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第三十九話 侵入経路はAルート!

長らく開いてしまいました。この先も休み休みになってしまうと思いますが、がんばって書いていきたいと思います…。

 俺は今日も訓練室で、特訓ちゃんマーク2を相手にしていた。Qちゃんが改良してくれたおかげで、戦いの流れを先読みして「ジャミング」を発動する訓練は順調だった。

 その訓練をしつつ、頭の中では常に千佳が最後に使った「空白」について考えを巡らしていた。

 あのとき確かに「空白」は使われたはずだ。しかし、俺に向けて発動した形跡を感じられなかった。ならば……。

 俺は思考しながらも体は動き、特訓ちゃんの攻撃を防ぐ。「ジャミング」の発動も息をするようにスムーズに行えるようになっていた。

 攻撃を防いだ俺が反撃しようとした時、突然、頭の中に声が聞こえてきた。


「現時点をもってユイの領域(ユイ・テリトリー)を放棄します。全員速やかに脱出してください。この領域(テリトリー)の所在が敵に知れてしまった可能性があります。繰り返します。全員速やかに領域(テリトリー)を放棄、脱出してください。脱出経路は複数あります。警備班の指示にしたがってすみやかに脱出してください」


 これは……ユイの声か。話す内容からすると、領域(テリトリー)にいる全員の頭に聞こえているのか?

 離れたところにいる不特定多数の人間に自分の声を聞かせる能力……、とんでもないな。


 俺はすごい能力だと驚く。そして特訓ちゃんマーク2を停止させながら考える。アナザー優子は大丈夫だろうか。調達班のメンバーと行動を共にするだろうし、大丈夫だろうとは思う。しかし、そばについていてやりたいとも思う。

 少し葛藤したが、俺はアナザー優子を探すことにして、訓練室を出た。




 領域(テリトリー)内は大騒ぎだった。

 ここに住む人達のは、戦える者だけではない。調達班や、食堂の調理、掃除洗濯など、彼らは、戦いとは離れたところで領域(テリトリー)に貢献している。

自分や身内が超能力を持ってしまったために、超査室から目をつけられて家族と共に領域(テリトリー)に匿ってもらっている、一般人と言ってもいい人たちだ。そんな彼らが、安全なところに匿ってもらっていると安心していたところに、敵が襲ってくるかもと予告されてパニックになっていた。

 警備班のメンバーが避難経路の指示を行っているが、我先に逃げようとする者が大勢いることで、移動の列は乱れ、あちこちで怒号が聞こえていた。避難者が通路いっぱいに広がっているため、そこを通り抜けることもできない。


「これではアナザー優子を探すのは無理か……」


 そう思った時、再び頭の中にユイの声が響いた。


「敵襲です! 侵入経路はAルート! 警備班はAルートに向かう方々を違う経路に誘導しつつ、迎撃に向かってください!」


 もう位置をつかまれたのか? こんなに早く…。まさか本間さんや千佳が口を割るとは思えない。何らかの能力で特定されたのだろうか。

 どうやら、俺が今移動しているのがAルートだったようで、警備班が引き返すように指示を出している。

 俺はその流れに逆らい人並みをかき分けて進む。


「 君! このルートは使えない! 引き返して別の道を行ってくれ!亅


警備班の人が伝えてくるのを無視して、俺は突き進む。


「そっちは危ない! 行っちゃだめだ! おい!」


 構わず進んでいくと、警備藩の人は人ごみの中に消えてしまった。もう声も聞こえない。しばらく進むと、先のほうが騒がしい。誰かが侵入者とやりあっているようだ。



「だめです! バリケード破られます!」

「全員下がりつつ攻撃を!」


 この先で領域(テリトリー)に残った戦闘班の人たちが戦っているようだ。その場へと向かう俺はいつの間にか駆け足になっていた。


「駄目です! 銃撃が効きません!」

「食い止めるのは無理なのはわかっている。撤退完了までの時間稼ぎでいい。能力を使えるものはやつらの足止めを!」


 俺がたどり着くと、防衛組の人たちがが黒づくめの男たちを抑えようと奮闘していた。黒づくめの男たちは身構えもせず、ゆっくりと着実に歩いて進んでくる。それを止めようと銃で攻撃しているが、命中したと思われる部分が青く光り、何事もないように進んでくる。

 超能力を使えると思わしき人が両手を向けると、手のひらから複数の黒い鎖が飛び出し、黒づくめの体や、足に絡みつく。鎖が絡まった男は止まるのだが、絡まった個所に青い光が現れると鎖が消え、黒づくめがまた歩いてくる。何をやっても奴らの歩みが止まらない。


「少しでも時間を稼ぐんだ!」

 

 防御組の指揮を執っている人が、銃を撃ちながら叫んでいる。あれは…確かヨシシの部下の人だ。見おぼえがある。俺が来たことに気づいたようだ。彼はこちらに振り返りもせずに、叫んだ。


「こっちに来てはだめだ! 早く逃げるんだ!」


 俺がその言葉を無視し駆け寄る。


「東野さん!」


 ちらりと横目でこちらを見た東野は、俺が誰か気づいたようだ。


「君は…! 藤沢君か!」


 彼はそういいながら、銃を撃つが、青い光で吸収されてやはり効果が無いようだ。ゆうゆうと歩いてくる黒づくめに押され、じりじりと後退するしかない。


「ぐわーーー!」


 防衛部隊の一人が黒づくめにつかまって、壁にたたきつけられそのまま動かなくなった。


「ここはもう持たない、君は、逃げるんだ!」


 東野は黒づくめに銃を撃ちながら、俺に向かって叫ぶ。だが、俺は反論する。


「東野さん、わかっていると思いますが、あいつらには銃は効きません。ですが、俺の『ジャミング』を使えば、なんとかなるかもしれない」


 そう伝えながら、東野が銃を撃つのに合わせて、俺は「ジャミング」を発動する。悠然と歩いてくる黒づくめの足に銃弾が命中する。そして、青い光は発生しなかった。まともに銃撃を受けた黒づくめの男は、膝をつく。

 やっぱりそうか! やつらが攻撃を吸収するときに出す青い光は、超能力だったようだ。


「これは!?」

「俺は、対象の超能力の発動を邪魔することができます。タイミングを合わせるので、どんどん攻撃してください」

「助かる!」


 そこからは、銃撃に合わせて「ジャミング」を発動し続ける。青い光を出せなくなった黒づくめの男たちは、銃弾を受け今までのように進んでこれなくなっている。

 しかし、やつらは、膝をついたりはするが、すぐにまた立ち上がって動き出し。血を流しながらもこちらに向かってくる。タフすぎる。銃が有効になったとはいえ、このままでは、それほどのダメージは与えられていない。東野もそう思っているんだろう。非常に険しい顔で銃を撃っている。

 どうすれば…。このままではジリ貧だ。俺が居ても居なくても、ほとんど結果が変わらない。くそっ、以前使えていた「コントロール」が使えれば…! これと言った手立てが思いつかず、俺は焦る。


読んでいただき、ありがとうございます

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