第四十四話 こういう子なのよ
今回、多分今までで一番短いです。
「ところでさ」
「何です?」
愛美の問いかけに、Qちゃんは若干構えた様子を見せながら返している。この二人、先生と生徒だったらしいけど、どんな付き合い方をしていたのか、気になる。だけど、Qちゃんが嫌がりそうなので、俺は静かに二人のやりとりを見ている。
「なんで私がここにいるってわかったの? それに結構な距離を走ったはずよ……あんた、どうやってここまできたのよ?」
愛美がQちゃんに疑問を浴びせる。俺も気になってたんで、黙って聞いている。
「『ヒラメイカー』を使ってマナちゃん発見機と乗り物を用意して追いかけてきたんですよ」
なんだそんなことかという感じであっさりと説明するQちゃん。
「発見機……。ふーん」
愛美は発見機と聞いて何か思うところがありそうな口ぶりだが、俺は乗り物を用意したということが気になった。愛美が口を閉じたまま何かを考えているようなので、俺が口を開いた。
「乗り物って、車でも作ったんですか?」
俺の質問に目を輝かせてQちゃんが答えてくれる。
「車っていうか、カートですね! それに乗ってきましたよ!」
発明品の話になると相変わらずテンション高いな、この人。前のめりで被せる様に話してくるQちゃんから一歩弾きつつ彼女が来た方向をみるが何もない。さっき走ってきてたしな……。
「それはどこに?」
俺がその疑問を口にするとQちゃんの表情が曇り少し俯く。
「大破しました……」
ええっ!? それは大ごとじゃないか。だが、驚く俺とは違い、愛美が普通に返した。
「まあ、想像つくわね、あんた不器用だし。何があったのよ?」
「ブレーキとアクセルを踏み間違えまして……。民家に突っ込みかけたんで緊急脱出装置で脱出しつつ、自爆させました」
「あんた不器用だしね……、ってかカートってブレーキは左足じゃなかった?」
愛美の言葉に不器用、で済む問題か? と思っているとQちゃんがさらなる爆弾を投下してくる。
「知りませんよ。私、運転免許持ってないですし」
ええっ!? 免許持ってないのに公道走っちゃダメだろ。二連続で驚いて更に後退った俺に向かってQちゃんが慌てる様に言う。
「大丈夫ですよ! それまでは安全運転でしたし! それに自爆装置って言いましたが、爆発じゃなくて単に消滅するだけですし、ぶつかってないですから、周りの人にも物にも迷惑かけていません!」
Qちゃんが腕を振ってアピールしてくる。まぁ、そのカートは消滅したみたいだし、周りに迷惑かけてないなら……。ん? まてよ?
「発見機とやらも作ったんですよね?」
「はい! どこからでも、どこにいても、マナちゃんのいる位置が正確にわかる、特製マナちゃん発見機です!」
あ、またテンション上がった。対照的に愛美が苦い顔をしている。俺は単純な疑問を口にした。
「その発見機とカートを合体? 接続? させて、自動運転にすればよかったのでは?」
俺がそう言うと、Qちゃんはハッとした顔になる。愛美はうんうんと頷いている。
「………」
Qちゃんは俺と愛美を交互に三回ほど交互に見た後、がっくりと肩を落とした。
「思いつきませんでした……」
Qちゃんはそう言って黙り込んだ。
「こういう子なのよ」
愛美は呆れたような声で言うとQちゃんの肩をポンポンと叩く。そして、気持ちを切り替えたのか明るい声で言う。
「さてと。これからどうしよっかしらねー」
確かに、この先どうするべきか……。俺の目的は優子とアナザー優子、そしてアナザー圭祐を助け出し、安全なところに逃げること。
まずは。アナザー優子を探し出して合流しないとな…。
しかし、ユイの領域は壊滅。この二人はわからないが俺には頼る当てもない。
「現実的なところを考えたら、他の領域に受け入れていただくってところですかね」
そんなことを考えていると、Qちゃんが意見を出し、愛美が応じる。
「そうね。バラバラになった他の人もさがさなきゃだけど……。それはおいおい考えるとして、身をよせる場所が必要ね」
「マナちゃんは心当たり、あります?」
「うーん、無くもないんだけど……。どうかしらねー」
行く場所の案が彼女にはありそうだが、何やら思うところがあるようだ。
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