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4.お嬢様を見守る

帰りの馬車では、ウィリアム氏の許可を得て、あたしはお嬢様の隣で腰かけている。

お嬢様は俯いて両手で頬を抑えている

大丈夫だろうか?

「怖かったですよね?」

「え?」

思いもよらないというように顔を上げたお嬢様のほっぺは桃色に色づいていた。

ん?

「何があったんですか?あたしにも話して貰えないでしょうか?」

お嬢様は情報操作をしないから、興奮している今のうちに聞いてしまおう。

馬車の揺れすらいい感じの催眠効果になるだろう

「・・・セニア・・・には、刺激がつよいと思うの」

「お嬢様・・・あたしはそんなに頼りないですか?」

訴えかけるような目でうるうる見つめると、お嬢様の罪悪感がむくむくと湧き上がり、もうひと押し

「あたしは侍女なのに今日もお嬢様を守れず、申し訳ないです。だからお嬢様が何も言いたくないのもわかるから、」

「ちち、違うわ!」

ぱっと口を押えるお嬢様は、逡巡しながらも事の顛末を語りだした。



「はぁ?」


ちょっと失礼な返事をしてしまった。


お嬢様視点


いつも通り殿下とか、誰だったかしら?とかの人々に囲まれ、それでも笑顔で入れたのは護衛の彼がずっと横にいてくれたからなんだけど。

殿下のご友人で護衛の方が(お嬢様?名前。覚えてないね)声をかけてきてダンスの申し込みを。

殿下とは踊った後だったので、ニールセン卿に目で確かめて頷いてもらって

(ニールセン卿?????あ、ウィリアム氏だ)

手を取ったところで殿下の婚約者が乱入していらして・・・順番が変?ああ、まあ。

そのね、彼女に掴みかかられて、色々割愛するけど、私倒れたところをニールセン卿に助けて頂いたの。私にガラスが降ってこないように覆いかぶさってくださって、しっかり守って頂いたの。

(お嬢様?護衛だから、当然だからね!しかも割愛し過ぎ!)

もっと詳しく?

ええ、始めから?

父が忙しいから、代わりにニールセン卿はずっと隣にいてくれたわ。知ってる?そうね。

いつもと違う出で立ちのお姿もとても素敵でしたでしょう?凛々しくて。違う?そこじゃない?

ええと、途中からご令嬢達が来て彼に話しかけ出して、少しはぐれてしまって。

・・・もっと先?


お嬢様と踊れた殿下は上機嫌だったが、現われた筆頭婚約者にご機嫌が急降下したらしい。

『またお前か!私の妖精に手をだすなど!文句があるなら直接私に言え!』

人間だから。

『殿下、ご令嬢も落ち着いて』

とりなそうとする将来の近衛騎士氏。チャラいんだからちゃんと諌められなかったのか?と言いたい。

『私の筆頭婚約者でありながら派手な醜態を見せるなど許せるか!』

『ただの可愛い嫉妬ではないですか』

さすが色男騎士さん

『嫉妬?』

令嬢は騎士に向かって呟いたという、


お嬢様。割愛の中に短剣ありましたね?白状してください。


気づいた?

もう、セニアったら

大したことないのよ?


婚約者殿がお嬢様に掴みかかったのを剥がしたのは、騎士殿。


その腰の短剣を婚約者様が抜き取られて、私に向けてこられたの。


ちょっとおおおおお~!

大したことですからあああああ~!

騎士ぃいいいいいいい~!油断し過ぎだからああああ!


ニールセン卿が現われて颯爽とその剣を弾いて。

運悪く派手にシャンデリアにあたったから皆の注目を浴びてしまったけど・・・・。


お嬢様、残念ながら最初の口論からだいぶ注目浴びてると思います。


あの方大丈夫かしら。


あの方。どれのこと?


婚約者の方。


お優しいお嬢様は、眉を下げて本当に心配しておられる。

(お人よし)



修羅場は続いたそうな。

『そうよ、嫉妬よ。貴方がいつまでたってもハッキリしないから。』

真っ直ぐに言葉を向けたのは、殿下・・・・ではなく。

うん。その時の騎士殿きっと、げって思ったに違いない。

『し、・・・嫉妬ですって、殿下・・・・はは。ねぇ』

『殿下には他の令嬢に婚約者に成って貰う。俺には君だけだ、移り気な殿下とは違う。そうおっしゃったわよね』

う~ん。言いそう。

『な!何を言う、で、殿下!違います!令嬢の勘違いです!』

『ウルリヒ・・・アナイス』

殿下はただ、幼馴染の友人騎士と、筆頭婚約者の名をただ、呟いたらしい

かける言葉もない。というやつだ。


令嬢は、殿下の声にハッとして正気に返ったと。


呆然とする姿が可愛そうだったと言った。

お嬢様。

守られてるからって暢気すぎます。


でもね、彼女きっと本当に騎士様(だから、名前な)のこと好きだったのよ。

周りも見えないくらい


酷い男には蹴りですね。


馬車がゆっくり速度を落とし、止まる


ドアが開いて現われたウィリアム・ニールセン卿。に、お嬢様ったらぽっと顔を赤くして固まった。

不審そうな顔をあたしに向けるおっさん

くそう。にぶい。

だが、負けない。


「風邪ひいたかも。」


そう、お嬢様は今日の事で風邪を召された。


「いかんな。」

「だ、大丈夫」

ほら、っていうように元気に外へ出ようとしたお嬢様は、また抱えられた。

せめて断りを入れて抱えろおっさん!

お嬢様ちじこまっとるがな

「セニア。寝床の準備だ」

「・・・へ~い。」

寝床って


睨まれたけど知らん。



翌朝。



いい考えが浮かんだ



そうだ、ウィリアム氏を婿に据えよう


そうすれば、お嬢様の環境は今のまま

存分ウィリアム氏のじゃまは出来るし、お嬢様は誰にも取られない。

いいことだ~。

旦那様も喜ぶはずじゃん。

変な婿も取らず、嫁に出して親戚から養子をとる必要もない


常からお嬢様を好いた人と添わせようとしていた旦那様だから。

うん、そうしよう。


お嬢様を見守る日々は今日も続く


ああ、そういえば。騎士氏とすったもんだあった婚約者殿。社交界では傷物扱いで、殿下との話は立ち消え、そのまま騎士氏と結婚すると思われたんだけど。・・・・急にやる気をだした殿下にいいよられているらしい。あの人。庇護欲をそそるタイプが好きそうだもん。騎士氏は突然逃げるように仕事を真面目にこなしているらしい。いやぁ、お嬢様に飛び火しなくて良かった。

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