騎士氏頭を抱える
お嬢様を救った後辺り
「おい、食えよ。」
薄っぺらい体の少女は困ったという風情で目の前の夕飯を見ている。
ウィリアムは半ば怒るように肉の乗った皿を少女に押しやる。
「食え!」
少女は意識を取り戻し、治療院のベッドに居た。
彼女が食事を口にしないと言われて、ウィリアムが駆けつけたのだ。
見張らせていた兵士が同意したので、何も食べていないのは間違いない。
「くえ!」
少女は不思議そうにつぶやいた。
「仕事してない。これは違う人の分。」
「は?」
「それともアレを処分したのが仕事になる?」
「仕事?」
「仕事。」
「・・・どうでもいいから、食えっ!」
イライラして叫ぶ。目を見開いた子供。怯えた風もない。
「食べる仕事。やった!」
やった?
子供は行儀悪く手で掴んで肉に飯にと口に入れた。
お腹がすいていたのだろう。
しかし、
たべる仕事・・・。
嫌な予感しかない。
「あ、全部食べて良かった?もう、無いけど。」
「いいよ。お前のだ。」
「おっちゃん気前いいね。」
「・・・おう。つか、おっちゃんじゃねぇ!」
「オジサマ。的な?」
「違うわ!ウィリアムだ。子供、お前の名は?」
「ん、決めて?前は六床二番。今度は何?」
あんぐり口の開いたウィリアムは、後にお嬢様には子供は記憶を失っているので、名付けをして頂けますでしょうか。と胸の痛い嘘の報告をした。
(伯爵はしってるよ。報告義務あるもんね。)
暗器得意とか侵入得意とか毒耐性強いよ、とかね。
伯爵家はやっかまれている。
お人好しな癖に意外と商売ではやり手の伯爵は、領地運営もそつなくこなす。
お嬢様の旦那様になる人は大変だなぁ。
要らないけど。
いる?
要らないと思う。お嬢様はず~っと家のお嬢様だけでいればいい。
これ、旦那様との総意。
言うと
オッチャン怒るんだな