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第三十一話 邪魔ってことですか?

「なるほどなるほど……。自分の動きをとめずに、咄嗟に能力に集中したいってわけですね。」

「ええ、そうなんです」


 グイグイと踏み込んでくる唯奈のペースに飲まれて、俺は自分の能力と今の訓練状況を説明してしまっていた。


「それで、素振りを継続しながら能力を使う練習をしていたと……。ふむふむなるほど。しかしそれでは、自分の動きが止まっているかどうか客観的に確認はできないし、発動のタイミングも結局自分で決めちゃってることになりますね……。それをどうにかする方法となると……」


 唯奈はぶつぶつと独り言を続けながら、時折キャップを脱いでショートカットの髪を掻いたり、眼鏡を外して目を閉じて考え込んだりしている。

 ……多分、彼女は独り言で思考をまとめていくタイプだな。このタイプの人には口を挟まず黙っていた方が良い気がする。


「……じゃあ……えっと、素振りだけじゃなく、防御もすることで失敗したことがはっきりわかる様に……、単調な動きだと慣れてしまうから……ランダムなパターンを入れて……。あー、そだそだ、能力を発動する切っ掛けも必要で……、成功失敗も分かる様にして…、と」


 独り言を続けていた唯奈がすっと黙ると同時に、彼女から超能力が発動する予兆を感じた。

 俺は無意識にジャミングを発動させて、彼女の能力発動を阻止していた。


「あれれ?」


 彼女は何かを探すようにきょろきょろと周りを見渡した後、俺の方を向くとジッと見つめてきた。


「藤沢さん……、『ジャミング』使いました?」

「あ、はい。反射的に使ってしまいました」


 彼女が俺をじっと見ながら、目を細める。


「このタイミングで私が能力を使うのを止めるってことは、私のすることが邪魔ってことですか?」


 唯奈がジト目で不満そうに、とげのある言い方をする。


「あ、いや……、そういうわけでは、無く……。訓練してたから反茶的に……」

「ふーん……。次は止めないでくださいね?」


 ジト目のまま彼女が言う。若干声も低くなっている様だ。


「はい、すみません」


 俺がそう言うと、彼女は俺から顔を逸らし、帽子をかぶりなおした。そしてまたぶつぶつと独り言が始まった。


「能力の発動を……、止める瞬間を体感できたのは、まぁ不幸中の幸いとして…。ええと、一度頭の中を整理して…、攻撃…防御…能力発動の予兆と……、ランダムパターンを組んで……、よし!」


 今度は能力の発動を阻害することなく、彼女を見守っていると、「ピコーン」としか形容できない音と共に、彼女の頭の上に電球みたいなものが光り輝いた。

 そして、唯奈は再び俺の方を向くと、にこりと微笑んだ。


「藤沢さん、あなたの悩み解決します!」

「え、それは、どういう?」

「今度は止められることなく私の能力が発動したのですよ! 聞きましたよね? 『閃き音』! 見ましたよね? 『閃き電球』! これが私の超能力『ヒラメイカー』!そしてその成果です!」


 テンション高くまくし立てる彼女の横には、どこから現れたのか、剣道の防具を付けた人形が立っていた。面をかぶり胴を付け、籠手を着けた手は竹刀を握っている。

 なんだこりゃ?


「これは私の能力で生成されたあなたの特訓道具です。私の能力は『ヒラメイカー』。いいアイデアを思いついたとき、そのアイデアに基づいて道具を発明する能力なんです」


 なるほど、つまりこの人形は彼女の能力で作られた発明品ってことか。


「それでは、実際に動かしてみてみましょう。藤沢さんはこちらに。はい、この竹刀を持って『特訓ちゃん』と向かい合って立ってください」


そう言いながら唯奈が竹刀差し出す。俺はそれを受け取る。それと同時に疑問が浮かんだ。


「……『特訓ちゃん』?」

「この子の名前です。『藤沢さんが能力を上手く使えるようになることを専用に特訓する人形』、略して『藤沢専用特訓ちゃん』、更に略して『特訓ちゃん』です」

「は、はぁ……」


 なんだかよくわからんと思いつつも俺は人形の前に立ち、竹刀を構える。


「あ、今、微妙だなって思いました? 皆、私の発明した道具の名前を聞いてそんな顔するんですよ。可愛い名前だと思うんですけど、何か変なのでしょうか……? 」


 あ、ちょっと声が沈んでる。俺は慌ててフォローした。


「いやいや! 分かり安くていい名前だと思いますよ。 さすがは門脇さんだ!」

「Qちゃんです」

「あ、ごめん……。さすがはQちゃんだ!」


 名前で呼ぶとすぐさま訂正が入るのはどういうこだわりなのか不明だが、褒めたことで気を取り直したのか、声の感じは元に戻っていた。


「では、作動させます。『特訓ちゃん』はあなたに向かって竹刀を振ります。あなたはそれを受け止めたり避けたりしてください。隙をついて打ち込むことも忘れずに。それから…、この子から超能力の発動の予兆を感じたら、すぐさま『ジャミング』を使ってください」

「え、この人形から予兆……?」


 思わず聞き返すと、彼女はにっこり笑った。


「やってみればわかります。質疑応答は一度試してからにしましょう。では動かしますよ!」


 唯奈が人形の背中を軽く叩くと、人形の面の奥が光った。


読んでいただき、ありがとうございます

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