女の子、十九才未満
女の子です。
私は女の子。可愛い可愛い女の子。ビー玉みたいに透き通った眼は綺麗に黒くて、例えるのならブラックホールで、みんなの眼を離さないようにできているの。
私は女の子。可愛い可愛い女の子。真っ黒で細くて長い睫毛は、秘密の夜の月下美人みたい。でも、夜には閉じて、朝になったら開くから、月下美人とは仲が悪いの。
私は女の子。可愛い可愛い女の子。フランス人形だって嫉妬で爪を噛むくらいに白い肌。でも、妖精が頬擦りをするから、ほんのり赤い。赤くて、ちょっとだけ温かいの。
私は女の子。可愛い可愛い女の子。糸のように撓って嫋やかな黒い髪の毛は背中まで真っ直ぐに。時には結んでもらうけれど、やっぱり私は真っ直ぐが好きなの。
私は女の子。可愛い可愛い女の子。上の唇は薄く、下の唇は上よりほんの少しだけ厚く。頬のように少しだけ赤いのは、朝の太陽がおはようのキスをしてくれるから。
私は女の子。可愛い可愛い女の子。鼻は目立たないけれど、ちゃんと筋が通っているの。綺麗な形だから誰かの邪魔なんかしないで、そこで静かにしているの。
私は女の子。可愛い可愛い女の子。耳には可愛い宝石みたいなピアス。ひとつなんかじゃない。でも、痛くなんかないの。たくさん、お気に召すまま、いくらでも。
私は女の子。可愛い可愛い女の子。削ったばかりの鉛筆で書いたみたいな輪郭は、今にも消えてしまいそう。その輪郭の下、首がある。細くて折れてしまいそう。
私は女の子。可愛い可愛い女の子。小さくて柔らかくて真っ白な手。手首は掴めば折れちゃうくらいに孅いの。ちょっと怪我して、絆創膏がふたつ。あんまり見ないでね。
私は女の子。可愛い可愛い女の子。程よく伸びた爪には少しも曇りなんかなく、今日の気分で色が変わる。今日は雨が降っているから、深い深いブルーにしているの。
私は女の子。可愛い可愛い女の子。今日もゆったりロングなTシャツ。サスペンダー? ワンピース? それともドレス? 私だって着てみたい。それでたくさん笑いたい。
私は女の子。可愛い可愛い女の子。今日もぴったりデニムを穿くの。とってもぴったり、可愛いでしょう? スカートはひらひらが苦手なの。だから、また、いつか、どうか。
私は女の子。可愛い可愛い女の子。ハイカットの赤い靴はお気に入り。これを履いたなら何処にでも行けるの。青い空の隠し扉だって、これがあれば容易く潜れるの。
私は女の子。可愛い可愛い女の子。ちょっと今日は気分が出ない。雨が降っているから? 君に愛されなかったから? それとも何だろう? 考えたってわからない。だって、私は女の子。
私は女の子。可愛い可愛い女の子。愛してくれたっていいでしょう? 君だけを愛しているのに。君だけには本当を見せたかったのに。可愛い可愛い女の子なのに。
私は女の子。可愛い可愛い女の子。夢を見たっていいでしょう? ここは夢を吐く場所よ。でも、その後始末をしなくちゃいけないの。愛される夢の……私は可愛い可愛い女の子。
私は女の子。可愛い可愛い女の子。煙草の煙を夢見て眠る、十九才未満の女の子。愛されないなら、もっと可愛く、愛してくれても、もっと可愛く。だって、私は女の子。




