愛したものの告白。
「お前には、一生教えてやんないよ」
そう言いながら涙を流して、私にキスを落とすのです。
啄むように唇を噛み、角度を変えては深く口付け、舌を絡め取る。
ーーまるで、愛を囁いてるみたい。
深く、深く、口付けられるたびに。
優しく、柔らかく、愛撫されるたびに。
まるで全身で愛されているような、そんな錯覚に陥ってしまうのです。
私を欲しているのだと、勘違いしてしまうのです。
そんなことはあり得ないというのに。
私の前は隣の家のお姉さんでした。
その前は村長さんのところの一番上の娘さんで、そのまた前は最近結婚した猟師さんの奥さんで、さらにその前は私の叔母さんでした。
貴方はほんの気まぐれに、私を選んだだけ。
飽きたら、返されてしまう。
貴方の祝福を受けて。
私の前もその前も。その前の前だって、いつだって。
彼女たちは祝福を受けて幸せになりました。
貴方の、祝福を受けて。
ーー私は、どうしたらいいの。
貴方のいない幸せなんてありはしないのに。
貴方に手放される時が、その時までが私の幸せだというのに。
私は、貴方の憂いさえ晴らすことができないのです。
その涙の一滴さえ、貴方は私にくれないのです。
ーー誰を思った、涙でしょうか。
誰のために貴方は、涙を流しているのでしょうか。
貴方を縛り付ける言葉を伝えることができないまま。
私は今日も貴方に愛されるのです。
たとえそれが、偽りだったとしても。
誰かに重ねているのだとしても。