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夜 / 風とわたし達
【夜】
夜になると
何故だかあなたがとても近くなって
包まれているみたいに感じるから
わたしはあなたを
愛しく思う心が止まらなくなって
同じように
夜の空気を包みたくなる
深く、深く
愛しているよと
手を伸ばしても
とん、と
触れることはないけれど
気持ちだけでも触れさせて
見つめさせて
静かで優しいあなたのことを
そっと想わせてほしい
*
【風とわたし達】
「空がきれいだね」
ってあなたが言って
「そうだね」
ってわたしが返す
それだけの
ちいさなやりとり
つながった手の
やわらかい温もりを
感じとって
あおい草の中
「すこしだけ涼しいね」
って
首にさげた
小さな木のたて笛を
ぴぃー
と吹くと
草原に
さぁと風が吹いて
小さな声が伝えられる
いっしょに
生きてるね
ちっちゃな
わたし達と風の
ことば
かわして
おっきな風が
ふわっとわたし達を包みこんで
ぎゅっと
はぐを返せば
世界がぐっと
近くなる




