美久VS彩音 〈朝〉
「ん…んんぅ…」
なんか…暑いな…それに自分に何かが乗っている気がする…
それをどかそうとするが、俺を掴んで離さない…
なんか胸に柔らかい感触があるんだが…それにいい匂いがする… ん？なんかこの匂い嗅いだことあるぞ
不思議に思い目を開けると…
「あ、雪斗さん…起きましたね…！」
俺の上に義妹の彩音ちゃんが乗っかっていた。
しかも俺の胸に自分の大きな胸を押し付けている。パジャマは緩いものを着ていて、谷間が見えそうだ…
寝ぼけた頭でゆったりとそんなことを考える。
ん〜…やっぱり眠いから寝よ…そう思って俺は目を閉じようとした。…ん？いやおかしくない？
なんで彩音ちゃんが俺の上に居るの…？
流石に寝ぼけた頭でも今の状況を理解し始めて来た。
「雪斗さん…二度寝はだめですよ…」
「……えっ〜と…？そんなことよりなんで彩音ちゃんは俺の上に乗っかっているの？」
「雪斗さんを…その…起こしに来たからです…！」
「………ん？？」
え…？起こしに来たのと俺の上に乗っかっているのって関係ある？？
「俺が聞きたいのはなんでここに居るのかじゃなくてなんで俺の上に乗っかっているのかなんだけど…」
「こうした方が雪斗さんはよく起きると思いまして…だめ…でしたか…？」
彩音ちゃんは俺の上に乗って胸を押し付けながら、上目遣いで不安そうに俺に聞いてくる。
「え…えぇ…別にだめじゃないけど、逆に彩音ちゃんはこういう事して…恥ずかしくないの…？」
「もちろん恥ずかしいですよ…でも雪斗さんともっと仲良くなるためにはこうした方が良いと思いまして…」
そう言って彩音ちゃんは昨日のように満面の笑みを浮かべる。
「そう…」
昨日はめちゃくちゃおどおどしてたのに…
彩音ちゃんから仲良くなりたいって言ってくれるのは嬉しいけど、スキンシップ激しすぎない…？
流石に義妹になったとはいえ、こんなことされると俺もドキドキしちゃうからやめてほしいんだけど… こんな嬉しそうな顔してるのに言えないよなぁ…
「えっ………！？！？お兄ちゃん達何してるの!!」
「み、美久っ！？」
美久がいつの間にか俺の部屋に入っていた。
そうだった…いつもこの時間に美久は俺を起こしに来ていたな…というかこの状況どう説明すればいいんだ…！？
「美久さんですか…雪斗さんを起こしに来ただけですよ…」
ぶすっとした顔になって彩音ちゃんが答える。
え…彩音ちゃんこんな顔出来たんだ。…じゃなくてなんでこんな顔してるの…！？昨日は普通に話していたよね？？
「起こしに来ただけでなんでお兄ちゃんの体に乗っかっているの！？それに…お兄ちゃんを起こすのは私の役目なのに！」
「じゃあ…今日からその役目は私がもらいます…！」
「あげないから!!というか速くお兄ちゃんから降りて！」
「私は雪斗さんともっと仲良くなりたいだけです…美久さんは邪魔をしないでください…」
「仲良くなるのに抱きつくのは必要ないでしょ！？」
さ…流石に引っ越し2日目でこんなに言い合いしてるのはよくないよな…
というか彩音ちゃんは俺の上に乗っかってるまんまだし…
「あ…あの…1回落ち着こうか…？」
「お兄ちゃんは黙ってて!!」
「あ…すいません…」
え…？俺なんで怒られてんの…？
「雪斗さんにあたらないでください…」
「貴方のせいでしょ！」
――――――――――
結局その後も言い合いは続き、真由美さんがいつまで経っても降りてこない3人を心配して止めに入った事で終了した。
「じゃあ雪斗君を起こすのは一日交代、彩音ちゃんは雪斗君に抱き着いて起こすのは禁止って事で大丈夫？」
「それでいいわ！本当は私がお兄ちゃんを毎日起こす係だったのだけれど！」
「とりあえずらそれで大丈夫です…」
「雪斗君もそれでいいわよね？」
「え…？あ…はい」
………え…？てかなんでこんなこと決めてんの？
