすらも可愛いと甘やかされ、恥ずかしさが振り切れてしまったセレニアはツンデレになってしまったのです。意地っ張りも相まって、彼女はツンデレというよりもどちらかというとツンになってしまったのです。


セレニアが結婚してもそれは変わりませんでした。夫となる人と淡い愛が芽生えかけましたが、セレニアはツンデレで全て台無しにしてしまったのです。夫とはいつの間にか距離ができ、セレニアは寂しく思っていました。


やがて、冷えかけた間柄だった夫との間に娘が生まれました。その娘はセレニアの色も夫の色も色濃く継いでいて、それはとても可愛い娘でした。娘は素直に育ち、セレニアもそれはそれは可愛く思っていました。


しかし、セレニアはツンデレなのです。


自らの娘への愛情も思ったように表現できず、すれ違う日々。育ってきた過程で培われた性質を変化させるのも難しいけれど、娘に素直に接したい。そんな矛盾をずっと抱えていました。


そして16年の年月が過ぎた頃、娘は学園で恋に落ちた相手を連れて家へと帰ってきました。それはもちろん、セレニアとセレニアの夫に結婚を認めてもらうため。でも……


『____貴女の結婚は許しません。』


禄に愛を注げなかった娘に対する未練でうっかりそんなふうに口走ってしまいました。しまった、と思ったときにはもう遅く、娘の瞳には涙が溢れ、娘が連れてきた相手にはひどく睨まれる始末。意地っ張りで撤回もできず、後悔のみが残る日々。


そんなある日のことでした。娘に行われていた意地悪がセレニアによって行われていたものであるという心ない噂から、セレニアは厳しいと有名な修道院へと流刑になってしまったのです。

行ってもいない愛しい娘へのいじめの罪を被らされたセレニアは、神に祈りました。



『神様、どうか来世では素直な私でありたいです』



そう願った翌日、セレニアは祭壇の前で目を瞑ったまま静かに冷たくなっている姿を発見されました。

これが悪母と呼ばれる、セレニア・フォーランスの半生でした。



_____『キミと愛を尋ねて ファンディスク』より


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