#16 宴会と……
「おう、お前達も戻ったかー」
「おかえりなさい、まだ料理とお酒残ってるわよー」
「早く食わんと食いっぱぐれるぞー」
なんかアストラルとアルテナさんとカイ達の4人で宴会をしていた。
「なんすかこれ」
「今日あたり帰ってくると思って色々用意してたのよ。でも外食してくるかもしれないから、温かいうちに皆で食べ始めちゃったわ」
「初の依頼達成を祝ってってやつだ」
更には魚料理・肉料理をメインに様々な料理がビュッフェ形式で飾られていた。ご飯もある。わざわざ準備をしててくれたらしい。……が、何名かはそれに乗って飲み食いしてますって表情をしてる。アストラルとかカイとか。
「どれどれ……お、結構行けるねこれ」
「えへへ、美味しいね」
エステルは早速ローストビーフらしきものをつまんでいる。
ユートも魚料理を食べに行った。
俺の場合は肉や魚といえばご飯という環境だったのでそんな感じで食べていった。うん、美味い。
「そうそう、酒もいいもん用意してあるぜ」
幾つかの酒を勧められる。ワイン?かブランデー?みたいなものから如何にも濃い酒ですみたいな色をしたものまで様々な酒が並べられている。そしてアストラル達はなんか凄い勢いで飲んでいた。よく見たら端っこの方にワイン樽みたいなのがある。
アルテナさんもジュースでも飲んでいるような勢いで酒を空けていた。おっとりしてるけど意外と飲む方なんだな……。
そんな感じで酒を眺めていると、微妙に見たことのあるようなお酒を発見した。これは……。
「……日本酒?」
「日の国で作った米酒さ。これがなかなか良い味するんだ」
そういえば元の世界じゃ見るばかりでお酒飲んでなかったな。アストラルが気を利かせてくれたのかもしれない。ここは一つ、飲んでみるか……。
「酒、そんなに強いわけじゃないけどな……でもせっかくだしいただくよ」
「お酒かあ。ボク、飲んだことないからどんな味かよく知らないんだよね。ドキドキ」
「未成年飲酒とかインモラルな感じがするなー」
エステルとユートは果実酒を選んで飲んでいた。
「あ、割と美味しい」
「うん。でもお酒ってちょっと変な感じの味だね」
二人には好評なようだ。俺も米酒を飲んでみた。うん、結構いけるなこれ。ついついおかわりしてしまう。料理をつまみながら酒を飲んでいく。果実酒も美味しいなこれ……。
そんな感じで三人でパカパカと酒を空けていたら何だかカオスなことになってきた。
「わたしだってねー! 女のみりき?ってやつで志郎兄ぃの一人二人くらいゆーわくできるんですけおー!」
「やれるもんならやってみろおらー」
「むー! 言ったなー!」
「待ったユートちゃんそれ以上はいけない。志郎くんも挑発しない!」
服を脱ごうとしたユートがミツキさんに止められている。
「てめーも実際どうなんだコノヤローバカヤロー。ユートのこととかどう思ってんのか吐けー」
エステルが肘でどついてくる。やめなさい。
それにしてもだいぶ酔いが回ってしまったのか、頭がぐちゃぐちゃしている。
「あー? 俺はユートとエステルのこと好きだようん」
「え? 好き? あー……うん……」
「好きって言われたー! えへへー! これはもうゆーわく完了できてるんだよー!」
エステルは僅かに目を見開いたまま沈黙している。すっかり酔っているのか顔が赤い。ユートはハイテンションのままだ。
「そんなこと言ってー、二人分の責任取れるんだろうなコノヤローファッキンシット」
「えへへへへへへぇー」
エステルとユートが俺の両腕を掴んで引っ張りながらグルグル周っている。俺もグルグル回る。
カイ達が何だか可愛そうなものを見る目で眺めている。シット。
「お前達、そろそろ休んだ方が良いんじゃないか?」
「そうね……何だかこっちの方が頭痛くなってきたわ。ここまで悪酔いするなんて……ほら水飲んで」
呆れた表情のアストラルに心配そうな顔をしたアルテナさん。言われるがままに水を飲む。エステルとユートも飲まされていた。
「ほら、3人とも部屋に戻って休んだ方がいいよ」
割と本気で心配してそうなミツキさんに送り出される。
頭がぐるぐるしているので、少しふらつきながら自分の部屋に戻って……なんか2人ともついてきた。
「えへへ、来ちゃった」
「ユートに何かしたらすっとばすぞーバカヤローコノヤロー」
何かってなんだよこのやろー。
「あのなー女の子になー、そんな簡単に好きって言っちゃいけないんだぞバカヤロー」
「ボクは志郎兄ぃとエステルちゃんのこと大好きだよー!」
「簡単に言ったってわけでもねーぞこのやろー」
俺は2人に近づくと、そっと2人の手を握った。怪訝そうな目で見てくる。
何だか何かをぶちまけたくなったので言う。
「俺はなー、ずっと不安だったんだよ……いきなりこの世界に飛ばされちゃってさー。だからアストラル達もそうだけど、お前達が居て本当に良かったって思ってるんだよー。いやほんと。だからみんな好きだよー」
あ、なんだかポロポロと涙が出てきた。
「なんだそういう意味かよてめーコノヤロー。まあわたしも感謝の一つくらいはしてるしあんたのことは嫌いじゃないよー。……まあ、好きな方ではあるよ」
「寂しいときはねー、ぎゅーってすると安心できるの。だからしよー?」
「するー」
「なんだてめー寂しいのかー。仕方ないなーついててやるよ」
エステルはベッドの横に座り込んでひっついてきた。珍しい。まあいいか。
ユートもエステルごと俺を抱きしめるようにひっついてきた。そのまま3人揃ってベッドの上に寝転ぶ。温かい。
掛け布団を敷いて温もり合っているとだんだん眠気がしてきた……。
俺たちは寄り添い合って眠りについ■■■■■
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........突如、ガラスの砕けるような音が響き、
空間を割り裂いて何者かが"そこ"に乱入してきた。
「無事かお前達!」
アストラルだ。普段とは違って竜のような角と羽根が生えていて、指には鋭い鉤爪が生えていた。俺たちが初めて見るような険しい表情だった。
俺たちはいつの間にか一面の荒野に立っていた。空はカオスを具現化したかのような暗いマーブル模様。太陽も星もない。遠目には無数の門が見える。
そして、俺たちの前に居たのは真っ黒な人影。人間のシルエットのような何か。確かにそこに居るのに居ないような気もする異様な雰囲気。
『この概念層に穴を穿つか。破壊の使徒よ』
喋った。
「お前は……なんだ」
俺の質問に、その人影はこう応えた。
『我に個体としての名称はない』
『お前達の言葉で表すなら―――そうだな、【悪】と呼ぶがいい』
「【悪】……?」
奴は―――俺達の方を見ている気がした。
『此処は人間の心層領域……この荒涼とした大地こそがお前たちの一つの本質だ』
「いきなり出てきて何だてめー」
『お前たちの悪徳を祝福しよう』
「させるか!」
アストラルが瞬時に自らの身長よりも大きな大戦斧を取り出して振るい、【悪】を消し飛ばし、大地に地平の果てまで続く亀裂を穿った。
『庇い立てするか、破壊の使徒』
何事もなかったかのように【悪】はそこに居た。バラバラに消し飛ばされるのを見た、はずだ。
「ちっ、やはりお前そのものには効かないか……だがお前が持っているもんは見逃すわけにはいかねえ」
『魔王の種は破壊されたか……それもよかろう。世に悪の種は尽きまじ』
『さらばだ星の子らよ。我々はいずれ再び邂逅するだろう―――■■■
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奴がそう言うと、次の瞬間には俺たちは元の部屋に立っていた。奴はどこにも居なくなっていた。
アストラルも元の姿に戻っていた。
……なんだったんだ、今のは。
「……ちぇっ、酔いが冷めちゃった」
「何……今の。私、怖いよ志郎兄ぃ……」
ユートはガタガタと震えている。俺はその震えを止めるようにユートを抱きしめた。
「あ……志郎兄ぃ」
「3人で寝なおそう……うん、それがいい」
「まだ酔ってんのかてめー。……まあ、今夜くらいはいいよ」
「うん……温まりたいなボクも」
そういうエステルたちもそんなに酔いは冷めてない気がする。
今のは何だったんだろう……まあいいか。
「お前達はマイペースだなー……さっきまでの事は忘れろ。そうした方がいい類の存在だ、アレは」
半分感心したような様子でそう言うと、アストラルは部屋を出ていく。
「おやすみ」
俺たちは寄り添い合って眠りについた。
■Tips
・【悪】
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