番外 いろいろスチーム・ヘッド その2 アルファシリーズの仲間たち
番外です。
これは自分内のタイムリミットを越えて「あ、これもう無理だな」と思ったとき、慈悲深くも冷酷な機械化システムによって投稿されるようになっている記事です。情けないね。
今回はアルファモデルのスチーム・ヘッドについてです。
なんか増えてきたので雑に纏めています。
殆ど自分用のメモなのだな……。
スチーム・ヘッドがアルファモデルに分類される条件ですが、ざっくりと「メディア複数積みスチーム・ヘッド=アルファモデル」ぐらいの認識でOKです。
スチーム・ヘッドに二枚も三枚もメディアを差し込むのは、基本的に検討する価値が無いプランと見做されています。
特殊な処置を施さない限り、一機のスチーム・ヘッドに二個も三個も擬似人格を走らせたところで、メリットは何にもありません。
むしろ悪いことだらけです。目覚めた偽りの魂は大混乱、指一本動かせなくて置物状態。そのうち不可逆的な変質が起こって終わり。高価な人格記録媒体を無駄に失うだけです。
しかも、成功したとして、何か良いことあるのかと言うと、外形的には無さそうに見えるのです。
そのため、通常の場合、殆どの勢力がメディア複数積みのコンセプト自体を研究しません。
偶発的にアルファモデル相当の機体が誕生することもありますが、アルファモデルに分類される機体を歴史のいずこかで『発見』し、シリーズとして計画的に製造するようになるのは、非常に限られたケースのみです。
また、『アルファモデル』と『アルファシリーズ』は厳密には異なる機体です。
アルファモデル
→メディア複数枚を、同時に安定的に運用している機体。性能は問われない。
アルファシリーズ
→アルファモデルの利点を最大限引き出し、目標を達成するために製造される特別な機体。
話の中だと基本的にアルファ型って書いてるんですが、他の型式と混ざってややこしいですね。
いずれアルファモデルに統一するかもしれません(さっき思いつきました)。
まだスペースがいっぱりありますね。
ここからは登場済のアルファ型スチーム・ヘッド(の中でも明言されてるやつ)のリストにします。これも今決めました。
・PROTOTYPE
最初のアルファモデルのスチーム・ヘッドです。プロトタイプ。
出自が特殊で、正式名称がありません。
ベータ、Bモデル、その他色々な仮称があったようです。
調停防疫局の前身組織がメディア破損を織り込んだ上でデータ取りのために製造したとき、偶発的に誕生しました。
予想外の性能を発揮したため、試験的に実戦投入。最終的には試作型の電磁加速砲(原子炉直結)を使って遠隔地を弾道狙撃する……という異様な運用に供されることになりました。
グリーンランドのチューレ空軍基地やノード基地が活動拠点だったと考えられていますが、組織内でも配備場所を知る者は稀です。
本機から得られたデータを基に、アルファシリーズの製造計画が発案されます。
アルファⅠの運用開始と同時期に、PROTOTYPEは記録から姿を消しています。
・アルファⅠ
アルファシリーズで最初のスチーム・ヘッドです。
不死病筐体から何から何まで特別に誂えられた、当時最新鋭の特務仕様機。
専用の調整が施された『支援AI』を搭載しており、通常のスチーム・ヘッドと比較して各種処理能力が格段に向上していました。
運用自体はPROTOTYPEと大差無かったようです。
しかしながら、拠点となる基地から全く動けなかったPROTOTYPEとは異なり、ロシア製の多目的水陸両用機を改造した電磁加速砲搭載型原子力戦略狙撃艇の配備によって行動範囲をめちゃくちゃに広げ、要人暗殺だとか敵司令部弾道狙撃だとか、なんかそういうので暴れ回りました。もうめちゃくちゃです。余所の国の上空から、また違う国の標的を撃つとかやってた。国際情勢に申し訳ないと思わないのか?
この狙撃艇には『プルートー』の愛称が付いていたとされており、これはこの機体自身の愛称でもありました。アルファワン・プルートー。
・アルファⅠサベリウス
詳細不明。
・シグマ型ネフィリム
調停防疫局のアルファモデル。
アルファⅠに連なる機体の、ある意味で究極的な完成形です。『十分な支援と戦闘経験の蓄積を前提とした量産機』。複数メディアに対応。バックアップ機能も完備。
最低限の装備に支援用AIを搭載しただけの貧弱な構成ですが、拡張性に富み、装填されている人格記録媒体次第で思いも寄らぬ性能を発揮します。
一般的な水準では確かに極めて脆弱な構成の機体なのですが、実際にローニンは規格外の性能を発揮し、東アジア経済共同体に鹵獲された同型試作機のケットシーも極めて高い戦果を示しました。
ただ基本的な構成は本当にゴミです。エージェント・シィーの酷評は正しい。
・フェンリル型
継承連帯のアルファモデル。
アルファⅠ系列の、彼らなりの『結論』とも言えるモデルです。
フェンリル型は大型蒸気甲冑の内部に粘菌状の変異体を張り巡らせています。粘菌コンピュータというやつですね。これを演算機兼人工筋肉として利用することで、今までに無い機能を多数実装。
『全身が人工脳髄』『部位を切り離されても自律思考と再結合が可能』『従来機には無い柔軟性と機動力』『パペットなのにそれ自体に不死病筐体レベルの恒常性がある』という超高性能機です。
難点は、不死病筐体、および装填するメディアの選定が難しいこと。
こんなのに接続させられたら、普通は気が狂ってお終いです。
必然的に生体CPUへの教育が大変なので超高コストです。
あと普通はベルリオーズみたいにがっちゃんがっちゃん変形できません。
そんなことしたらすぐ発狂します。ベルリオーズがおかしかったんです。
・アルファⅡ
調停防疫局のアルファシリーズ。技術実証機です。
人工脳髄に度を超した量のメディアが装填されていました。
数十から数百のメディアを同時起動させることが目的の機体だったようです?
Ⅱという番号を割り振られていますが、研究開発はアルファⅠと同時並行で進んでいました。
そのため、アルファⅠの機能のうち、少なくとも支援AIに関連する技術は、アルファⅡには搭載されていません。
公式記録においては起動に一度も成功しておらず、外側だけ完成したまま凍結されていました。
目録の上では、野心的なコンセプトが盛り込まれているだけの、ただの試作機。
正体は秘匿されています。
・アルファⅡウンドワート
人類文化継承連帯の前線向けの技術局が最後に製造したアルファシリーズです。
最新の先進技術検証機にして、最後の実戦配備モデル。
無個性化したメディア装填済人工脳髄三十基を搭載。これらを演算装置として使用することで、完全架構代替世界触媒式先進的破壊事象干渉/デイドリーム・ハントを可能としています。超高度演算装置化した人工脳髄で環境シュミレーションを行い、周囲の情況から未来を演算・予測して、自分だけが一方的に有利に立ち回れるというズルい機能です。
さらに、考え得る限り最高純度の不朽結晶で構築された大型蒸気甲冑と、特殊な才能を持つ不死病筐体を用意することで、極めて大雑把に最強の称号が相応しい機体に仕上がっています。
SCARのような広域殲滅兵器は搭載していませんが、超高速で移動する超硬い爪で斬られると大体皆壊れるので、普通に攻撃し続けるだけでジェノサイダルオルガンとして成り立つ。そんなゴリ押しの権化。
実はペーダソスと同レベルの未完成機です。自覚ナシ。ガワと中の人が優秀なのでそれでも一騎当千。量産機でも完成形は目指さず、ウンドワートの戦闘スタイルを模倣した運用をやっていく予定だったようです。
ウンドワートに搭載される不死病筐体および人格記録媒体の人格矯正には、スヴィトスラーフ聖歌隊(ウンドワートがいた世界では解体済)で使用されていた非人道的な教育プログラムが流用されています。
・アルファⅠ改型アルゴス/アルファⅡファイバー
継承連帯のアルファモデルのバリエーションです。
極低温でのみ動作する空間受動観測装置を搭載。超広域を精密に観測する機能を持ちます。
アルファモデルを自称することは稀です。
如何せん仕上がりが悪く、一番の売りになるはずだったジェノサイダルオルガンを起動出来ません。失敗作ではありますが、それでも上述の観測装置のおかげで偵察機としては優秀なのと、あのTモデル不死病筐体を利用したスチーム・ヘッドとしてはあり得ないほど人格的に安定しているため、諸々勘案されて運用継続を決定された経緯があります。
系譜図で言えば(継承連帯独自定義での)アルファⅡ寄りの機体なのですが、しかしこのスペックでアルファⅡと呼ぶのはさすがに無理が……ということで、分類上はⅠの改型。
コストを掛けて補助すれば、限定的にアルファⅡ相当の機能が使えます。
クヌーズオーエ解放軍の偵察軍(情報軍)トップの『マスター・ペーダソス』その人です。
・アルファⅡモナルキア
詳細不明。
・アルファⅢ(?)
調停防疫局のアルファシリーズ。
アルファⅠとアルファⅡから得られた運用データをさらに高度に統合した機体……になるはずでしたが、基礎研究の対象であるアルファⅡが上手いこと動かなかったので、開発自体がキャンセルされました。
基礎フレームは他勢力に売却。
装備は別の機体の製造に流用され、跡形もありません。
・アルファⅢ『トリスメギストス』
衛星軌道開発公社が擁していると目されるアルファモデル。
詳細不明。
・大主教『清廉なる導き手』リリウム
スヴィトスラーフ聖歌隊が偶然見出したアルファモデル。
とは言っても、彼らの世界ではその分野の研究が進んでいませんでした。
スペック上はアルファモデルですが、相応しい分類は成されていません。二度の『再誕』を経験した彼女が何なのか、聖歌隊の上層部は分かっていなかったでしょう。
聖父スヴィトスラーフが初代リリウムとの間に設けた救世の聖女。
強力な聖句遣いであった彼女がスチーム・ヘッドとなった後、『ゼバオトの首輪』や『ソロモンの指輪』などと大仰な名前で呼ばれていた謎の超技術人工脳髄を装備し、その機能を掌握することによって成立しました。
こんなところでしょうか。
『仲間を増やして次の街へ』という、自分が初期の初期に遺したメモに従ってやっていっていますが、色々と……色々と増えましたね。
今回の更新ではあんまりやれませんでしたが、やれるところまではやっていきたいと思います。




