終
そのうち、この国に少し遅れて春がやってきました。
国の人ががんばって作った雪像もみるみる融けていきます。
おもちゃを失った子どもたちは悲しみました。
窓から形の崩れた小さな白い雪の塊を見て、主婦は大きなため息をつきました。
店先の招き猫ならぬ、招き雪像を失った店主は、しぶしぶ店の戸を開けることで客を呼び込むことにしました。
塔から降りてきた冬の女王様の言葉で、王様は例の少年を呼び寄せました。お触れの通り、彼の望む褒美を与えるためです。
しかし、少年は褒美が欲しくて冬の女王様に会いに行ったわけではないので、なにが欲しいかと聞かれても困ってしまいます。
しばらく考えた少年は、昨冬の思い出にニコニコしている冬の女王様の顔を見て、こう提案しました。
「これから、毎年冬には、王様主催の雪まつりをしてください」と。
それからと言うもの、毎年冬になると、国の広場と言う広場にたくさんの人が腕によりをかけて作った雪像が並ぶようになりました。
みんながあまりに楽しそうに雪遊びをするので、うらやましがった冬の女王様が自分も仲間に入れてもらおうとうっかり塔を下りてしまうこともたびたびです。
そのたびに雪がやみ、雪像が融けてしまうので、みんななんとか冬の女王様に塔に戻ってもらおうと説得するのですが、それはまた別のお話です。
<完>
久しぶりに書いた短編作品です。
ふと「小説家になろう」のおしらせページを見て、
おもしろそうだと思って書いてみました。
がんばって連休二日で書きあげました(笑
最近創作に復帰したばかりで、
なかなか筆が進まないことも多いですが、
今回はすんなり書けてよかったです。
ストーリー自体は、冬嫌いの国民を嘆いて塔に閉じこもった女王様に
国民を冬好きにさせることで出てきてもらおう、
というありがちなものなので、
他の方と趣旨が被ってしたら申し訳ありません。
普段は女の子が戦うファンタジーものばかり書いているので、
童話作品を書くのはとても新鮮でした。
文章の書き方もいつもとは変えてみたり、チャレンジの連続です。
また機会と時間があれば、こういうイベントにも参加させてもらおうと思います。
それでは、最後まで読んでくださってありがとうございました。
寒い日が続きますので、みなさまお体には気を付けてくださいませ。
2016/12/16




