35話──偶然の実
ぐうぜんのみ
じゃなくて
ぐうぜんのまこと
ゼットを見ていたセイジの側方から、その名を呼ぶ声がした。
ハッとしたセイジが左を向けば、
「……!アリス!?」
「やっぱりセージさんだったんですね!おはようございます!」
「おはようアリス。会えて嬉しいよ」
純白のワンピースで身を包み、風でさらさらと揺れる金色の髪には赤い花のヘアピンが付いていた。
「私もとっても嬉しいです!こんな偶然ってあるんですね」
「だね。そういえばアリスの家ってこっち側なんだっけ?」
「え……っと、言いましたっけ?」
「前にこっち側の門が家に近いって言ってなかった?森で再開した時だよ」
「そ、そういえばそうでしたね……!」
「……アリス?」
アリスの態度になにか違和感を感じたセイジ。
具体的になんなのかはわからないが、その違和感が間違いではないということはわかる。
何度もその違和感を感じてきたからだ。
「なにか隠してる?」
「え!い、いえ!なにも隠してなんてないです!」
「アリス……嘘つくのが下手だよ……」
「嘘じゃないです!こ、恋人を疑うなんて、良くないですよ!」
「アリス……それを言うなら恋人に嘘つくのも良くないと思うよ」
アリスの言葉は怒るような言い方だったが、目は泳いでいるし声にも淀みがあることから、セイジは更に追及する。
更に実は、アリスの口から恋人だと言われたことも、セイジが追及を深める後押しとなっていた。
可愛い彼女にそう言われて、なんとも思わないはずがない。恋人だと言われてめちゃくちゃ嬉しいし、心ときめいた。
だからこそ、自分がなにか悪いことをしてしまってそれをアリスが気にしている。というようなものでは無いだろうと思い、セイジは躊躇せず追及することにした。
「ぁ……」
「教えてくれないか?どんなことだろうと絶対怒らないし失望もしないから」
「うぅ……でも……」
身を縮こませるアリス。
セイジはこれ以上はなにも言わずに、アリスから言ってくれるのを待つ。
「……」
「……」
「ほんとうですか……?」
口を開いたアリスから出てきた言葉は、不安を解消するための確認の言葉だった。
どうしようもなく不安で心配という、アリスの弱いところの感情が見える。
「ほんとうに嫌いになったりしませんか?」
「嫌いにならない」
「逃げたりしませんか……?」
「絶対に逃げないって誓う」
嘘偽りないことを示すように、セイジはアリスの瞳から決して目を逸らさない。
「……けっこん」
「え?」
聞き間違いかと思い、まさかという気持ちでセイジは声を漏らした。
「将来結婚してくれますか?」
「……もちろん」
「……即答、してくれないんですね」
「いや、それは違くて!ちょっといきなりだったから驚いただけで気持ちは本当で──」
「どうしたセイジ?」
タイミング悪く、両手に飲み物を持ったゼットが戻ってきてしまった。
俯く女の子と、声を張り上げて焦るセイジ。
そんな場面を目撃したゼットは状況が理解できず、
「誰その子」
「えっと……」
「あ!もしかして前に言ってた好きな子?なるほどなーそうかそうか。俺帰る?」
「変な配慮するな!」
「そう?でも……なんか引っ掛かるんだよな……」
「……なにがだ?」
「その子……見覚えが……」
「ッ……!」
ゼットの言葉にビクッと体を跳ねさせるアリス。
「…………あ」
「わかったのか?」
「あ、うん……はい」
目に見えてしゅんとした様子のゼット。
その明らかな違和感に、セイジはアリスの隠し事となにか関係があるのではないかと疑いを強めた。
「それで、アリスがどうした?」
「その名前……やっぱりそうだ」
ゼットが感じていた違和感に確信が生まれたようで、セイジはその正体を知ろうと──
「私……ごめんなさいっ!」
知ろうとしたところで、アリスが突然謝って走り去っていった。
「え……」
展開に追いつけず呆然とするセイジ。
「……はぁ。緊張した」
安堵の息を吐くゼットは、飲み物をセイジに渡しつつ問う。
「お前どれくらい進んでるんだよ。まさか今日初めて会ったってわけじゃないでしょ?」
「一応アリスとは……付き合ってはいる」
「……」
信じられないようなものを見る目を向けてくるゼット。
「なんなんだよゼット」
「お前マジかよ」
「だからなんなんだって」
「知らないのか!?」
思い付いたばかりでまだ構成練ってる最中なので更新は遅いですが、評価ブクマ感想で速度バフが付くので良ければお願いします!
ちょっとでも続きが気になれば!是非!!




