対話A-D
一緒に話しましょう。
「結局、何処まで行っても天使は見えなかった」
「翔んだだけ無駄ってこと?」
「そうだったかもしれない」
「でも、蹲っていたよりいいかな?」
「そうかな」
「幻覚から醒めたみたいで清々しいよ」
「まるで空みたいだよね」
「言われてみればそうだね。どうして空は青いのかな」
「青くないと空ではないからだよ」
「白かったら空じゃないの?」
「マグ・メルのお爺さんに訊いてみて」
「逢ったことないよ」
「奇遇だね、僕もないんだ」
「何だ、君もか」
「そう。だから、天使を探してたんだ」
「天使なんて探してどうするのさ」
「羽を毟るんだよ。羽が薬になるんだって」
「肉はいらないの?」
「空気より軽い肉に意味はないんじゃない?」
「エーテル浸けの肉とか美味しそうだけどね」
「君はカニバリズムがお好きなのかい?」
「いやいや。天使は人間じゃないよ」
「僕らは?」
「ああ、人間じゃないね。かつて人間だったんだ」
「そう。人間だった。浅はかだったよ」
「でも、満足したりしてないの?」
「不足だね」
「傲慢だね」
「あはは。傲慢なもんか。僕らがいる場所を見てみなよ」
「そっか、それもそうだね。僕らは鳥の眼だ」
「僕らもエーテル浸けなんだね」
「つまり、天使ってこと?」
「羽を毟られちゃう?」
「毟ってどうするの?」
「乾燥させて粉にするんだ。土気色の皮を被った人が言ってた」
「それにどんな効果があるの?」
「さぁ? ないんじゃない?」
「ないの?」
「だって、その土気色の人が下に見えるから」
「なるほどね」
「さぁ、思いっきり手を振ろうか。彼に見えるようにさ」
「そうだね。毟られる僕らは傲慢なんだね」
「そうだね、やっぱり、傲慢だね。でも、ここにいる」
「ああ、そうさ。満足でしょ?」
「そうだね。思いきって首を吊ったのは正解だったんだね」




