未来予想縮図
いつか僕は死ぬ。
そんなことはわかっている。
生きているんだから死ぬ。死ぬために生きている。生があるから死があって、死があるから生がある。
いつか僕が死ぬ時、僕はどうなっているだろう?
どんな姿をしている?
痩せている? 太っている?
若い? それとも、老けている?
僕が好きな姿? それとも、そうじゃない?
できることなら、僕が僕を好きだと思える姿をしていたい。嫌いな姿でなんか死にたくない。死んでも死にきれない、かもしれない。
僕は何処で死ぬんだろう?
自分の家?
病院?
路地裏?
何処でもいいけど、僕らしい場所がいい。
どうせなら、二十七歳ぐらいに、ゴシックなドレスを着て、ばっちりメイクして、髪は紺色のストレートにして、眼鏡を掛けて、たくさんのピアスを開けて、可愛い可愛い、僕が夢に見る姿で、何処か透き通るような青空が見える場所で死にたい。
遮るものがあっちゃいけないんだ。
真っ直ぐに空に届く場所で。
もしも、悪魔がいるなら、契約をしたい。
二十七歳までの命とする代わりに、永遠に若く可愛い姿にして、と。どうぞ、魂はあなたの自由に、と。
ちょっと都合が良すぎるかな……?
でも、そう夢見るくらいは許して欲しい。
いつか死ぬ時、残しておくものは少しだけ。
僕の絵と僕の小説。
つまらないからって消さないで。
小説は僕のすべてが詰まってる。僕という人間がどんなものだったか、それが全部全部そこにある。
だから、消さないで欲しい。
僕には、死ぬ前に会いたい人がいる。
でも、きっと、会えない。
その人は僕のことが嫌いだから。
僕のことなんか忘れたい筈だから。
でも、僕は忘れたくない。
忘れていい思い出なんて持ってない。
思い出全部を抱えて死にたい。
「海都青空」が僕の中で死んだ時、僕のひとつの命が終わった。
「穹向水透」が死ぬ時、僕も最期を迎える。
本当に、悪魔っていたりしないだろうか。
僕と取引して欲しい。
魂はあげるから、条件は不味くない筈だ。
「穹向水透」を言葉もでないほど可愛いゴシックなドレスで着飾って、とびきりのメイクをして、ピアスをたくさん開けて、髪は腰まで届く紺色ストレート、眼鏡は縁なしの丸いレンズにして。そして、二十七歳で、青空の下で殺して。眠っている間じゃなくて、死を知覚できるように、でも、穏やかに。どうか、悪魔がいるなら、お願い……。




