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公園のベンチで
アダ王国・平和記念公園のベンチに腰かけていた男に、少年は声をかけた。
「ねぇおじさん、あれは誰?」
おじさんと呼ばれた男、かつての英雄クロス・グリードは、少年にはめもくれずに
「3000年も前にいた怖い怖い死神だよ。」
とだけこたえた。
少年の指の先には鬼のような形相でローブを纏う死神の像がたっていた。
英雄の記憶では死神は、12歳の可愛らしい少年だったのだが、こっちの方がかっこがつくだろうと、
そんな顔になっている。
少年は死神像の対にたった1人の戦士像をみながら、
「おじちゃんの像顔面盛りすぎだね」
と笑った。
「あぁ、俺もそう思う」と言おうとしたとき、クロスは違和感を感じた。
なんだろう、この聞き覚えのある声は・・・
3000年余り生きてきて、多くの人間と会話したがこんなに胸騒ぎがすることはなかった。
もしやと思い、恐る恐る顔を上げた先にいたのは、とてつもなく記憶に残っているアイツの顔
「英雄さん!おひさしぶり!」
わずかに誇らしげな表情で、死神がたっていた。