表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

人ならざるもの。

愛したものの告白。

作者: そんなり

「お前には、一生教えてやんないよ」


 そう言いながら涙を流して、私にキスを落とすのです。

 啄むように唇を噛み、角度を変えては深く口付け、舌を絡め取る。


 ーーまるで、愛を囁いてるみたい。


 深く、深く、口付けられるたびに。

 優しく、柔らかく、愛撫されるたびに。


 まるで全身で愛されているような、そんな錯覚に陥ってしまうのです。

 私を欲しているのだと、勘違いしてしまうのです。


 そんなことはあり得ないというのに。


 私の前は隣の家のお姉さんでした。

 その前は村長さんのところの一番上の娘さんで、そのまた前は最近結婚した猟師さんの奥さんで、さらにその前は私の叔母さんでした。


 貴方はほんの気まぐれに、私を選んだだけ。

 飽きたら、返されてしまう。


 貴方の祝福を受けて。



 私の前もその前も。その前の前だって、いつだって。

 彼女たちは祝福を受けて幸せになりました。

 貴方の、祝福を受けて。



 ーー私は、どうしたらいいの。


 貴方のいない幸せなんてありはしないのに。

 貴方に手放される時が、その時までが私の幸せだというのに。


 私は、貴方の憂いさえ晴らすことができないのです。

 その涙の一滴さえ、貴方は私にくれないのです。


 ーー誰を思った、涙でしょうか。


 誰のために貴方は、涙を流しているのでしょうか。



 貴方を縛り付ける言葉を伝えることができないまま。

 私は今日も貴方に愛されるのです。


 たとえそれが、偽りだったとしても。

 誰かに重ねているのだとしても。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ