42話──救出会議2
「えっと……」
これは俺から紹介するべきなのか?
それとも促されるまで待っていた方がいいのかな。
「……」
わからないのでとりあえずお辞儀しておいた。
「ではまずは私から」
良かった。変に行動しなくて正解だった。
「私はね、そこのリドリー様の護衛騎士です。ゼット君にもわかるように言うと、リドリー様の部下の中で一番偉い人って考えてくれればいいかなと。……こんな感じですか?」
その人は長い金髪で、前髪は左右に分けられてておでこが丸見えなところが特徴的だ。高めの明るい声で話すからか、とても接しやすい雰囲気を醸し出している。
「おい名前」
「おっと失礼」
その人はギルマスに指摘されてあちゃーといった様子で続けた。
「私はジェルデミア・イアって名前なんで、略してミアって呼んでくれて構わないですよ」
「じゃ、次は俺が。俺は全員と面識があるが改めて、グリントの冒険者ギルドのマスターをやってる、ラルト・ダンプだ。以上」
「わたくしはグリント様よりアリス様の専属執事の任を頂いております、クアイト・ビリーブと申します。本日はよろしくお願いいたします。では次、ゼット様」
「あ、はい」
どうしようか迷ってたところでビリーブさんが順番をくれたので、ありがたく乗らせてもらう。
「俺は……じゃなくて、私は」
「いつも通りで構わない」
「あ、えっと、はい……」
まだ自己紹介していない重厚感がある人がそう言ってくれたので、というかそうしないと怒られそうな気がしたので言われた通りいつも通りを思い出す。
というか、初めにイアさんがそこのリドリー様って言ってた時点でもうその重厚感のある人がリドリー・ウェル・グリント様その人だってわかっちゃってるし……マジで怖い。
「俺はゼット……です」
「……」
「すみません。俺、ゼットって名前しか無くて……」
「すまない。そこが気になっていたわけではないのだ。気にしないでくれたまえ」
怖い!
「さて、私からも自己紹介させてもらおうか。私はリドリー・ウェル・グリント。この町と近郊を治める貴族だ。国王より授けられた爵位は子爵だ。だが、この場ではどうでもいい肩書きだと思ってもらって構わない。リドリーと呼ぶといい」
アリス・グリント様と一緒の白に近いような金髪。目の色も一緒の水色だった。ギルマスよりは小さいけど、俺よりは大きい。あと謎の凄味を感じる。
リドリー・ウェル・グリント様はいつも多忙なようで、これまで一度も姿を拝見したことがなかった。王国誕生祭ではいつもリドリー様だけいなかったのだ。
「よ、ろしくおねがいします。リドリー様」
「……それでいいだろう。それでは、ジェルデミア、頼んだ」
「では本題に入りましょか。他言無用でおねがいしますね」
そう念押しするイアさんに、俺含め全員が頷いた。
「グリント家長女、アリス・グリントの失踪について」
「ッ!」
やっぱりそうだったんだ!
「そのことに関して、まずはビリーブ」
「かしこまりました。今より二日前、アリス様はいつものように屋敷を抜け出して町を散策していらっしゃいました。その最中、とある男と邂逅し……詳しい事情を話すと長くなりますので一部省かせていただきますが、その男と果物屋横の道から路地裏へと入り、その地点から行方がわからないという状況となっております」
「その時ビリーブはなにをしていたんですか?」
「わたくしはそちらのゼット様より先ほど挙げた男に関して話をさせていただいておりました」
「ゼット君。間違い無いかい?」
「はい。俺はたしかにセイジに関してビリーブさんと話しました」
「セイジ、その男に関して詳しい説明をできる者は?」
「リドリー様、その役はわたくしが務めさせていただきます。不足があればゼット様より補っていただければと」
「は、はい!」
一度全員の視線が俺に集まった。
圧迫感が凄いけど、セイジのためだ。
とにかく正直に話しつつ、セイジが疑われるような状況にだけはならないよう頑張ろう。
「セイジ。彼に関する情報は少なく、また、数ヵ月前のある日を境に増えております」
「それはもしかして?」
「事前に共有させていただいた通り、稀人で間違いないでしょう。実際に彼自身が稀人だと名乗っていたという情報もあります。ゼット様はこのことについては?」
「……はい。間違いないと思います。俺もセイジから稀人だって聞きましたし、実際セイジは常識が無いやつでしたから。ただ、セイジと仲良くなって少ししてからは全然稀人だって言わなくなりましたね。それどころか稀人だと言いたくないようでした」
ギルマスが頷く。
「当然だな。稀人だって言いふらしたところで不利益にしかならない。ちょっと過ごせば理解できることだな」
「稀人か……それで、その者もアリスと共に消えているとな。その者が犯人という可能性は無いのか」
「行方不明時は武器を所持していたことを確認しております。どうやら冒険者ギルドで依頼を受けていたと思われます」
……ビリーブさんが言っていることは正しい。
「そのことについてはダンプさんからどうぞ」
「すまんミア。そのことについて確実な裏付けはできない。ギルドの記録を探したんだが、その日にセイジの受付記録は無かった」
「依頼を受けていないにも関わらず武器を所持していたと?この資料が正しいのであれば、その者はDランクなのだろう。Fランクならともかく、Dランクにおいて依頼を通さない仕事は報酬が低いのでは?」
「そうだ。普通に考えて依頼を受けないってことに利点は無い。だからこの情報だけと怪しさが残る。だが、ゼット。お前はその日なにしてた?簡単にでいいから説明してみろ」
「……セイジと冒険に行こうとしてました。それで俺がドラゴントカゲの依頼を受けて、セイジと一緒にやろうと。そのあと露店で朝ご飯を買って、食べながら歩いて、そのあと飲み物買いに行って、店を出たらセイジとアリス・グリント様がいて、二人がいなくなった後にビリーブさんと会いました」
「ふむ。私が調べとの齟齬は無いですね」
「ゼットがドラゴントカゲの依頼を受けたのも確かだ」
「ジェルデミアとダンプが言うのであれば間違いないのだろう。」
「お言葉ですがリドリー様!それだけは絶対にありません!」
「根拠はなんだ?なにか証明できるものはあるのか」
「……ありません。ですけど!絶対にセイジは犯人じゃないです。このことは、俺のこの命を懸けたとしてもはっきりと言えることです」
「……そうか。いや、すまない。本気でセイジという者が犯人だとは思っていない。ビリーブからの情報だ」
「セイジ様とアリス様が戦闘を行なった場合、たとえ不意打ちだとしてもセイジ様に勝ち目は無いと、そう進言させていただきました。ご友人の方を貶すような言い方に関しましては、大変申し訳ございません」
「い、いえ、セイジが疑われてるんじゃないなら俺は全然……あとリドリー様が謝るほどじゃ──」
「言っただろう。ここで貴族という肩書きは無い。であれば、人間としての礼儀は尽くすべきだ」
「……」
少し、貴族という存在の印象が変わった。
「……ありがとうございます」
思い付いたばかりでまだ構成練ってる最中なので更新は遅いですが、評価ブクマ感想で速度バフが付くので良ければお願いします!
ちょっとでも続きが気になれば!是非!!




