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第四十話 なにが「よし」なんだろうね

しばらくの間は月、木で更新できそうな気がします……。

「爆発物はどうです?」


 ふいに、向こうから声を掛けられる。そちらを向くと、黒い鎖を出していた人が隣に来ていた。


「青い光を無効化できるなら、爆弾で奴らをまとめて吹っ飛ばすことができるんじゃないですか?」


 彼の手には、手榴弾と思われるものが握りしめられている。なるほど…、条件さえ整えば悪くない案かもしれない。俺はそう思い、鎖の人に確認する。


「それ、いくつありますか?」

「えっと…、東野隊長が持っているものも併せて、 四つ、ですね」


 ……四つか。俺の顔が曇る。

 俺の「ジャミング」の効果は対象一人の能力の発動を封じることだ。黒づくめが爆風を吸収しようと青い光を出すのを止められるのは一人のみ。残りには防がれてしまうだろう。うまくいったとしても、一つの爆弾では一人しか倒せない。

 今、やつらは十人ほどいる。五人くらいだったなら、四人も倒せば戦力を大幅に削れたんだが、六人も残るのでは、効果的とは言えないな……。


「何か懸念があるのか?」


 俺の顔が曇るのを見て、東野と鎖の人が訪ねてくる。俺は、一人ずつしか倒せないであろうことを伝える。鎖の人は残念そうな表情になった。


「万事休すか……!」


 しかし、東野が打開策を打ち出してきた。


「敵を直接倒すんじゃなく、爆風で天井を崩して通れなくするのはどうだ? 藤沢くんがいる今、銃での足止めができる。その間に天井に爆薬を仕掛けて、一気に崩せば……」


 それなら、いけるかも!俺は力強く頷く。鎖の人も同様だ。


「俺と草野は銃撃でやつらを足止めする。藤沢くんは『ジャミング』でサポートを頼む。他3名は天井が崩れるように手榴弾を配置だ!」


 東野が声をはりあげる。草野というのは鎖の人のことらしい。この二人を除くいた三人が東野と草野から手榴弾を受け取ると壁に駆け寄り、爆弾が効果的に作用する箇所を探し始める。

 東野と草野が黒づくめの男に向けて銃を発射する。それに合わせて俺は「ジャミング」を発動する。黒づくめの男がダメージを受け膝をつく。しばらくすると立ち上がってまたこちらへ歩いてくる。

 彼らが近づいてくるが、爆弾を仕掛けているためこれ以上下がることはできない。こちらが仕掛け終わるか、やつらがたどり着くか、チキンレースになっていた。


 あと、3メートル。

 あと、2メートル。

 あと、1メートル。

 あと……。


 間際まで近づいた黒づくめの男が手を伸ばして俺たちを捕まえようとする。「ジャミング」に集中していた俺は死角から伸びてきた手に気が付かず、腕を掴まれてしまった。まずい!


「野郎!」


 ドカッ!


 東野が、黒づくめに体当たりすると、やつの手は俺の腕からはずれて、バランスを崩し後ろに倒れ込んだ。


「助かりました!」

「気にするな。ここまで近づかれたら銃は役にたたない。『ジャミング』はもういい。爆薬を仕掛け終わるまでなんとかして凌ぐんだ!」


 そういうと、東野は近くにいる別の黒づくめの男に足払いを掛ける。草野は自分に向かって手を伸ばしてきた黒づくめの男の手を逆につかみ、背負い投げを仕掛けている。すごい! でも、そっちに投げたらまずいのでは?

 俺がそんなことを考えていると、声が飛んできた。


「爆弾のセットが完了した! 皆さがって!」


 時間稼ぎはうまくいったようだ。俺たち三人はダッシュですぐに離れる。草野は背負い投げで飛ばされた黒づくめの男の顔面を踏みつけながら走って行った。

 爆弾をセットした三人も同じく走って下がり、六人全員が黒づくめから十メートルほど離れた場所に固まった。


「あそこの、赤い箱を銃で撃てば起爆します! 東野さん、頼みます!」


 爆弾をセットした三人のうちの一人が叫ぶ。それを聞いて東野は即座に銃を構える。


「まかせろ!」


 東野は、即座に狙いをつけて銃を発射した。


 パン!


 赤い箱に球が命中し、粉々にはじける。それを追う様に、天井と壁から爆発音が聞こえ、天井が一斉に崩れてきた


 ドン! ドン! ドン! ドカン! ガラガラガラ、ガシャーン!


 ものすごい音と振動だ。それとともに土煙がもうもうと舞い上がる。見事に崩れた天井は、通路を完全にふさいでいた。


「やったな、これで時間が稼げる」

「よし、俺たちも撤退だ。戦えないものに手を貸しながら脱出口に急ごう!」


 皆はほっとした顔を一瞬見せるが、東野がそういうとすぐに真剣な顔に戻った。俺たちは瓦礫で埋まった通路を後にして駆け出した。


「おっと、念のためにダメ押ししておこう」


 草野が走りだす直前でそういい、後ろを振り向いて手を伸ばす。何事かと足を止めて振り向くと、彼の手から黒い鎖が飛び出していた。それは瓦礫を包むように絡まっていく。彼の手からさらに鎖が飛び出し、壁と壁のをふさぐように張り巡らされた。


「よし!」


 そう言うと草野がこちらを振り向き駆け出す。それを見ていた俺たちも同じく駆け出した。


「なにが『よし』なんだろうね」


 唐突に声がした。その低い声は落ち着いて聞こえるが、同時に背筋が凍るような冷たさを感じた。


 「ぐわあ!」


 直後、背後から草野の叫ぶ声がする。立ち止まり振り返ると、草野は床に伏しており、その傍らに剣を持った男が立っていた。

 黒いスーツにマント、白い仮面をつけた男が立っている。その足元には、草野が伏しており、ピクリとも動かない。

 男の手には、細長い剣が握られている。確かあれは、レイピアという主に突きに使う剣だ。その剣の先は赤く塗れていた。

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