21話──ゼットの仲間2
「テュアニス!」
「わかってるわ!【ボルダーサージ】!」
目の前のダンババトムの足元が大きくせり上がる。
よし、いいぞ!
「【ファイアーボール】、更に!」
この魔術でのダメージに期待はできないが、着弾時の爆発力で大きくノックバックさせることができ、視界を隠すこともできる。
そのまま剣を強く握り締め、首と胴を切り離そうとダンババトムに迫る。
しかし、
「ッ!?」
視界の端に異様な光を感じ取った。
でも、今そっちに気を逸らしてしまったら目の前のダンババトムから反撃を受けてしまう。
奴らはゴーレム。学習能力はそこそこ高い。一度使った手はそう何度も使えない。
どっちを優先すべきなんだ!?
俺はどっちを……ッ!
マズいマズいマズい!考えてる暇がない!
一番良くないのはここでなにもできないことなんだ。
……ここで正体がわかってない光を優先するよりは、目の前のチャンスを優先すべき!
やるしかない!!
「うおおおーーッ!」
怖気づく心を大声を出すことで発起し、煙で霞んだダンババトム目掛けて、握り馴れてきた剣を振るった。
硬い感触が伝わり、衝撃と振動で僅かに痛みを感じたが……
「よし!」
刃はダンババトムを上下に切り離し、その動作を停止させた。
でもまだ安心できない。
「光は!?──ぁ」
眩い光を放つもの。別個体から放たれたエネルギー砲は、既に眼下まで迫っていた。
避けられないッ!
「【マジックガード】」
瞬間。エネルギー砲が当たるよりも先に、淡い光が視界を覆いつくした。この光の正体はすぐに思い当たった。
エネルギー砲はその光にぶつかると、キィィーンと音を立てて霧散していく。
「助かったよエフェメラル!」
「まだですよ!」
「え?」
警告するエフェメラルの視線を追うと、今のエネルギー砲を放ったダンババトムは既に充填を終わらせて次の攻撃を放とうとしていた。
しかし、
「やあっ!」
それは、ダンババトムの足の付け根の、その細くなっている部位を狙った蹴りの一撃。それは見事にダンババトムを砕き、身体のバランスを崩した。
だがエネルギー砲は砕かれた瞬間に放たれ、僅かに方向がズレた攻撃となる。
エフェメラルのマジックガードは全身を覆えるものではない。だからさっきの攻撃に合わせて上半身を守るように展開されている。
そして、ダンババトムのズレたエネルギー砲は、運の悪いことに下方向へ放たれていた。
「くぁッ!」
変な声を出しながらも、どうにか足を動かしてその攻撃を避けようと──
「ッ!構うな!殺れ!!」
食らってしまった。でも傷は浅い。
これならすぐに立ち直れる。
ならば俺よりもあのダンババトムを倒すことを優先すべきで……
「……やるじゃん」
既にダンババトムはその機能を停止させていた。
「まーね!」
「でも心核を破壊しちゃったから報酬が……」
「あ!」
「まぁ、仕方ないか。ありがとうサトル。良い蹴りだった」
「ふふー。それほどでも!」
「本当に助かったよ」
それにしても、二体同時はキツイな。
俺たちは決定打に欠けるところがある。上手く当てればどうにかなるけど、それはダンババトムだったから。
自然の生き物だったなら、もっと苦戦していたはずだ。
……Bの依頼に挑戦するのは少し控えるべきか。だから、もっとCの依頼を楽にこなせるようになってからかな。
「大丈夫ですか?」
エフェメラルとテュアニスが駆け寄ってくる。
「結構血が出ちゃってるじゃない」
「血は出てるけど傷は浅いと思う。痛みもそこまで無いし……エフェメラル、お願いできる?」
「任せてください。【ヒール】……どうですか?」
「ありがとう、少しづつ和らいでいくよ。そのダンババトムで四つ目だっけ?」
「サトルが壊さなければ五つ目だったわ」
「だって!あそこですぐにトドメを刺さないともっと怪我を!」
テュアニスとサトルが言い合いを始めようとしている。
でも、俺が手を出す必要は無い。
「お二人とも落ち着いてください」
こういう時はエフェメラルが二人を諭してくれるからだ。
「確かにあの心核を壊さなければ報酬金が増えていました」
「ね?言ったでしょ」
「むーー!」
「ですが、心核を壊さなければ更に被害を受けていた可能性だってあるのです」
「可能性の話だわ。確実なのは私の意見じゃない」
「テュアニスは、私たちの誰かが取り返しのつかない大怪我をしても良いと?」
「そ、そういうわけじゃ……」
「でしたら、もうこの話はここでおしまいです。サトルも調子に乗ってはいけませんよ」
「わかってるって!」
ふぅ。良かった良かった!
「じゃあみんな、心核は四つあるけど、時間的にまだ問題無い。みんなが良ければ、もう少し回収できたらなって思うんだけ……ど…………」
「……どうしました?」
「あぁ!!」
つい大声を出してしまい、三人をびっくりさせてしまった。
「どうしたんですか!?まさか、まだ怪我が……?」
「いや、違うんだよエフェメラル」
「じゃあなんなの?なにがあったのよ!」
テュアニスが怒るように心配してくる。
「えっと、君らには関係無くて……しくったぁー」
「だからなんなのよ!」
「……約束忘れてた」
「え?」
「セイジとの約束、すっかり忘れてたんだ。帰ったら怒られるかなぁ……いやでもあいつだってなにも言わずに俺を送り出したし、絶対忘れてたよな。うーん……」
どうするべきだ?
「忘れてたってことにしてセイジから言われるのを待つか?それとも俺から話すべきか?でも、手を貸してほしいって言われただけだ。その具体的な内容は聞いてないし、呼び止めなかったセイジが悪いよな。うん。なら俺が怒られる筋合いは無いはず……そうだ!きっと大丈夫だ!」
「……心配を返してほしいわ」
「なー」
「いつものことですから」
─────
「武器の相談、すっかり忘れてた……」
なんのためにギルドまで着いてきたんだって話だ。
「まぁ、まだ安静にしてないといけないから急ぐことでもない。後ででもいっかな」
とりあえずギルドを出て帰路に着く。
宿までの道のりはとっく覚えている。考え事をしていても辿り着ける。
「なにもわからないけど……だからってなにもかも頼るのは良くないか」
大まかな武器の分野くらいなら俺一人でも探せる。
文字は読めなくとも店主に声を掛けるなりすればいい。
思い付いたばかりでまだ構成練ってる最中なので更新は遅いですが、評価ブクマ感想で速度バフが付くので良ければお願いします!
ちょっとでも続きが気になれば!是非!!




