表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

プロローグ

――――ずっと前から好きでした。


何度も紡がれてきただろう、この世界に溢れるほど存在する想い。ありきたりな言葉でくくられた音声データ。技術だけが進歩していくこの世界で、限りなく実物に近く、そこに存在しているような。求め続けた結果、寸分の狂いも無く君はそこにいた。何度聞いただろう、机の上に浮かんでいるホログラムには自分でも疑うほどの再生回数が表示されている。君が僕の前から姿を消してどれくらい()っただろう。(いま)だに君は僕の心を放してくれない。僕の心は囚われたままだ。

「そろそろ返してくれてもいいんじゃないかな。」

口元をほころばせた。

その時、メール通知のウィンドウが開いた。ディスプレイに表示されたキーボードを操作し、再生を停止する。

 すると、赤子の鳴き声が室内に響き渡った。手を止め、ベッドへ向かう。抱き上げるが泣き止む気配がない、母親の声を子守唄がわりにしていたのだろうか。


亡き妻への愛と(かいな)(いだ)く我が子の未来に一筋のしずくが頬をつたった。



 

外は土砂降りの雨だった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ