第二十二話 がんばろうね!
前回の更新が出来なくてすみません。メンバー紹介をどう書くか迷っていじくりすぎて、手が進まなくなってしまいました……。
まだしっくりこないので、後日書き直すかもしれません。
また、主人公の超能力の名前は今回で初登場となります。
奪還作戦当日、俺たちは作戦に参加するメンバーとして集まっていた。参加するのは俺たち三人を含めて十一名。俺たちは互いに自己紹介を行い、能力や役割の再確認を行った。
以下、簡単に説明しておこうと思う。
まずは、俺が知っている四名だ。
・吉田由和
通称はヨシシ。今回の作戦メンバーのリーダーだ。超能力は持っていないが、銃火器の扱いにすぐれており、肩にアサルトライフルを掛けている。その他にも爆発物等を持ち込んでいる様だ。ちなみに銃火器の調達方法は秘密とのこと。
・本間譲二
戦闘突入時の攻撃担当。超能力「トランスポーター」は離れた場所と場所をつないで遠距離を移動できるゲートを作成する能力だ。これを利用して突入や撤退などの集団移動を行うことになる。格闘能力が高く、強い。俺の戦い方の指導もしてくれた。今日は防御力及び攻撃力アップのための金属製グローブを初めから両手に装着している。
・西沢鳴海
戦闘突入時の攻撃担当。超能力「転送」により、短距離の瞬間移動を自在に行う。ただし、自分以外は二十四時間に一度しか移動できないので全員の移動には使えない。腰のベルトに大型のサバイバルナイフを装備しており、これで戦う様だ。
・宮内桜子
超能力「絆」の効果により双子の姉、宮内桃花の居場所が分かるため、桃花の場所をリアルタイムかつ正確に伝える必要があるため同行することになった。戦闘能力には乏しいので、作戦中は後方に位置して、戦闘にはなるべく加わらないようにするそうだ。ちなみに、中学二年生とのこと。
そして、今回初めて会う四名だ。
・井上千佳
以前本間から話だけを聞いていた戦闘班の隊長。ショートカットが似合う十六歳のボーイッシュな少女で、戦闘突入時の切り込み隊長となる。超能力「空白」は物理的、概念的、精神的なものを問わずあらゆるものに空白を作ることができるそうだ。人の思考に空白を作ることで、戦闘中の相手の隙を人為的に作ることも可能だ。ただし、強力な能力ではあるが、二十四時間以内の使用回数が決まっているため乱用はできないとのこと。武器を持たない格闘戦が得意で、高い運動能力を使い、素早く動き相手を翻弄しつつ、要所で「空白」を使い、虚を突く戦闘スタイルだそうだ。
・荒木俊朗
この人は正確には初対面ではない。優子と模擬戦を行った男性だ。剣道五段の腕前を生かして、戦闘突入時の攻撃担当となっている。その際には腰にさした日本刀を使った剣術と格闘を組み合わせたスタイルで戦う。能力は「サウンドオブミュージック」。目視できる範囲の任意の場所から、自分が指定する音楽を鳴らすことができるそうだ。相手の気をそらすためにあらぬ方向から突然音楽を流たりして使う。普段はポータブルプレイヤー代わりにして使っているとのこと。
・中村慎一
能力「サイズアッパー」は手で触れている任意の無生物を、三秒間巨大化することができる。大きくしたものはサイズに比例して重さも増えるとのこと。今回の作戦では金属製の盾を持ち、いざというときの防御担当として参加している。三十四歳で後述する山内とは同じ会社の同期だったとのこと
・山内知宏
能力「集団転移」は自分自身を含む指定した人を、あらかじめ指定した場所に瞬間移動することができる。ただし、二十四時間に一度しか使えないため、使いどころが難しい。今回は作戦参加者がテリトリー内部に跳ぶように指定しており、不慮の事態に直面したときの緊急脱出要員として参加している。三十五歳で中村とは同じ会社の同期だったとのこと。作戦中は後方に位置して、特技のアーチェリーを生かして戦闘の支援も行う。
最後は俺たち三人となる。
・藤沢圭祐、俺
超能力「コントロール」で自分の意志で触れていないものを自由に持ち上げたり動かすことができる。但し人間に対しては重く感じてしまい、うまく持ち上げることができないことが分かっている。戦闘突入時の攻撃担当として参加している。
・二宮優子
俺、藤沢圭祐の幼なじみ。超能力はなく、本来はテリトリーで待機しているはずであったが、本人の希望により、模擬戦での試験を経て目標救出時のサポート要員として参加している。基本的に戦闘には参加しないが、念のための武器として、木刀を持っている。
・二宮優子
通称アナザー優子。俺や優子とは別宇宙の優子である。今俺たちがいるのはこの優子本来の宇宙ではあるが、平行宇宙を行き来するたびに、アナザーだったりそうでなかったりすると、ややこしいので、今もアナザー優子と呼んでいる。超能力「世界を渡る力」で自分が認識する他人とともに平行宇宙に移動することができる。今回は不慮の事態に備えての緊急脱出のためのバックアップ要員として参加しており、作戦中は後方に位置して、戦闘にはなるべく加わらないようになっている。今回の奪還作戦で、平行世界の俺、アナザー圭祐を救出することが目的だ。この目的は、俺と優子の目的でもある。
以上の合計十一名が、実働メンバーとなる。
今回桜子が把握している桃花のいる位置には、事前の調査で厳重に警備された政府の施設があることが分かっている。
作戦の概要は以下の通りとなっている。
本間のゲートで施設の近くに移動。夜まで待ち施設に侵入。
その際に衝突、戦闘になることが必至なので、戦闘班は出来る限り敵を無力化し、桃花と他の拘束されている超能力者達を発見して救出、本間のゲートで帰還。
不慮の事態等により、作戦の継続が困難になった場合は、山内またはアナザー優子の能力で緊急脱出する。
以上を確認後。テリトリーのリーダー、ユイからの訓示があり、それも終わると作戦開始となる。
「では、皆さんお気をつけて」
ユイの言葉に頷いて、本間が能力を使うと、目の前に青く光るゲートが出現する。俺たちはヨシシを先頭にゲートに入っていった。
――――――
ゲートの先は建物の中だった。コンクリートの床と壁、ところどころにコンテナが詰まれているところがある以外はガランとしていて何もない。高い位置にある窓からは光が差し込んでいる。
「それじゃー、私はちょっと、様子をみてくるわねー」
そう言って鳴海が消えたあと、ヨシシがこの場所について説明してくれる。
「ちょうど、今は使われていない倉庫が近くにあったので借りることにした。ここで夜まで待機。各自自由にしていてくれ」
そう言うと、ヨシシは本間と荒木と桜子と四人で壁際に集まり何やら会話を始めた。
他のメンバーはと言うと、中村と山内は床に腰を下ろしてコンテナにもたれて目を瞑っている。千佳はコンテナによじ登って座り、足をぶらぶらさせている。
俺とダブル優子も三人で集まり適当に腰を下ろす。
「圭祐、緊張してる?」
「うーん、それほどでもないな…。優子はどうなんだ?」
「私は気合が入りまくりですよ!」
ガッツポーズを取りながら優子はそう言った後、声の調子を変えてアナザー優子に問いかける。
「もうすぐ、優子の圭祐を取り戻せるね」
アナザー優子は頷いて答えるが、言葉を発することなく真剣な面持ちだ。俺と優子は顔を見合わせる。大切な伴侶を絶対助けたい気持ちと、命の危険があることの不安が入り混じった気持ちを整理して落ち着けようとしているんだろう。俺達はアナザー優子をそっとしておくことにした。
俺は優子に顔を近づけ小声で聞く。
「おまえこそ、こんな場所まで付いて来て、不安にならないのか?」
優子はきょとんとした顔でこちらを向いて言う。
「なんで? 圭祐が守ってくれるから大丈夫でしょ?」
そう言って、コテンと首をかしげる。……ちょっとドキッとした。思わず目をそらす。しかし、お前のその俺への信頼、根拠が謎なんだよな……。そう口にしようとしたとき、背後から声を掛けられた。
「お兄さんたち、仲が良いんですね」
話しかけてきたのは、いつの間にかヨシシ達から離れて近くに来ていた二宮桜子だった。振り返って確認すると、ヨシシ達は桜子抜きの三人でまだ何かを話している様だ。
「ああ、幼なじみだからね」
少し距離を離して横に座った桜子に俺はそう返す。
「付き合ってるんですか……?」
「えっ!? な、なんでそう思うの?」
俺が返事するよりも早く、慌てた様子で優子が答えた。まあ慌てるよなあ。俺たちそんな関係じゃないしなあ。仲が良い友達ではあるけど、俺とこいつが付き合うとか考えられん。なんでそんな勘違いしちゃったのかな。中学生って言ってたし、恋するお年頃ってやつかな?
「だって、もう一人の優子さん、アナザー優子さんはもう一人の圭祐さんと結婚してるんですよね? じゃあ、優子さんと圭祐さんも付き合ってるのかなあって……」
ああ、なるほど。アナザー優子の話から俺たちもそうだと思ったわけね。俺たちはそんなんじゃない。なので、俺は否定する。
「ああ、あっちはそうみたいだけど。俺たちは違うよ。なんていうか、親友……いや、悪友って感じかな? お互いに相手のことを同性の友達って思ってる感じだね」
「うんうん、そんな感じだから! 間違えないでね!」
優子もはっきりと否定する。
「そういうことなんですね。……ふうん」
桜子は俺と優子を交互に見て、すこしがっかりしたような感じで答える。そして、立ち上がり優子に近づくと顔を寄せて、俺には聞こえないくらいの声で何かをささやいた。
優子が驚いたような顔をして、桜子を見る。何を言われたんだろうか?
俺が二人を見ていると、桜子がこっちを向く。
「ちょっと、優子さんお借りしますね。あっちで少し話しましょうよ」
後半は優子に言うと、桜子は立ち上がり、優子の手を引っ張って連れて行った。俺は二人を見送った後、アナザー優子をみるが、彼女はまだ何か考えている様だ。
手持無沙汰になり周りを見渡す。ヨシシ達はまだ話をしている様だし、優子と桜子は離れたところで腰をおろして二人で何やら話している。
中村と山内も変わらず背を持たれて目を瞑っている。そしてコンテナの上の方を見ると、こっちを見ている千佳と目が合った。
俺が彼女に向かって軽く会釈をすると、彼女はこちらに手をのばして手招きしてきた。
俺を呼んでるのかな? と疑問に思いながら自分を指さすと、彼女はうんうんと頷きながら、再度手招きをする。
なんで呼ばれているのかわからないけど、行ってみるか。俺は立ち上がり、千佳が腰かけているコンテナの下まで移動する。すると千佳が上から声を掛けてきた。
「こっち、上がっておいでよ!」
どうやって上るんだと戸惑いながらも、出っ張りを掴み、足をかけるところを探しつつ、どうにかコンテナによじ登る。
「やーやー、圭祐さん。ボクね、あなたと話たかったんだよねー」
あ、この子、ボクっ娘だ。すごい、初めて出会ったぞ。一人称がボクの女の子。俺はそんな内心を顔に出さないように努めて返事をする。
「そうなんだ? なにか理由でもあるの?」
「本間さんがね、『アイツはヤルやつだ』って言ってたんだよー」
彼女は本間の声真似をして低い声を出しながら言う。本間さん…、いつも俺に駄目だ駄目だ言ってたのに、褒めてくれてるんだ。
「模擬戦で奥の手出させたんだって? ボクも見たかったなあ、本間さんが追い詰められてるところ」
「いやいやいや。指導を受けてる時もボコボコにされてたし、模擬戦も結局やられてるから……」
俺は苦笑いで否定する。千佳が、あの人がそこまで指導に熱が入ること自体が、滅多に無いことだから、誇っていいと言う。俺はそれに対しても苦笑いで答える。
「あのさ、ボクと手合わせしない?」
は? 突然何言いだすんだ、このボクっ娘は。そういえば、本間さんが「隊長は俺よりもやるぜ」って言ってたっけ。あと、性格がどうとか。ってことは戦い好き?
「ちょっと、失礼だなー。ボクは別に戦闘狂じゃないよー。強い人が好きなだけ!」
「強い人が好きなんだ?」
「そそ、そんで強い人と戦ってみるのが趣味」
いやそれ、まったくの戦闘狂じゃないか。俺の苦笑いが止まらない。
「いやーちょっと……、手合わせは、そのうちにね……」
「やった、ありがと! じゃあ、帰ったらやろうね!」
「いやいやいや、なんでやることになってんの!?」
斜め上からくる千佳の言葉に、苦笑いが止まってしまったよ。俺は驚きの余り思わず言葉が強くなってしまう。
「そのうちっていったじゃんか。やるって意味の返事だよ、それ!」
「…………君、自分勝手って言われない?」
「ひどいなあ。そんなこと言われたことないよ!」
呆れて、直球で返してしまった俺の言葉に、千佳は頬を膨らませて抗議してくる。
「千佳はポジティブだねーって言われることはよくあるけど……」
ちょっとは自覚あるんだな……。また苦笑いが出た。
「ま、帰ってから考えるってことで……」
「えー、帰ったらすぐやろうよ!」
千佳はどうしても手合わせをしたいようだ。帰ってからと話しているが、今すぐにやりたそうな勢いだ。話を変えようかな。
「ところで、君はこれまでにも奪還作戦に参加したことあるの?」
「んーと、二回ほどあるよ」
右手で二の形を作って俺に突き出しながら彼女が答える。よし、話をそらせたかな。
「どんな感じだった?」
「えっとね、なるべく見つからないように忍び込むけど、相手も捕まってる人を見張ってるから、結局戦いになるね。そうなったら、とにかく倒すだけだよ」
にこにこしながら返事をする彼女を見て、やっぱり戦闘狂だと確信した。
「でね、はじめて参加したときは本間さんが戦闘班の隊長だったんだけど。テリトリーに戻ったら、いつの間にかボクが隊長になってたんだ」
「なるほど?」
「本間さんがね、お前は戦いに集中するべき、戦闘班の隊長になって、皆を救えって言ってくれたんだー」
相当暴れまわったんだろうな…。
「今回は俺は初参加だから、宜しく頼むよ」
「あっははー、ボクにまかせてよ!」
どんと胸を叩いて得意げな顔をする千佳に、優子のところに戻ると言ってコンテナを降りる。
「帰ったら手合わせ宜しくねー」
にこにこ顔で上から声を掛けてくる千佳。話そらせてなかったな……。
戻ると、優子と桜子はアナザー優子の近くに戻って並んで座っていた。俺が優子とアナザー優子の間に腰を下ろすと、優子が話しかけてきた。
「あのさ、圭祐……!」
なんか口調が強い? なんだ?
「おう、どうした?」
「えっと、ええええっと…」
俺が返事をすると、何やらごにょごにょと言い淀んでいる。口調が強いと思ったのは勘違いか?
「なんだよ? 何かいいたいことがあるなら言えよ」
俺が促すと、優子は両手を体の前で曲げてでガッツポーズを取りながら言う。
「今日はがんばろうね!」
なんだこいつ。気合入りすぎて顔が赤いぞ。その横で同じように気合をいれた顔をしている桜子も視界に入る。
「おう、がんばろうな。桜子ちゃんもな。」
「あ、あはは、そうですね」
桜子はなぜか苦笑いしながら返してくる。そして、優子の腕を引いて立ち上がると、二人して向こうへ行き何やら話し出した。なんなんだ一体。
そんなことを考えていると、いつの間にか帰ってきていた鳴海が、ヨシシ達と話しているのが見えた。偵察から帰ってきてたのか。
窓から入る日差しを見ると夜まではまだ時間がありそうだ。
「少し体を休めておこう」
俺はそうつぶやくと、その場で横になって目を瞑った。
目を瞑るとうとうとして、眠気がきた。緊張していると思っていたが、俺も神経がずぶといな、などと思っているといつのまにか意識を失っていた。
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