夢のがらくた
宗治は極めて普通、よりも少しばかり大人しくて少しばかり学校の成績が良い子供だ。父はサラリーマンで安定した収入を持ち、母はパートでOLをしている至って普通の家庭だ。なんて嘘はゴミ箱へ捨てると、売春婦の母が今日も某サイトの客を呼び込むPR日記をこちらに内容を見られぬようあくまで自然を装いながら書きながら家事をしている。
宗治がその事実に気づいたのは風邪で寝込んだ際に「子供 熱 すぐ下げる」と検索したかったのであろう、母の携帯に乳首をハートマークのスタンプで隠した乳房の画像と共に『90分のS様へ★』と言ったタイトルのブログのような画面をみつけたからだった。きっといつもはページを消して置くのを忘れていたのだろう。そこのサイト名を記憶していた宗治は、ある日検索してみると思春期にはとても刺激が強くかつその世界に母がいるという事実がたまらなく気持ち悪く思えた。そこからは母とは最小限だけの会話で生活していた。しばらくサイトの出勤予定を見ながら母の様子を観察してみる事にした。ただの好奇心なのか、やめて欲しかったのかは定かではないが、少なくとも眉間にシワが寄る、彼には気の重たくもしなくてはならないような作業だった。
「宗治、どうしたの?最近お母さんに冷たいじゃない。何かあるならいいなさい。」
「何も無い。」
「嘘よ!明らかに違うわ。怒らないからいってごらんなさい。」
その日は日記の更新が酷く多くてきっと稼げなかったイライラもあり何も知らないと思い込んでいる息子に当たったのだろう。
「売春婦なんて、よくできるね。」
ついにいってしまった。母は一瞬目を見開き驚いた顔をしたのち、換気扇をつけまだ帰宅していない父の置き忘れて行ったタバコに火をつけた。母が喫煙者だったことすら宗治はしらなかった。
「子供に何がわかんのよ。」
宗治の玩具は壊れてしまった。そう、綺麗な暖かくて美しい家族という箱庭が、今ではもう、ゴミ箱だ。




