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アフターゾンビアポカリプスAI百合 〜不滅の造花とスチームヘッド〜  作者: 無縁仏
セクション4 殺戮の地平線  世界生命終局管制機 アルファⅣ<ペイルライダー>
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セクション3 第百番攻略拠点接収作戦 その13 コルト・スカーレットドラグーン(1)

 漆黒のスチーム・ヘッドは呆然と立ち竦み、膝から崩れ落ちた。

 狭苦しい部屋に蒸気が渦巻く。

 勝負は最初から見えていた。彼女が腕を振り抜く方が遙かに速かった。

 脱力する。嘔吐する。甲冑の胴体を高純度不朽結晶弾が貫いていたがそのダメージによるものではない。

 彼女は絶望していた。

 己が娘の、力ない肉体を掻き抱いて、囁くようにして悔恨の言葉を紡いでいた。


「コルト、ボクのコルト。君は、君が思うよりずっと丁寧に改良されている。だから君の基準で、ボクの解釈を否定しまうんだろうけど、ぜんぶ、ぜんぶ、誤解なんだ。ボクが知らないうちに反故になってしまうような誓約は、未完成なこのメサイアには許されていない。ただそれだけのことだったんだよ……。コルト、ボクのコルト……助けてあげたかったよ。助けてほしかったよ。コルト……」


 全ては終わったことだった。

 誰かが選択し、誰かが受容した。

 それはずっと以前に済んだ出来事で、二人に出来ることは何もなかった。

 来たるべき結末が、当然のように訪れた。

 出来損ないの救世主は、押し殺した声を吐き出す。


「誰か、誰か助けて。ボクを助けて。ねぇ、誰か……誰か……」


 誰が叶えてくれるとも思えぬ願いを、ただ繰り返す……。


「誰か、助けてよう……」

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