47話──救出作戦開始
「おうゼット。遅かったな」
「すいませんギルマス」
「とは言ったが、まだ時間まで十五分はある。ま、早いに越したことはない。他の奴らは全員俺の部屋に集まってるから着いて来い」
「はい」
ギルドの入口で待ってくれていたギルマスの後を追い、関係者以外立ち入り禁止となっている通路を抜けて一番奥の部屋に入った。
普段ギルマスが表に出ていることは少ないため、少し注目を浴びてしまっていた。
「戻ったぞ。これで全員集合だ」
「失礼します」
部屋の中には、ビリーブさんとイアさん、その他に知らない人が二人。見覚えがある気がしなくもないけど、関わりは無い人だ。多分ギルマスが言ってたAランクの人たちなのだろう。
「お前らはもう顔合わせ済ませただろうが、こいつとはまだだろ?」
「そうだねぇ~」
「うむ」
ギルマスの言葉に、Aの人たちが答えた。
「ここでやってもらってもいいんだが、全員準備は済んでるみたいだし、もう出発していいか?」
「いいんじゃないでしょうか。時間は有効活用するべきですしね」
「ってことで、ゼットと我装の二人は向かいつつ仲良くなっとけ」
そんな感じの会話をして、町を離れた。
道中では、Aの人たちと親睦を深める。
わかったことは、のほほんとした感じの女性の名前はネイビー・アリターガーさん。
もう一人のしっかりした男性の名前はジェネド・アリターガーさん。
二人は夫婦で冒険者稼業に勤しんでいる方たちで、出会いのきっかけは二パーティーでの合同で依頼をした時とのこと。
そこで出会って、二人は意気投合。その後は話すと一日じゃ足りないほどに紆余曲折あり、最終的に二人とも自分の所属していたパーティーを離れ、今に至る。
結婚したタイミングは二人のパーティーを作ってすぐ。我装というパーティー名は、自分らしさを身に着けた二人だからだそう。
互いを愛する想いを優先して生きたネイビーさんとジェネドさん。
人生の理想の形の一つだと思った。
「そうなんだぁ。じゃあ、ゼットくんはそのお友達のために……ってことなのねぇ~」
「はい。もちろんアリス・グリント様のことも心配ですよ?」
「別に保険を掛ける必要は無いぞ。親交がある者をより心配することは当然だ」
「そうですかね……。それにしても安心しました」
「安心とは?」
「ジェネドさんたちのことちょっと怖い人だと想像していたので、優しい人たちで良かったなと」
「あらあら、ゼットくんは意外と怖がりなのねぇ~」
「だが友のためにこうして行動することは素晴らしいな。良い勇気だ」
「そうね~」
「ありがとうございます」
「お前ら、そろそろ気を引き締めろ」
ギルマスが全員に注意喚起。
「町から離れたにしては、空気中の魔力が異様に薄い。どうやらミアの情報は正しかったようだ」
俺にはその魔力が薄いということが感じられない。
ジェネドさんとネイビーさんも首を傾げている。
よくわからないけど、ギルマス凄いと思った。
─────
「……ここだろう」
隠密行動のため、岩陰で身を隠すようにしつつイアさんが目星を洞窟を見て回っていた。
俺は隠密行動とかあまりできないというか自信がないため、とにかく真似して後を追った。
そんな中、五つ目の洞窟の前でギルマス立ち止まり、手で後続を静止させると静かにそう告げた。
「なにか感じ取ったんですか?」
「ミア、念のため展開しておけ。魔力の色が黒い。敵は百を優に超える大人数だ」
「わかりましたよ」
すると、イアさんは人差し指を一振り。
「展開完了。ある程度の攻撃を三回くらい無効化できますので、みなさん活用してくださいね」
発言的に、防御系の魔術を掛けたのだろう。でも、みなさん?
「俺たちにも掛けたんですか?」
「そうですよ」
「なにも見えませんでしたけど」
「戦いの中で行使したときにバレるような魔術じゃ、簡単に対処されちゃいますから。隠蔽するのは当然のことですよ」
見えない防御系の魔術なんて、初めての体験だった。
エフェメラルも防除系の魔術を使えるけど、使うには唱える必要があるし、見た目でもわかりやすく光っていた。
「ただし、無効化できるからと回避せずに戦うということはしないようお願いしますね。ダンプさんとかビリーブに本気でやられると一回くらいしか持たないので、あんまり過信はしないでください」
「一回耐えられるだけでも悔しいがな。だろビリーブ」
「共感致します」
「えぇ。私からすると一回しか持たないことが悔しいんですけどね。あとこれは耐久性重視の魔術なので、三十分くらいしか持ちません。さっさと行きましょう」
「そうだな。我装の二人とゼットも用心して着いて来いよ。特にゼット。もしセイジの姿とか声が聞こえても勝手に飛び出すなよ」
「もちろんです。絶対に飛び出さないと約束します」
ギルマスの、からかうような感じではないマジな言い方に、緊張感が出てくる。早々に喉の渇きを感じた。
「ここからは陣形を変える。俺が先頭なのはそのまま。ミアとビリーブの場所は入れ替えだ。ミアは最後列から後方の注意確認共に、防御系魔術に徹しろ。戦闘に回ってもらいたいときは随時指示する。ビリーブは俺と共に最前線だ。できる限り敵と思われる奴は事前に俺が察知して回避するが、一方通行の場合なんかは戦闘も止む負えない。その時は頼りにさせてもらう。異論は?」
「私はそれでいいですよ」
「わたくしも問題ありません」
「俺とビリーブの後ろにお前ら三人だ。ジェネドはゼットの保護に重きを置きつつ、戦闘時は援護頼む。ネイビーは回復系魔術をビリーブ優先に掛けろ。俺とミアのちょっとした傷は無視していい。魔力の節約になるからな。止血しないとヤバいくらいの傷になったらその時は頼む。異論は?」
「無いです~」
「同じくだ」
「ゼットはできるだけジェネドの二メートル圏内を維持し続けるようにしろ。戦闘時はジェネドから離れていいが、ジェネドから物理的に見えないところには行くな。曲がり角とか岩陰とかな。それと、近接戦闘は控えろ。攻撃系魔術で参加してくれ」
「わかりました」
「ただし、ここは洞窟だ。敵は洞窟内を拠点にしている以上、空気の循環環境は整えているだろうが、あまりお前の魔術を撃ちすぎると呼吸に支障が出る。ここぞという時に撃て。着弾時爆発するような魔術もできるだけ控えろ。使ってもいいが、それは俺たちが接敵していない、遠くの敵に撃つようにな」
「はい」
「ここから会話は極力控える。行くぞ」
思い付いたばかりでまだ構成練ってる最中なので更新は遅いですが、評価ブクマ感想で速度バフが付くので良ければお願いします!
ちょっとでも続きが気になれば!是非!!




