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第十五話 繋がっているんだよ

「納得できないって顔だな?」


 桜子が出て行った後、ヨシシが俺たち三人を見回してそう言う。


「まあそうよねー、あなた達の状況とはちがうものねー」


 鳴海が続ける。そう、桜子の話は超査室に捕まった姉の話だ。アナザー圭祐はそうじゃない。彼は黒づくめの男に捕まったとアナザー優子から聞いた。なぜ、それが根拠だと言えるんだ。


「当然ですよね…」

「さっきの話の補足をするからー、それを聞いてから判断してねー」

「…超査室と黒づくめの男は、繋がっているんだよ」


 ヨシシの言葉に、アナザー優子が立ち上がり声を荒げた。


「そんな訳はありません! 彼らは敵対していました! 私の目の前で、超査室の人達は黒づくめの男達に全滅させられていました!」


 彼女は自分の目で見ている。それなのに彼らは仲間だと言われても、はいそうですかと納得できるわけはないだろう。仮に黒づくめの男が超査室の一員というのが本当だとしても、まだ超査室も発足していない俺の世界で、黒づくめの男がいることの説明がつかない。


「正確にはな、彼らの根元がつながっているんだ。末端には伝わってないようだがな」

「どういうことですか?」

「昨日、ここが秘密基地だと話したな」

「政府に見つからないように、隠れて住んでいると言っていましたね」

「…その理由は、半分なんだよ」

「半分…?」

「ああ、隠れているのは本当だ。しかし、俺たちの真の目標は捕らわれた人達の奪還だ。これまでにも、何度か捕まった人の居場所を突き止めて取り戻したことがある。その時に分かったんだが、超査室に捕まった人達と、黒づくめの男に捕まった人達が一緒に居たんだよ」

「一緒に…? …最終的に連れていかれる先は同じってことですか…」

「そうだ。だから、大元は繋がっていると、俺たちは思っている」


 そういうことならば話はわかる。政府が表向きは別系統として、別々に運営していている、ってことかもしれない。だから俺たちの話を疑わずに聞いてくれたのか。


「…理解しました」


 優子達も話を飲み込めた、という表情をしている。


「この先の話はリーダーが返ってきてから詳しい話をしたいと思う。…それまでの間、君たちに頼みたいことがある。木下さん、お願いします」


 ヨシシは木下に話を振った。この人は物資の調達をしているんだったか。


「ハイ、木下です。…ではここからは私が話をさせていただきますね。宜しくお願いします」


 そういってペコリと頭を下げる、俺たちもつられて頭を下げて返す。


「このテリトリーでは大勢の人が生活しています。大体、二十から三十人といったところでしょうか。これだけ人数が暮らしていくためには、食料、燃料、その他生活に必要な物資が不可欠です。あなた達には、これらを調達するのをお仕事を手伝っていただきたいのです」

「物資の調達の仕事…、ですか」


 一瞬、頭の中に不安がよぎる。その仕事ってまさか…?


「いやいや、真っ当に購入するのですよ。ちゃんとお金を稼ぐ手段もありますのでね」


 木下は俺の考えていることがわかったのか、両手を前で交差するように振りながらそう言う。


「ただ、何しろ人数が多いので大量に必要になります。そこで、ローテーションを組んで定期的に購入し、持ち帰っているわけなのですよ」


 つまりこういうことだった。数人でチームを組み程々の量を購入して持ち帰る。そのチームを複数用意することで、消費が上回らない量を確保している。

 いざというときのストックも考えると、量は多いに越したことがないが、一度に大量に買うと目立つので、チームを増やすことで対応したい。そのための人員として協力してほしい、ということだった。


「ほとんどの人は協力してもらえる約束をしてからテリトリーに来てもらっていますし、急に来られる方にはここでの生活に慣れてもらってから、希望もうかがってお仕事をお願いするのですが、今回は…まぁ…事情がありまして、少し調達を急がなければいけないんです。急なことで非常に申し訳ないのですが、ご協力をお願いします」


 丁寧な物言いではあるが、俺たちに拒否権はないと言うことだろう。


「わかりました。俺たち三人で必要なものを買いに行くということですね?」

「いや、調達は女性二人にお願いしたい。君には別件でお願いしたい話がある」


 俺の確認にヨシシが割って入る。俺とダブル優子は別行動になるということか。


「今の状況で離ればなれになるのは…できれば避けたいところではあるのですが…」

「私たちは大丈夫だよ、圭祐。いつまでかはわからないけど、ここでお世話になるんだし、できることは協力させてもらわないと」

「ええ、私たちは二人でできることをやりますので、圭祐さんは、圭祐さんが出来ることをやってください」


 優子達は納得している様だ…。二人がそう言うなら…飲むしかないか。


「それじゃ、調達チームへの顔合わせもありますので、お二人は私についてきていただけますか」


 そう言って立ち上がり部屋を出て行く木下に連れられて優子達二人も部屋を出て行った。

 この場に残っているのは、ヨシシ、鳴海、本間と俺の四人になった。


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