動く箱庭
箱の中で僕は誰かに歌を贈る。
今は閉じ込められているんだ、きっと。
この歌が、君に届くのかも、他の誰かに届くのかも、わからないけど。
僕は目をつむって、浮かんでくるメロディーに言葉を乗せた。
僕を乗せて動く箱がガタンゴトンと鳴って、左右に揺れる。
僕を乗せたこの身体も、それに合わせて左右に揺れた。
この身体が運ばれて、何処へ行き着くのか、何処かへ着くのか、何処へ向かうのか、何処かへ向かっているのか。1つもわからない。
暗い、黒い、トンネルのような中を、それはただ進んでいて、まるで僕にはなにも決められないみたいに思えてくる。
決められた僕はもうそこにはいなくて。
次の僕が手を振って、頭と心を交換していく。
どこかに繋がる――前にこの歌を。
届いて。
なんて他人任せにしてる間は届かないんだろうな。
届かせよう、僕が僕を、この歌で。
Twitter:@dausanno