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極妹

作者: ユウ

2chのスレッド 「妹の台詞をヤクザ「」にするとまったく萌えなくなることが判明www」というものを元にして作った作品です

君に、中学生くらいの妹がいたとしよう。


料理中の妹が、

「ねぇお兄ちゃん、そこの白い粉とって」

と言ってきた。


さて、君ならどうするだろうか。取ってあげればいいじゃないかと思う?それが普通だろう。


しかし、この状況は決して普通が通用するものではない。なぜって?


妹はヤクザだからだ。



先月、母さんが再婚した。もちろん喜んださ。相手がヤクザでさえなければ。


相手側が父一人娘一人、こっちが母一人息子一人。この中で一番困惑しているのが誰かというと、確実に僕だ。先月母が再婚話を切り出すまで、自分がヤクザと関わる想像すらつかなかったのだから。


父が死んでから、母さんは僕を大学に入れようと頑張ってくれた。僕もそれに応えないとと思い、奨学金が出るよう勉強を続け、ついに県トップレベルの高校でも上位十人には入れるようになった。



そんな僕からするとヤクザが言う白い粉なんて確実に何かヤバい薬!


自慢のこの頭脳が導き出した答えは、渡さない一択だ。


「何に使うんだ?」

「え、料理だけど」


言わないつもりか……


「何作ってる?」

「麻婆豆腐」

「だよな、ならこれは必要無いはずだ」

「いや要るでしょ」


もしやこっちの家庭では麻婆豆腐に薬を入れるのか…?


いや、そんなはずはない。第一味は知らないが美味しい気もしないし、ヤクザの仕事は薬を売ることであって使うことではないはずだ。


さては、母さんと僕を薬漬けにして今後金を取る気かっ……


「お前たちの思い通りにはさせんぞ…」

「いや何怖っ…」

「この粉で俺たちに一時的な快楽を与えようと言うのだろう!」

「いやまぁ…美味しいものも言い方によってはそうなるのかな……」

「本性を現したな!」


母さんに早く伝えねば。コイツらは結婚という甘い言葉で僕らを釣り、金を絞り取ろうというのだ!


「お兄ちゃん、早く渡してくれないと困るんだけど」

「絶対に渡さないからな!」

「はぁ、片栗粉ないと困るんだけど」


………………………………………………………、は?


「片栗粉?」

「え、うん、片栗粉」


言葉に詰まった。まだ怪しいか…


「麻婆豆腐に片栗粉なんて使うのか?」

「お兄ちゃん知らないの?麻婆豆腐にとろみを出すのに使うんだよ」

「ほー」

「……」

「……」

「で、早くちょうだい」

「あ、はい」


渡してしまった……これで僕たちは薬物依存に陥るんだ…


「味見する?」


この赤いスープを飲んでいいものだろうか。


いや、母さんに飲ませていいか確認するためにも、変な味がしないか確かめるべきだ。


「うん、するよ」

「はいどうぞ」


……変な味はしないな。しかし…


「美味しいけど、辛味が少なくないか?」

「え、そう?十分辛いと思うけど」


まあしかしなんだ、これは……


「あ、そうそう、お父さんが辛いの苦手だから家ではあんまり辛いのは食卓に出ないよ」

「へー、知らなかったな」


これは……本当に片栗粉だな。


「因みに何で渡してくれなかったの?」

「まあ、そんなこといいじゃないか。」


こんどお詫びにハーゲンダッツでも奢ろうかな。いや、最近金欠だからガリガリ君でいいか…


「ハーゲンダッツがいいな」


いやだから金欠で―――――――――――――――


「え?」

「ガリガリ君よりハーゲンダッツがいいな」

「……何が?」

「お詫びのアイス」

「ソ、ソウデスカ」


なぜ分かった…


「顔に書いてあったから」

「そ、そうか…?」

「新作でクリーミージェラートの濃桃ってのがあるらしくて、食べてみたいんだよね」

「また今度な」

「約束だからね?破ったら指詰めるから」

「……ハイ」


先月できた妹は、何かちょっと怖い。

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