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夏 / 母を感じて
【夏】
涼しい部屋から少し離れた
開いた小窓の近くに座っていた
本のページをめくっていると
ふわり
熱気が頬を撫でていった
入ってこないと思っていたのに
触れられた頬に少し柔らかい感覚が残って
わたしはなんだか胸がときめいて
立ち上がって外を見つめた
夏がいた
夏はわたしを見つめて
「気付いてくれた?」とでも言いたげに
光っている
もう、ずるいひと
立ち去るのが惜しいから
わたしは夏を見つめて
しばらくそのまま
その温もりを感じていた
*
【母を感じて】
霞がかった空は白く
向こうに見える水平線も色は薄く
境界がないみたい
向かってくる潮風は
わたしの体を過ぎて陸へ
涼を運んでいく
緑の山は薄く
陸に行けば徐々に青く
形を見せて
砂浜のわたしは小さく
向かう海はどこまでも広く
まるでこのまま世界に飲み込まれそう
太陽の熱さが肌を焼いて
それでも
絵本、異世界、夢の中……
目に映るのは溶けそうな世界で
ただただ、美しい




