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狂乱の失楽園  作者: やばくない奴
ディカルト
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デウス・エクス・マキナ

 春樹(はるき)の持っていた剣は、神々しい見た目に姿を変えた。その周囲には、羽のような光が舞っている。

「デウス・エクス・マキナ――――完成だ」

 そう言い放った春樹は、勝利を確信した表情をしていた。その目の前でディカルトが指打ちをするや否や、その場には新たな武器を分析した立体映像が映し出された。

「ほう……勝利を約束された剣――――デウス・エクス・マキナか。最終兵器としては上出来だねぇ」

 彼はそう言うと、己の手元に同じ剣を生み出した。彼はジェネス星人でありながら、ヴィクトでもある。そして春樹に生み出せるものは、ディカルトにも生み出せるようだ。


 和希(かずき)は激昂する。

「ふざけんな! オレたちが全身全霊を注いで生み出したモンが、そんな簡単に……!」

「フハハハハ! 運命を受け入れろ。それが現実だ。それが俺の力だ!」

「ディカルトォ!」

 彼は叫び声を上げ、宿敵の方へと駆け寄ろうとした。しかし春樹は両者の間に割り込み、和希に言う。

「ここからは、僕一人に任せて欲しい。誰も割りこめないような戦いを繰り広げることになると思うから」

 春樹の目は真剣だ。

「ああ、信じてるぞ。春樹!」

 親友の言葉を信じ、和希は大人しく引き下がった。


 いよいよ最終決戦である。


 突如、春樹とディカルトの姿は消えた。和希の上空では、大きな金属音と共に花火のような爆発が連発する。もはや両者の動きは、肉眼で捉えられるものではない。

「春樹! 頑張れぇ!」

 和希は声を張り上げた。一方で、春樹とディカルトは互いを睨みつつ、俊敏な剣捌きで刀身をぶつけ合っている。

「僕は負けない! 全ての痛みを、苦しみを、数多の命を巻き込んだ悲劇を! この手で終わらせる!」

「覚悟としては上出来だねぇ。ならば、これならどうだ?」

「な……なんだと!」

 春樹が驚いたのも無理はない。この時、ディカルトは己の左手にもデウス・エクス・マキナを生み出したのだ。一本の剣を握るのに、春樹は両手を使っている。一方で、相手は二本の剣を装備している。

「お前には感謝するよ……春樹。俺をここまで楽しませてくれたのは、お前が初めてだ」

「その余裕がいつまでもつか、見ものだね!」

「ククク……お前の戦意がいつまで続くか……見せてみろ!」

 白い光と紫色の光がぶつかり合う。両者は瞬間移動を繰り返し、壮絶な空中戦を繰り広げる。その光景を前にして、和希は再び大声をあげる。

「やれ! やるんだ! 春樹! お前がっ……ヒーローになるんだ!」

 彼がそう叫ぶや否や、春樹の動きが変わった。彼はディカルトの挙動を読み始め、的確に死角を狙い始めたのだ。

「そこだ!」

 それは一瞬の出来事だった。春樹は剣を勢いよく振り下ろし、ディカルトの体を一刀両断した。

「まだだ……まだ終わらないぞ!」

 この一撃を受けてもなお、ディカルトは死なないようだ。彼は瞬時に再生し、無傷の状態にまで回復した。

「そんな……馬鹿な……!」

 春樹は絶望した。やはり人類には、あの男を倒すことはできないのだろう。その様子を見ていた和希も、力無く肩を落とした。


 その時である。


「まだ諦めないで。春樹、和希」


 どこからともなく、死んだはずのイデアの声が聞こえてきた。同時に、何らかの力により、ディカルトの動きは止まる。

「馬鹿な……まだ力が残っていたのか! イデア!」

「それが君の侮っていた……信じる心の力だよ」

 そう呟いた春樹は、剣の刀身に紫色の煙を注いだ。剣は眩い光を放ち、神秘的な風格を醸している。

「くっ……動けん……!」

「運命を受け入れるんだね。これが現実で、これが僕たちの力だ」

 いよいよ決着の時だ。春樹は剣を勢いよく振り、今度こそディカルトを切り倒した。

「あり得ない! そんなことがあってたまるか! この俺が! この俺がぁ!」

 辺り一帯は、激しい爆発に呑みこまれた。

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