44話──救出会議4
やっぱり……いや、そりゃそうか。貴族優先なのは当たり前で、犠牲も止む負えないって──
「当たり前だろ?」
「……え?」
え?
「ただし、って言っただろ?話は最後まで聞けって」
「ってことは……!」
「もちろんセイジも含めて助けてやる。大事な部下だからな。ただし、二人を同じ場所に監禁してるとは思えん。だから隠密行動するなら難易度は馬鹿にならんってわけだ。一人目を救い出してから二人目を救うまでの時間を限り無く短くしないといけない」
「選定するなら、ギルドマスターとしてどんなメンバーにしますかね」
「んー……そうだな。とりあえず俺とミア、あとビリーブは確定な。んで、すまんがリドリーは留守番だ。リドリーの強さは知ってるが、だからと言って戦場に出すわけにはいかん」
「……そうか」
「それから……今うちのギルドにはAのパーティーが一つ拠点にしてくれてるからよ、そいつらも同行させよう」
「そのAランクのパーティーは何人かな」
「二人組だ。だから俺らも含めて五人だな。五人で奴らの拠点を探して入り込み、アリスとセイジを助けなきゃいけない。即席チームで連携がぶれないギリギリの人数だ」
ギルマス、ビリーブさん、イアさん、それからAランク冒険者二人。
この町の最大戦力と言っても過言ではない。
そこに更に人を加えても、ギルマスが言ったように連携が崩れる可能性が生まれるし、誰を入れようが足手まといになるだけ。
「……」
俺だって足手まといになるだけ。
それはわかってる。
……でも──
「俺も行かせてください」
「理由はなんだ?」
「親友を助けるためです」
「……それだけか?」
予想通り、ギルマスは追及してきた。
きっと、ここで俺に求められている正しい発言は、アリス・グリント様を助けるため、なのだろう。
でも、それじゃあ取って付けただけの言葉だ。
「正直に言います。貴族どうこう関係無いと言われたので、正直に答えます」
俺は、追及してきたギルマスではなく、リドリー様を見て告げる。
「ぶっちゃけ俺は、アリス・グリント様に対して恩とかありませんし、感謝の気持ちも敬意もありません。ただこの町を支えてくれている貴族の娘ってだけの印象です。だからみなさんと違い、アリス・グリント様よりも親友であるセイジを優先します」
リドリー様は無言。俺の言葉に怒りを覚えているのだろうか。あとで殺されるかもしれない。
「ですが、だからこそ俺はセイジと同等に……アリスを助けたいと思います。貴族としてのアリス・グリント様ではなく……」
ごめんセイジ。
この俺による告白が、もしかしたら悪い方向に転がるかも。
でも、どうか許してほしい。俺の想いを伝える一番の道だから。
「セイジの恋人であるアリスだから、俺は絶対どっちも一緒に助けたいです」
なにより、セイジがドジらなければこんなことにはならなかったし、自業自得ってことにしておいてくれよ。
「……」
眉をひそめるリドリー様。
「おおう、ぶちまかすな」
面白がって笑うギルマス。
「それ事実だったんだ」
驚きにやけるイアさん。
「ゼット様……」
そして、困ったように額を抑えるビリーブさん。
無言の時間が流れる。
その固まった空気を破壊したのはリドリー様だった。
「そのことについては、のちに聞かせてもらおう。それからダンプ。同行を許可してやれ」
「でもなリドリー、感情だけで──」
「そうだ。感情だけだ」
ギルマスの言葉に被せたリドリー様のその言葉には、今日一番の重みがあった。
どうしようもない気持ちを、どうしようもないから無理矢理絞り出している。そんな感じだった。
「父親として、娘を救おうと奔走するのは当然。だが、私は貴族。自由に願いを全て叶えようとすることは貴族として間違った行ないだ。取捨選択が求められる」
「リドリー……」
「私には息子が三人いる。優秀な息子たちだ。後継ぎとなる存在は足りている。女であるアリスは最も優先度が低い存在だ。にも関わらず、私は自らの立場を利用し、こうして緊急で召集している。この私の行ないを、感情によるものと言わなのであれば、他になんと説明すれば良いのだ?」
「認めてあげてもいいんじゃないですか?ダンプさん。選択するのはゼット君ですよ。どうなろうと責任はゼット君にあります。私たちはただ私たちの仕事をし、ゼット君は個人で同行する。それでいいじゃないですか」
イアさんも説得してくれてた。
「そんな無責任なこと、ギルマスとしてな……」
「調子に乗るつもりはないですし、俺の力量が劣ってるってわかってます。ですけどBランクとして最低限の活躍はできます。してみせます!」
「……わかった。許可してやる」
「ギルマス!ありがとうございます!」
「ただし、単独行動は許さんからな」
「はい!」
「これでいいか?」
ギルマスはその決定をリドリー様に再確認した。
「構わない。さて、ゼット君」
「はいッ!?」
「そう身構えるな」
無理ですねはい。
常に睨んでくる顔なんだから身構えるのも仕方ないと思う。
「同行できない私の分も、どうかよろしく頼む」
「は、はい!もちろんです!アリス・グリント様もセイジも、二人とも絶対連れ戻します!」
「……本音を言ってしまえば、今すぐにでも職務を放り出して飛び出したいところだ」
瞳と同じ色をした、親指の爪ほどの宝石が嵌め込まれたネックレスを外しながら息を吐くリドリー様。
「だが、それが許されない立場なんだ。クソめ。なんで貴族なんてクソったれな立場にいなきゃならんのだ。妻と、息子たちと、アリスと……ただ平穏な生活が送れればそれでいいんだ……」
「リドリー様……」
「ゼット君。無事に帰ってきた暁には、再びこうして会話をする機会をくれないか」
「えっと……」
素直に頷いていいものなのかわからず、ビリーブさんに助けを求めて視線を送ってみれば、ビリーブさんは無言で頷いてくれた。
「……はい。お願いします」
思い付いたばかりでまだ構成練ってる最中なので更新は遅いですが、評価ブクマ感想で速度バフが付くので良ければお願いします!
ちょっとでも続きが気になれば!是非!!




