第二十八話 皆戸惑っています
予約投稿したつもりで、設定をできてなかったようです…。慌てて更新します。
「圭祐さん! もう動いても大丈夫なんですか?」
リーダーの部屋に向かっていると後ろから声を掛けられた。この声、アナザー優子か。無事平行宇宙から帰ってこれたんだな。
「ああ、もう大丈夫……。アナザー優子もお疲れ様。すぐ戻ってこれたのか? というか自分がどれくらい寝てたのかわからないんだ」
振り返ってそう言うと、不安げな目で俺を見る優子が返す。
「圭祐さんは三日間目を覚まさないままだと聞いていました。私たちも…戻ってこれたのは昨日で……」
アナザー優子の歯切れが悪い。アナザー圭祐を連れて帰れなかったことに不安があるんだろう。これは言葉を濁すより、はっきり言ったほうが良いな。
「アナザー圭祐を助けられなかった話は聞いてる?」
「はい。ですが、私達が跳んだ世界にはいなかったのに、鳴海さんは彼も跳んだはず、と言うんです……」
「……正確には、『跳ぶのを阻止された』だな」
俺がそう言うと、アナザー優子は目を見開き俺の肩を掴んだ。
「どういうことですか? 何か知ってるんですか!?」
俺は彼女の手の上に自分の手を重ねて、静かに言う。
「それも含めてリーダーに報告したい。一緒に来てくれるか?」
「わかりました。許可をもらってきます! 圭祐さんは向かっていてください」
そう言うと彼女は、ばたばたと走って行った。落ち着いて見えていても、やっぱり優子は優子だなーとぼんやり思った。
ユイの部屋まで行くと、ユイと鳴海が居た。アナザー優子から連絡が入ったことで、救出作戦に参加したメンバーを集めているとのことだ。
全員が集まるまでの間に、俺の知らないところで何があったのかを、鳴海から説明してもらうことにした。
ヨシシ達B班は、桜子の姉の桃花も合わせて合計五人の捕らわれている人たちを見つけ出し、本間のゲートで先んじて送っていたそうだ。
その後、合流してアナザー優子の能力で一部が脱出したとたんに、俺が暴走状態になり、敵味方構わない勢いで暴れ続け、急に力尽きて倒れたそうだ。
アナザー圭祐も脱出するところを確認できていたため、山内の能力を使うことに問題が無くなり、倒れている俺ごと、基地に帰還したそうだ。
しかし、平行宇宙に現れたメンバーの中には、優子もアナザー圭祐もいなかった。理由が不明のまま、現在行方不明となっている、と聞かされた。
とりあえずここまで話を聞いて、わからないところは俺から質問して理解を勧めているうちに、メンバーが集まりだす。
彼らに体調を気遣われ、「ありがとう、大丈夫」と返していると、全員が揃った。
「それでは、行方不明になった二人について、藤沢圭祐さんが知っていることを共有してもらいましょう」
全員が集まったのを見て、ユイが俺に話を促した。
俺は、アナザー優子が能力を発動してからの一連の出来事を説明した。
彼女の能力で白い光に包まれた、優子とアナザー圭祐も含んだ七人。
突然現れた白衣の男。その体からは黒いひも状の何かが放出されていて、それがアナザー圭祐と優子を包み込んだこと。
包み込まれた二人は白く光った状態から、黒い影の様な状態に変化し、平行宇宙に跳んでいくアナザー優子達から切り離されたこと。
白衣の男と共にアナザー圭祐と優子が消え去ったこと。
優子が連れ去られたことに気づいた俺は暴走したらしいこと。
暴走中、体の奥から何かが沸き続けている感覚は覚えている。
あの時は視覚も聴覚も……五感全てを認識していない状態だったこと。
そして、体の奥から何も湧き上がってこなくなったと感じた直後からはほとんど何も覚えていないこと。
ここまで話をしてから、質問されたことを補足する。
アナザー圭祐は最終的に優子を認識していたことや、白衣の男にはそれが想定外であったらしいことや男の言動などを覚えている限り伝えた。
「ということは、アナザー優子ちゃんの「世界を渡る力」に割り込んで二人を奪った上に、同じような力でどこかに消えた、と」
「私たちには何も感じられなかったのだけど、圭祐さんとその、白衣の男には、アナザー優子ちゃんが跳ぶとき状況を知覚できるということね」
「そして、超能力をキャプチャーする実験材料として連れ去った、と」
一通り把握してもらえたようなので俺の話はここで切った。
その後、消えた白衣の男が何者なのか、アナザー圭祐と優子はどこへ連れ去られたのか等を話し合うが、結論が出るものでもなく、纏まらないままに話は終わった。
皆、自分に割り当てられた仕事に戻り、部屋を出て行く中で、俺とアナザー優子だけが残った。
「予想外の話に、皆戸惑っています。推測することしかできず、結論がまとまりませんでしたが、これからも話し合いを続けて、次の行動を決めなくてはなりません」
俺たちだけになった部屋で、ユイが話す。
「元々は、あなた達は我々に助けを求める、一時的なゲストという扱いでした。しかし、今回の作戦での中心的な役割を果たしています。さらに――」
ユイは、俺が知覚できていなかったら、今回の二人の消失は誰にも分らなかった。思い出せることを常に思い出して、何か気づいたことがあれば、話してほしい、と言った。
そして、俺たち二人にテリトリーに所属して欲しい。そして、俺たちの目的を聞かれた。
「優子を取り戻したい」
「圭祐を取り戻したいです」
俺たちはそう伝えて、ユイの領域の所属メンバーとなった。
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