表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
秘密  作者:
7/7

初めて

男女が二人きりな時点でどうなるか考えなかった私が悪かったのかも知れない

でも…こんな出会いはアリなんですか

「…」


目をゆっくりと開けると真っ白な部屋にいた。

いや、正確には真っ白な家具などしか無い部屋だ。


「…病院?」


薬品の臭いが鼻につく。


「なんで…?」


未夜はゆっくりと起き上がるとパイプ式のベッドが軋む。


「そう…だ」


未夜は気を失うまでの事を思い出した。

守に未那斗が刺され、口付けをされた。


「何か頭に流れ込んできたような気がするけど…」


何も思い出せない。

思い出そうとすると頭が真っ白になってしまう。

頭すら痛くなる。吐き気もだ。


―――それはね、情報量が多いからだよ


「光里…」


―――簡単に言うなら、とっても酷い過去だね


「酷い?」


―――うん。とってもね


光里は少し暗い顔をしていた。


「あ…未那斗兄さんの病室ってどこなんだろう」


―――確か…あっち


「あっち?あぁ、ナースステーションの近くなんだね?」


光里がガラスなどを通して未夜を案内する。





コンコンコン

控えめなノックが部屋に響く。


「未夜?」


未那斗が扉の方を向き優しく名前を言う。

返事はなく無言のままだ。


「…そんな所にいないで入っておいで」


先程より強い口調になったがそれでも優しい声だ。


「…兄さん」


ゆっくりと扉がスライドされると泣き出しそうな顔の未夜が入ってくる。

すぐに返事しなかったのも入って来なかったのも罪悪感があったからだ。


「おいで」


未那斗はニコリと微笑むとベッドの横にある椅子に座るよう促す。

未夜は俯いたまま椅子に座る。


「未那斗兄さん怪我の方は…」

「命に別状ないって。すぐ退院出来るって言ってたよ」

「そう…」


守自身も殺すつもりは無かったようだ。

口止めをするだけの為に刺したと言う事になる。


「まさか守が入ってくるなんて予想もしてなかった」

「どうやって入ってこれたんだろう?」


未那斗が言いかけていた死神と…がとても気になる。

もし、関係があるとすれば死神が入ってきた時点で結界は何らかの方法で壊されていた事になる。


「それは僕達には分からないんだ」


未那斗は首を横に振る。


「そっか…」

「それより、怖かっただろう?」


未那斗は未夜の頭を優しく撫でる。


「怖くは無かったよ…大丈夫」

「はは。強くなったね」

「そ…そんな事ないよ」


未夜は少し照れくさそうにしている。






暫くしてから未那斗は疲れていたのか眠ってしまい、未夜は部屋からそっと出た。


「そう言えば私いつまで入院してれば良いの?」


目覚めてすぐに部屋から出てきてしまった為何も聞いていない。


「明日でいっか…。風に当たりたいなぁ」


未夜は屋上へと向かった。

ナースに聞いたところ、屋上にはバラ園があるらしい。


「病院にバラ園ねぇ…」


今まで病院にそんな施設があるのは聞いた事がない。

扉を開くと、バラの香りが出迎えてくれた。


「わぁ…ここ本当に病院なの?」


目の前には病院の施設とは思えないほど立派なバラ園があった。


「色んな種類があるんだね…ん?」


バラ園の中心に噴水があり、その噴水の前に少年が座っていた。

座っていると言うより眠っていた。


「た…倒れてるわけじゃなさそう…??」


倒れているのかと思い急いで近付くが寝息が微かに聞こえる。


「でも…どこかで見た事あるなぁ…??」


起こさないようにゆっくりと目の前にしゃがむ。


―――未夜…クラスメイトだよ?川村暁君


「あぁ…確か体が弱くてよく欠席してる子だっけ」


―――来てないからって忘れるとか酷いよ


「あはは…そうだよね」


川村暁はとても静かで目立つような子ではない。

学校を休んでるわりには授業にちゃんと付いてこられるし、テストの順位も上だ。


「顔をよく見た事なかったけど…凄く綺麗な顔立ちしてるなぁ…美人さんって言うか…」


男子に美人と使って良いのか分からなかったが美人以外言葉が出てこなかった。


「…っと。こんなに見てるのは失礼だよね。そろそろ私も部屋に戻らなきゃ」


未夜は空がオレンジ色に染まってきているのに気づき、立ち上がる。

いや、立ち上がろうとしたの方が正しいだろう。


「ん!?」


腕が物凄い力で引っ張られ、体制を崩す。

体は地面ではない何かに受け止められる。


「君…確かクラスメイトだよね?なんで病院(ココ)にいるの」

「あ…あの…えっと…?」


未夜が声のする方を見ると少年が目を開けコチラを見下ろしていた。

状況的には転んだ未夜を暁が受け止めたような形である。

腕を掴んでいる事を除けばだが。


「色々あって…気付いたら…」

「ふうん」

「え?」


肩を押されたと思うのと同時に背中に柔らかい何かが当たるのを感じる。

そして、暁の顔がこちらを見下ろしている。


(多分これは押し倒されてるんだよね?)


状況が飲み込めずにいる未夜はとりあえず笑顔で暁を見る。


「な…何をしているのでしょうか?」

「分からない?押し倒してるんだけど」


真顔で言われて何も言えなくなる。


「いや…あの~…?なんで私押し倒されてるんですかね?」

「なんで?綾瀬さんみたいな美人がいたら押し倒したくなるでしょ」


これもまた真顔で言われるのでどうしたら分からなくなる。

完全に相手のペースに飲まれている。


「いやいや。おかしいでしょ!!?」

「それに、俺は体が弱くてこんな薬品臭い所にいるわけじゃないから」

(話聞いてたのか)


未夜は光里との会話を思い出す。

他人から見ると完全に独り言である。


「って、ちょっと!!?」

「何」

「何じゃないって!どこに手入れてるの!!」

「どこ?病衣の中」

「…」


暁の真剣な返しにどこか力が抜けてしまいそうになる。


「初対面ってわけでもないけど、付き合ってもいない女子によく手出せるね」

「別に。誰でも良いってわけじゃないけど、綾瀬なら良いかなって」

「どういう意味でしょうねぇ」

「変な意味じゃないから安心して」

(安心出来るわけないでしょ!!)


何を言っても無駄だと思い心の中で突っ込みを入れ始める。


「ちょ…待って…」

「無理」

「!!?」


首筋にヌメリと温かい何かが当たり行ったり来たりをする。

濡れた所に吐息がかかる。

つまりは舐められている。


「あ…あの!?」

「何」


暁は止める事なく下へと下がっていく。

病衣を止めている紐が解かれる。


(どうしたら!!?さっきから光里と繋がんないし!)


光里に助けを求めているが応答はない。


「川むんぅ!?」


口を開けた瞬間狙っていたかのように口付けをされる。

初めてでは無いが不思議な感覚に襲われる。


「んん!!?」


口の中に何かが滑り込んでくる。

暁の舌だという事に気付く。


(このままじゃ…でも…)


今まで味わった事のない感覚に全身が麻痺して思うように動かない。

彼を拒むことを拒んでいる。

そんな気がした。


「綾瀬さんって制服着てると分からないけど胸大きいんだね」

「っ」


いつの間にか露になっていた胸元を下着の上から遠慮なく触られ体が反応する。

触れられた場所が熱を持ったかのように熱く感じる。


「!!?」


胸元に意識が集中している時にズボンに手が侵入して来た事に気付き体を動かす。


(そ…それは流石に!!!!)


未夜はどう抵抗すれば良いのか分からないが必死になっている。


「抵抗される程俺燃えるんだよね」

(逆効果か!)


未夜は冷や汗が背中を伝うのが分かった。


「んぅ!?」

「へぇ初めて…なんだ?」


目を細めて見つめられ顔が火照るのが分かった。

口が離れた瞬間息を吸い込み呼吸を整えるが、そんな余裕はすぐに消えた。


「やめ…あぁ!!?」


ナカを彼の指が動き回る度に体中が電気でも通ったかのようにビクリと反応する。


「知ってた?ここって誰も来ないんだよ?」

「へ…?」


涙目で暁を見つめる。


(誰も来ない…?)


つまり助けは来ない。

今のまま行けば最後まで彼はヤるだろう。


「あぁ!!?」


いきなり抜かれて体がまた反応してしまう。


「な…何を…」

「分かってるんでしょ?そこまで無知ではないよね」


確かに知らないわけではない。

ただ、この後何をされるのか理解したくなかっただけだ。


「待ってソレは…!」

「待てないね。残念だけど…痛いだろうけど我慢して?すぐ気持ちよくなるから…」

「いっ!!?」







「うぅ…」


目が覚めると目の前に暁の寝顔が近くにある。


「!!!?」


驚いて体を起こすが腰が痛くて蹲る。


「…記憶まったく無いけど最後までしちゃったの?」


お互い服を着ていない時点でそうなのだろう。

絶望していると暁が目を覚ます。


「あれ?起きたの?だけど凄かったよ?本当に初めてだったのかなぁ?」

(もう…学校で会った時どんな顔すれば…)


未夜はこの後の学校生活が憂鬱で仕方なかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ